2021.02.15

いきなりの先発…シャンソンの即戦力ルーキー、吉田舞衣と佐藤由璃果がWリーグデビュー戦を振り返る

シャンソン化粧品尼新風を吹き込ルーキーコンビ(左:吉田舞衣、右:佐藤由璃果)[写真]=W.LEAGUE
フリーライター

アーリーエントリーの2人がいきなりスタメン出場

 2月13日と14日の2日間、2020年10月18日を最後に中断を余儀なくされていたWリーグ東地区のレギュラーシーズンがようやく再開。現在同地区4位に位置するシャンソン化粧品シャンソンVマジックは、2位の富士通レッドウェーブに2連敗を喫したが、2人のアーリーエントリー選手がさっそくインパクトを残した。拓殖大学4年の吉田舞衣と筑波大学4年の佐藤由璃果だ。

 中断期間にアーリーエントリーで加入した2人は、175センチを超える上背がありながらも、内外でプレーできるオールラウンダーとして大学バスケ界をけん引してきた選手。13日のWリーグデビュー戦では揃って先発起用されると、約35分間コートに立ち続け、吉田はチーム最多タイの14得点、佐藤もそれに次ぐ12得点をマークした。

吉田はデビュー戦で14得点をマーク [写真]=W.LEAGUE


 負けはしたものの、初戦にしては一定の手応えを掴んだようにも見える。しかし、試合後にデビュー戦を振り返った両者は、「今までにないくらい緊張して試合に入りました。正直、自分のプレーは夢中すぎて覚えていないです」(吉田)「試合が始まってからは緊張が取れましたけど、初めての試合だったのでとても緊張しました」(佐藤)と苦笑いで答えた。

 続く2戦目は、ティップオフ直前にも笑顔が見られ「昨日よりは緊張しなかった」と口を揃えたが、初戦より警戒を強めてきた相手ディフェンスの前に思うようなプレーができなかった。

 吉田は終始積極性を見せ、この日はフル出場で両チーム最多となる20得点。ただ、最大の武器である3ポイントシュートは7分の1、パスミスも目立って7ターンオーバーを犯してしまい、「20点取れたからといって満足とは思っていないです」と自身の出来を悔やんだ。

 一方の佐藤は、この日のチーム初得点をジャンプシュートで挙げたが、「相手が対応してきたことに対して、自分がそれに対応できなかったのが反省点」と6得点に留まり、最終クォーターはベンチで戦況を見つめた。

シャンソンで再び日本一を目指す “八雲コンビ”

「今度、シャンソンに吉田と佐藤が行くから。よろしくね」

 昨年末、八雲学園高校の高木優子コーチに取材をした際、そんな言葉を掛けられた。

 吉田と佐藤は高校時代の同期。八雲学園での3年間はともに青いユニフォームを着て全国制覇を目指した間柄であり、吉田は高木コーチにシューターとしての素質を見出され、佐藤は3年次にキャプテンを任された存在だ。

「(高校の)3年間一緒にやっているので、お互いの得意なプレーややりたいことがわかります。2人でプレーする時は、どちらかと言うと私が佐藤にパスを出すことが多くなるんですけど、どんなパスでも取ってくれるのでとても心強いです」(吉田)

「大学4年間は違かったんですけど、高校3年間で一緒にやってきたので、お互いが考えていることとか、プレーでも意思疎通ができる。自分としてもとてもやりやすいです」(佐藤)

 照れながらも、そう互いについて話してくれた2人は、ケガ人を抱えてフルメンバーが揃わない今のチームにとって大きな戦力であることは間違いない。プレーオフ進出、その先の優勝へ向けても不可欠な存在と言えるだろう。

 大卒プレーヤーとして「大学で4年間やってきているので、即戦力になれるようなプレーヤーにならなきゃいけない」と佐藤が言えば、吉田も「シャンソンはWリーグの中でも高卒で入ってくる選手が多いチーム。年齢が下の子にも支えられながらこの1カ月間過ごしてきたんですけど、本当にあったかいチームだなと感じています」と現状を明かし、「4年間大学でやってきたことをチームに還元できるように頑張りたいです」と意気込む。

「即戦力になれるようなプレーヤーにならなきゃいけない」と佐藤は意気込む [写真]=W.LEAGUE


 大学ではそれぞれ別の道を歩んだものの、2人の大学生活最後の試合(インカレ3位決定戦)は拓殖大vs筑波大だった。今となってはこれも何かの巡り合わせだったのかとも感じてしまう。

 再びチームメートとなり、今度はピンクのユニフォームを纏って日本一を目指す吉田&佐藤の“八雲コンビ”。これからも2人の活躍が楽しみでならない。

文=小沼克年