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関西地域では桜がちょうど満開を迎える頃、姫路にある体育館では高校の女子チームを対象とした「姫路イーグレッツカップ 高校招待女子バスケットボール大会」(3月31日〜4月2日)が姫路市立総合スポーツ会館にて開催された。
大会の主催は2022ー23シーズンからWリーグに参入する姫路イーグレッツ。「もともとこの時期にあった招待試合がなくなったときに代わりになる大会を開いてしてほしいと高校の先生方から相談を受けていました。それで2年前に開催しようとしたのですが、新型コロナウイルスのために中止。ようやく今年、実行することができました」と、開催までのいきさつを教えてくれたのは、チームの代表を務める岡田隆人氏。
「姫路はバレーボールが熱心な地域なのですが、その中でバスケットも盛り上げたい。強い高校が姫路に集まり、そのプレーを地元の小中学生たちに見てもらうことは、何かキッカケになるし、意義があることだと思っています」とも語った。
来シーズンより日本のトップリーグに挑む姫路イーグレッツの発足は9年前。2012年に女子サッカーのASハリマアルビオン(なでしこリーグ)の立ち上げに携わった岡田氏が、周囲からの要望を受け、翌年の2013年に女子バスケットボールチームのAC播磨イーグレッツを創設した。
創設当初から「やるならトップを目指そう」とWリーグ参入を目指していたが、「最初は選手も集まらなくて。選手が選手を連れてくるような感じでスタートしました」と岡田氏は当時のことを振り返る。それでも、2年目には兵庫県の実業団登録し、リクルートにも力を入れていくと、2019年には現在キャプテンを務める白崎みなみが加入。「彼女は関西女子学生リーグで得点王だった選手。そんな選手が入ってきてくれて、この頃からさらに『Wリーグ参入』という声を大きくしていきました」と岡田は言う。
そしてWリーグの参入を見据え、2021年にはチームの名称を現在の「姫路イーグレッツ」に変更。同年の5月、Wリーグ理事会にて参入が決定した。
クラブチームの運営において、選手の雇用先や練習環境の確保などは大事な要素となる。姫路イーグレッツでは、雇用では、選手たちはスポンサー企業の会社に勤めている。就業時間など、練習を考慮した勤務形態で、引退後も同じ会社で正社員として勤務を継続できるそうだ。
練習では、企業チームとは異なり自前の体育館を持たないが、姫路市周辺にある町村の体育館の使用が1年先まで確約されており、練習場所に困ることはないとのこと。そういった選手がバスケットに集中できる環境をこの10年で岡田氏を中心に一つずつ作り上げていった。
「苦労といえば、今もずっと苦労です」と岡田氏は笑うが、参入が決定したこれからは、さらにスポンサー営業をしていきたいと、先への思いも語った。
その一環として、ヴィクトリーナ姫路というVリーグに属する女子バレーボールチームとのイベント参加など、協業も考えているそうだ。
「現状、180センチを超えた選手がいないので、厳しい戦いになるとは思いますが、同じクラブチームはもちろんのこと、企業チームにも一つでも多く勝ちたいと思っています」と来るシーズンに向けての抱負を語った岡田氏。
Wリーグでは関西地域唯一のチーム。試合結果はもちろんのこと、その動向には、これからより一層の注目が集まりそうだ。
取材・文=田島早苗