2019.06.01

3P5本とシューターの林咲希が鮮烈な代表デビュー

鮮烈な代表デビューを飾った林 [写真]=田島早苗
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「いつもどおりのリズムで打ちました」

5本の3ポイントを含む計19得点をマークした [写真]=JBA

 ベルギーを迎えて行われた「バスケットボール女子日本代表国際強化試合2019 三井不動産カップ(水戸大会)」の第1戦。日本代表初選出となった林咲希(JX-ENEOSサンフラワーズ)は第1クォーターの途中からコートに立つと、出場から30秒もしないうちに鮮やかに3Pシュートを沈める。いきなり期待に応える働きに、ベンチも観客も大喜びだったが、これは、林劇場の序章に過ぎなかった――。

 それから約1分半の間に2本の3ポイントシュートを決め、フリースローでも確実に加点。なんと第1クォーターだけで11得点を挙げた林。第2クォーター以降も適時に3ポイントシュートを放ち、終わってみれば3ポイントシュート5本を含む19得点。両チーム合わせてトップスコアラーとなった。

「(ベルギーが)日本の速さに付いていけていないことが、動きながらわかったので、それで思い切ってシュートを狙えたのかなと思います。(3ポイントシュートは)何も考えずにいつもどおりのリズムで打ちました」と試合後、林は代表デビュー戦を振り返った。

「いつも通りのリズムで打ちました」と試合を振り返った [写真]=田島早苗

 指揮を執るトム・ホーバスヘッドコーチは常々、「林はこのチームのシステムに合っている」と語っていた。それは林自身も感じているようで、「トムさんが考えていることだったり、今どうしてほしいというのは自分でもわかっているので、そこは一つの強みかなと思います」と言う。さらに、「シュートを打つ前の動きをトムさんは重要視しているのですが、スペースやカッティングのスピードだったり、今こうしてほしいというのがわかりますね」と、細かく語ってくれた。

 代表デビュー戦となったこの試合、実は母校・白鷗大学の女子バスケット部員たちが栃木から観戦に訪れていた。3年前、林が大学4年生でインカレ優勝を果たした時の1年生たちが現在の4年生にあたるのだが、「すごくうれしかったし、それもあって楽にやれたかな」と、後輩たちの存在も林の活躍を後押しした。

 ホーバスHCとなった3年目の女子日本代表。一昨年の「FIBAアジアカップ2017」では、日本代表の公式戦初出場となった藤岡麻菜美(JX-ENEOSサンフラワーズ)が大会ベスト5に選出される活躍。同じく初選出の水島沙紀(トヨタ自動車アンテロープス)も決勝で7本の3ポイントシュートを沈めて優勝に貢献した。さらに昨年は、代表デビューを飾った本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)が「FIBA女子ワールドカップ2018」でスターターの座を射止め、一気に主力へと躍り出たことは記憶に新しいところだ。

 髙田真希(デンソー アイリス)、宮澤夕貴(JX-ENEOSサンフラワーズ)をはじめとするコアメンバーに加え、こうして次々と新たなヒロインが誕生するのも“トムJAPAN”の特長であり、強さの一つといえるだろう。

写真・文=田島早苗

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