2018.03.26

トヨタ自動車がシャンソンに大逆転勝利、水島沙紀が残り41秒から逆転の3Pをたたきこむ

逆転の3ポイントで勝利を呼びこんだ水島[写真]=加藤誠夫
バスケットボールキング編集部。これまで主に中学、高校、女子日本代表をカバーしてきた。また、どういうわけかあまり人が行かない土地での取材も多く、氷点下10度を下回るモンゴルを経験。Twitterのアカウントは @m_irie3

 3月25日、第19回Wリーグ プレーオフ3位決定戦、トヨタ自動車 アンテロープスvsシャンソン化粧品 シャンソンVマジックが丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われた。昨日のセミファイナルでトヨタ自動車がデンソー アイリス、シャンソンはJX-ENEOSサンフラワーズに敗れはしたが、今シーズンから行われる順位決定戦に勝って、シーズンを終わらせたいはずだ。

 昨日のセミファイナルの終盤を引きずっているのか、トヨタ自動車は試合開始からオフェンスのリズムながなか作れない。トヨタ自動車のオフェンスが単発になる一方で、シャンソンは司令塔の落合里泉がゲームを支配。本川紗奈生と内野智香英と内外からゴールを迫り、リードを広げていった。

 第3クォーター残り5分を切った場面、本川がドライブからのレイアップを決めると点差はこの試合で最大の11に広がる。トヨタ自動車はゾーンプレスやゾーンディフェンスを繰り出し4点差まで詰め寄る場面があったが、シャンソンのペースを崩せなかった。

巧みなゲームメイクを見せたシャンソンの落合[写真]=加藤誠夫

 最終クォーターに入ると、トヨタ自動車のゾーンディフェンスが効果を発揮する場面もあったが、オフェンスが停滞すると落合がゾーンの外側から3ポイントシュートを撃ち抜き、リードを譲らない。追いこまれたトヨタ自動車は長岡萌映子にボールを集め、得点のペースを上げていった。残り2分38秒、長岡がバスケットカウントをねじこみ、タイムアウトを挟んでボーナススローを決めると2点差に。シャンソンも内野がステップイン、落合が3ポイントシュートを決めて譲らない。

 残り時間が1分を切った。トヨタ自動車は水島沙紀が本川からファウルを誘い、フリースローをゲット。これを1本決めて4点差にした刹那、水島がスティールから速攻を決めて2点差に再び迫った。シャンソンは最後のタイムアウトを取ってオフェンスの立て直しを図るが、再開後のスローインで5秒バイオレーションを犯してしまった。残り時間は41秒、激しくプッシャーをかけるシャンソンに対して、トヨタ自動車は大神雄子がインサイドに入れたボールを長岡が外に構える水島にパスアウト。水島は内野のディフェンスをフェイクで外してリリースすると、ボールがリングを通過して3点をゲット。ついに逆転に成功した。シャンソンは最後のオフェンスで落合のノールックパスがゴール下で待ち構える内野にとおったが、トヨタ自動車は長岡と森ムチャがダブルチームで阻止。シャンソンの得点を許さなかった。

 激戦を終え、吹っきれたような笑顔で会場に現れたシャンソンの丁海鎰ヘッドコーチだが、「本当の気持ちはとても悔しい。39分間勝っていて、最後の1分でひっくり返されるのはバスケにはよくある話。ただ、シーズンの最終戦と言うことでこれを挽回する試合がない……」とコメントには率直な気持ちが表れていた。そして、「選手には感謝感謝だ。最後の最後まで精一杯プレーをしてくれた。ただプレーオフ全般を振り返れば力不足を感じたのも事実。第1クォーターだけいいプレーができて満足するのではなく、最後までやり切れるようにしたい。そうしたら勝てる日も来るはずだ」と、選手をねぎらうとともに、気持ちはすでに来シーズンに向かっているようだった。

 「クレージーな試合だった。選手たちには常に諦めてはいけないと言ってきたが、まさにその典型のような試合になった」と逆転勝ちしたトヨタ自動車のジェームス・ダンカンHCは会見の間も笑顔を絶やさなかった。「イージーシュートを落とした場面もあったが、『何が何でも勝つ』という気持ちを常に選手は持っていた」と勝因を語った。

 3位決定戦が大神の現役最後の試合となったが、トヨタ自動車の水島は「昨日負けて(リーグ)優勝がなくなったので、今日は『シン(大神)さんのために絶対に勝とう』とチーム全員で臨みました」と振り返る。そして、逆転の3ポイントシュートを決めた場面の状況を質問されると、「あまり覚えていないんです(笑) でも、『ボールを持ったら(シュートを)打とう。私にボールを回して』と思っていました」と、殊勲のシュートを決めた場面を語った。

今季限りで現役を引退する大神(左)は、計8得点2アシスト[写真]=加藤誠夫

【試合結果】
トヨタ自動車アンテロープス 74-73 シャンソン シャンソンVマジック(@丸善インテックアリーナ大阪)
トヨタ自動車|14|16|18|26|=74
シャンソン |19|19|17|18|=73

文=入江美紀雄

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