2019.06.10
「個人的には“微妙”だったかなと思います。ディフェンスはチームディフェンスを徹底できたとは思うのですが、得点面でまだまだ。そこが課題だと感じています」
ベルギーを相手に行われた「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2019 三井不動産カップ(水戸大会)」。2試合ともにスターターとして出場した本川紗奈生(シャンソン化粧品シャンソンVマジック)は、3年ぶりとなる代表戦をこう振り返った。
1戦目は得意とするドライブを武器に8得点を挙げた本川だったが、2試合目は4得点。特に「外のシュートはそもそも打ってない。試合をビデオを見返して、私のスペーシングが悪かったのか、シュートを打てた場面があったのかどうかを確認したいです。4得点というのは……」と、外角シュートを課題の中心に挙げた。
リオデジャネイロ・オリンピックの予選を兼ねた2015年の女子アジア選手権や2016年のオリンピックでの雄姿は知るところ。それまで本川は日本代表の主軸を担っていた。だが、オリンピック以降は足の故障が影響し、2年前のFIBA女子アジアカップ(旧アジア選手権)は最終メンバーに残ることができず、昨年は足のケガで日本代表を辞退していた。それでも、足の状況が良くなってきた今年は、第一次合宿から参加。練習から存在感を発揮し、ベルギー戦ではスターターの座を射止めたのだ。
しかし、今回の国際強化試合では同じポジションの林咲希(JX-ENEOSサンフラワーズ)が台頭。MVPを獲得するほどの活躍に、ポジション争いはさらに激しくなることが予想された。だが、意外にも「いいことですよね。楽しみです」と本川は言いきる。その凛々しい表情を見ていると、ふと8年前のことが思い出された。
当時、札幌山の手高校3年生で町田瑠唯(富士通レッドウェーブ)、長岡萌映子(トヨタ自動車アンテロープス)や高田汐織(富士通/昨シーズン限りで引退)らとともにインターハイ、国体、ウインターカップを制した本川は、高校生代表としてオールジャパンに出場。そこで大学チームを2度倒すのだが、中でも本川の果敢にリングへと向かう姿は印象的で、その時、彼女はこんな言葉を残していた。
「格上の相手と対戦すると燃えるんです」
高校時代、練習試合などでもカテゴリーが上のチームにはめっぽう強かったという本川。越えなければいけない壁が高ければ高いほど闘争本能に火が付き、そして何より挑戦することが好きなのだろう。
その本川が日本代表を離れていた2年間で感じたのは「物足りなさ」だったと言う。もちろん、足の状況から仕方ないところもあるのだが、「日本代表は何でも教えてくれるし、自分にとってとてもいい環境。(2年の間で)日本代表でやりたい、バスケットが上手くなりたいと思ったし、帰ってきたかった。帰りたいというよりは挑戦したかったですね」と言う。
心も体も充電し、いろんな気づきもあったという2年間を経て、新たに日本代表でのスタートを切った本川。日本に勢いをもたらす点取り屋は、現状に満足することなく、さらに高みを目指す。
写真・文=田島早苗
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