2022.09.26

ディフェンスでの奮闘が光った東藤なな子は、次戦に向けて「一つひとつのプレーを大事にしていきたい」

「できることを精一杯、できる限り、自分の最大限でやりたいと思います」と東藤は前を向いた [写真]=Getty Images
フリーライター

 9月25日、「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」は大会4日目を迎えた。

 前日が休息日だった日本は、この試合が3戦目。同じく3戦目で、目下2連勝中と安定した強さを発揮しているカナダと対戦した。

 試合は、開始から1分20秒、宮崎早織(ENESOSサンフラワーズ)がドライブで切り込むと、そこからのパスを受けた渡嘉敷来夢(ENESOS)が3ポイントシュートを鮮やかに沈める。その後、髙田真希(デンソーアイリス)もフリースローで続き、幸先良いスタートを切った。

 しかし、第1クォーター中盤からは、ドライブにインサイドプレーにとテンポ良いパス回しからカナダにコンスタントに得点を許すと、日本は、徐々にオフェンスが重くなり、得点が伸びない。山本麻衣(トヨタ自動車アンテロープス)が髙田へのアシストや自らのドライブでシュートを決めたものの、第1クォーターを終えて8点のビハインドを負った。

 第2クォーター以降もカナダの堅いディフェンスの前にオフェンスが停滞した日本。第3クォーターにはオコエ桃仁花(富士通レッドフェーブ)、第4クォーター出だしには馬瓜ステファニー(トヨタ自動車)のドライブや髙田のスティールからの速攻などで点差を詰めたものの、慌てず試合を進めたカナダの前に追いつくこはできず。56ー70で敗退した。

 56得点に抑えられた日本。加えてこの試合ではカナダのアウトサイド陣のオフェンスにも手を焼いた。

 ガードのシェイ・コリー、ニラ・フィールズらはスピードやバネがあり、フィジカルも強い選手たち。試合では果敢に1対1を仕掛け、コリーが13得点、フィールズは9得点を奪った。また、ケガから復帰したキア・ナースも要所でシュートを決める働きで7得点。そしてスモールフォワードのブリジット・カールトンは3ポイントシュート2本を含む19得点をマークした。

 その中で、敗れはしたものの、カナダのアウトサイド陣に対し、体を張った好ディフェンスを見せたが東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)だ。

 試合後、東藤は、ディフェンスについてこのように語った。

「(相手は)シューターでもあるけど、ハンドラーでもあって、フィジカルでも(攻めて)くる。幅広いプレーをしてくるというのは構えていたというか、アジャストしようと思っていたので、(赤穂)ひまわりさんと2人で『(カナダの)ピックからの攻めを守りにいかないといけないね』と話はしていました。シューターなので、なるべくコンテストして、いい状態でプレーさせないようにということは、試合の入りでできたかなと思います」

 また、「最後(に体を)寄せてくるので、そこでファウルしないように我慢して、(相手の)タフショットに持ち込めた場面は多かったので、そこは良かったと思います」とも語り、ディフェンスに関しては一定の手応えも感じたようだ。

 東藤は、昨年の夏にチーム最年少の20歳で東京オリンピックに出場。主にディフェンスでの役割を買われて銀メダル獲得に貢献した。そして21歳となった今年は、自身初となるワールドカップを迎え、ここまで3試合をスターターとして出場している。

「ボールへの執着心、気持ちで後手になると、プレーにも影響してしまうので、球際とか、リバウンドを全員で取り切るところなどは学びになりました」と、敗れたカナダ戦の中からもしっかりと課題を見付けているよう。

「負ける試合の方が学びは多いので、その中でできることを精一杯、できる限り、自分の最大限でやりたいです。その結果が勝ち負けにつながると思うので、一つひとつのプレーを大事にしていきたいと思います」

 しっかりとした口調で語った東藤。日本の主軸を担う21歳は、どんな状況に追い込まれても、ブレることなく、全力プレーを誓っていた。

取材・文=田島早苗

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