2022.09.28
「宮崎(早織)に対してだけでなく、とにかくガードには積極的にスクリーンに行くようにという指示だったので、(スクリーン後に)ボールが来たら強くプレーするだけだと思いながらやっていました。ユラ(宮崎)とは、自チームで一緒にやってるというのもあって、パス関しては、日本代表でもすごくいいアドバンテージになっているのではないかなと思います」
「FIBA女子ワールドカップ2022」のフランス戦後、ENEOSサンフラワーズのチームメートであるガードの宮﨑早織との合わせのプレーについて問われた渡嘉敷来夢はこう答えた。
グループフェーズ4戦目となったフランス戦(9月26日)、日本はここまで1勝2敗と負け越しており、一つも落とせない状態だった。一方、フランスも2勝1敗ではあったものの、決勝トーナメント進出を決定付けるためには絶対に勝ちたいところ。そんな互いに山場といえる試合は、接戦の様相となる。序盤はフランスに先行されたものの、第2クォーターで日本がフランスを捉えると、その後は互いに譲らず。勝負は第4クォーターまでもつれた。
その緊迫した中で、宮崎との息の合ったプレーを見せた渡嘉敷は、ENEOSのときと同じく、宮崎のパスからリング下でシュートを沈めて得点につなげた。
「これまでの試合でもユラ(宮崎)がいいパスを出してくれていたのですが、自分が決めれなかったので、そこはナイスパス、次は絶対決めるよとは言い続けていました。それを信じてパス出してくれたユラには感謝の気持ちでいっぱいです」(渡嘉敷)
だが試合自体には、第4クォーターでオフェンスが重くなってしまった日本が53-67と後退。成績を1勝3敗とし、決勝トーナメント進出へは絶体絶命の状態となった。(その後、、オーストラリアとカナダの試合でオーストラリアが勝利したことにより、日本の予選敗退が決定)
渡嘉敷は、フランス戦で21分21秒の出場。5得点6リバウンドという数字は、渡嘉敷の実力からすると、物足りなさは感じる。だが、ブロックショット3本をはじめ、フランスの大型選手へのディフェンスなど、数字に表れない貢献も大きかった。
「ディフェンスはハッスルして頑張ろうと思っていたし、自分自身もそこには力を入れてるというか。ボールが来なくても、シュートが入らなくても、絶対にディフェンスはブレてはいけないと思っていました。そういった点では少しチームに貢献できたところはあるのかなと感じています」と、渡嘉敷。そしてすぐに「でも、負けたら意味ないですよね…」とも続けた。
ミックスゾーンでの取材応対中、記者からフランスとの差は何かを問われた渡嘉敷は、一瞬の間を開けたあと、このように発した。
「勝ちたい気持ちは負けてなかったと思います、絶対に」
「うん、むしろ日本の方が強かったと思います。その気持ちを、コート上で表現していたと思うし、しきれなかったとは言いません。いや、………難しいですね。でも『差』はないって思っています」
結果がすべての世界ということは渡嘉敷も重々承知している。チームとしてなかなか結果が出ない大会ではあるが、勝ちへの貪欲な思いを選手たちは持ち続けていることを、彼女は選手を代表して伝えたかったのではないだろうか。
残念ながら、27日のオーストラリアとの一戦が、日本にとって今大会の最終戦となってしまった。それでも、これまでと変わらず、選手全員が『気持ち』を出したプレーで、勝利をつかみにいく。
取材・文=田島早苗
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