2024.06.16

富永啓生が思い出の体育館でクリニックを実施…夢を与えるプロとしての第一歩を記す

富永にとって思い出の体育館でクリニックを実施 [写真]=バスケットボールキング
バスケットボールキング編集部

 6月15日、アメリカ人以外で初となるカリーブランドと契約を締結した富永啓生。それを記念して、東洋英和女学院中学部・高等部の体育館で同校のバスケ部を対象としたクリニックを行った。

 この体育館は富永にとって忘れられない場所だと言える。今からさかのぼること5年前、2019年6月21日、アンダーアーマーのイベント出席のために来日したステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)と富永が初めて会話を交わしたのがこの体育館なのだ。

 その際、カリーから「いろんな障害が目の前に立ちはだかると思うんだけど、それに邪魔されずに、とにかく自分がうまくなるということにフォーカスしてほしい」とアドバイスを受けた。また渡米の際には「どんな辛いことがあっても諦めずにやり続けろ」とメッセージも受け取ったという。富永はカリーからの金言を糧にアメリカ挑戦を続けた。

 当時はクリニックを受ける立場だった富永が、今回は指導する側に。まだその立場に慣れてないと苦笑いするも、「フォロースルーで指先をリングに向けることを意識して」「手で打つのではなく足を使って」とアドバイスを送った。さらには、「後ろ向きでシュートを打ってください」という無茶ぶりにも笑顔で対応。きっちりシュートも決めて、選手たちの喝采を浴びていた。

アドバイスを送る富永啓生 [写真]=バスケットボールキング


 5年前にカリーと対談したことは、富永にとって運命的な出会いだったかもしれない。その後、カリーが富永の背中を押したことにより、ネブラスカ大学のエースとなり、NBAを目指す選手に成長し、さらには日本代表に選ばれる存在となった。しかし、見方を変えれば、富永自身がそのチャンスをものにしていったとも言える。それを富永に問うと、「そこは両方あると思います。自分もすごく努力しましたし、カリー選手にクリニックに参加してもらって背中を押してもらったことにとても感謝しています」と答えてくれた。

 富永はクリニックに先立って行われた契約締結会見で、「小さい子どもたちや選手にチャンスを与える、希望を与える存在になっていきたい」と語っていたが、早速実践の機会を与えられたと言えるだろう。「5年前は逆の立場だったのですが、昨日のように思います」と振り返る。夢を与えるプロとしての第一歩を思い出の場所で踏み出したことは、今後のキャリアの中で忘れられない思い出の一つとなるだろう。

富永自身も「うれしかった」と喜びを隠さなかった歓迎のメッセージ [写真]=バスケットボールキング


文=入江美紀雄

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