2023.07.03
9月27日、「FIBA女子バスケットボールワールドカップ2022」は、グループフェーズの最終日となり、日本は開催国のオーストラリアと対戦した。
すでに6チーム間のリーグ戦で行われたグループBで上位4チームに残ることができず、予選敗退が決まっていた日本。これが今大会の最後の試合であったため、是が非でも勝って終わりたいところだった。
宮崎早織から好パスを受けた渡嘉敷来夢(ともにENEOSサンフラワーズ)のシュートで日本が先制した試合は、序盤から一進一退の展開に。それでも、オコエ桃仁花(富士通レッドウェーブ)の3ポイントシュートなどで先行すると、足を動かしたディフェンスでも相手を苦しめ、第1クォーターを終えて18ー16とリードする。
続く第2クォーターでは髙田真希(デンソーアイリス)、馬瓜ステファニー(トヨタ自動車アンテロープス)らの活躍が光ったが、この試合に勝てばグループ1位で予選を通過するオーストラリアの追随を受け、終盤に逆転を許してしまう。
すると、2点を追う第3クォーターではフィジカルの強さを武器とするオーストラリアのディフェンスの前に得点ペースが落ち、このクォーターを9得点のみに。13点ビハインドで迎えた第4クォーターには、安間志織(UMANA REYER VENEZIA/イタリア)がフリースローで加点したものの、リードをキープしながら勝負どころでのシュートを次々と沈めたオーストラリアに振り切られてしまい、54−71で敗退した。
試合後、決して納得をしているわけではないものの、「今大会で一番良いバスケットができたのではないかと思います」と、オーストラリア戦の感想を語ったのは、3ポイントシュート3本を含む14得点とチーム最多の得点を奪ったオコエ。
さらに、自身の出来についてはこう発した。「大会が始まる前に骨折をしてしまい、気持ち的にダウンした状態で試合に臨んでしまったのが現実で、1試合目と2試合目にその骨折が頭を過り、うまくプレーできずにチームに貢献できませんでした。でも、最後の試合は日本のために、日本のバスケットをしている子どもたちのために、私たちが先頭に立って戦わなければいけないと思いながら、最後までシュートもドライブも積極的にいきました」
取材陣の前で、大会前日に左手の小指を骨折していたことを明かしたオコエ。大会序盤は、アクシデントを受けて気持ちの持ち方も難しかったようだが、「ハッスルプレー。当たり前のことをしっかりやっていこうと思ってプレーしました」という最終戦では存在感を示した。
オコエは日本が戦った5試合すべてに出場し、1試合平均は7.8得点2リバウンド。「骨折のせいにはしたくないのですが、もっとできたのにという悔しい気持ちが強いです」と自身のパフォーマンスは悔しさをにじませる。
また、「日本に対しては、東京オリンピックで魅了した分、(相手が)徹底的に(日本の良さを)つぶしにくるのが当たり前という感じでした。そこの準備が甘かったことが、自分たちの課題として残ったというのが正直な感想です」と、チームとしての今後の修正点も語った。
パリオリンピックは2年後に迫っている。まずは「パリオリンピックに出ることが目標です」というオコエは、「このままでは同じ過ちを繰り返してしまうと思います。何が日本のウィークポイントで何が強みかをもう一度再確認してやっていきたいです」と力を込める。
「チームが落ち込む雰囲気になったとしても、ポジティブにいるのが私らしさだと思うので、そこは少し、チームのみんなに与えられたものはあったのではないかなと思います」と、苦しみながらも“自分らしさ”を発揮しようとした戦い抜いたオコエ。その経験は、必ずや次に生きてくるだろう。
取材・文=田島早苗
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