2022.09.30

初めてのW杯を終えたPGの安間志織…「攻める気持ちは忘れずにいた」

自身初めて出場したワールドカップを振り返った安間 [写真]=Getty Images
中学や高校、大学などの学生バスケットをはじめ、トップリーグや日本代表と様々なカテゴリーをカバー。現場の“熱”を伝えるべく活動中。

「FIBA女子ワールドカップ2022」のグループフェーズ最終戦が9月27日に行われ、すでに決勝トーナメント進出を逃していた日本は、開催国のオーストラリアと対戦した。試合は、序盤から競った展開となったものの、第4クォーターに引き離された日本が54―71で敗退。大会を1勝4敗で終えた。

「今日はみんながいい顔をしてできたかなと思うのですが、いいディフェンスをした後にリバンドを2、3回連続で取られてしまい、そこからゴール下だったり3ポイントシュートだったりを決められてしました。ディフェンスを頑張った後にビッグマンだけではなく、全員がリバウンドに入る意識が必要だったのかなと思います」

 試合後、安間志織(UMANA REYER VENEZIA/イタリア)は、ミックスゾーンにてこう振り返った。

 また、チームオフェンスについても「ボールが止まったときに全員が止まってしまう。攻めることができているときはいいのですが、今回のワールドカップでは、なかなかそうはいっていなかったので、そのときに全員がどうやって目を合わせて攻めるかが課題になると感じました」と、課題を語った。

 安間は、一昨シーズンはトヨタ自動車アンテロープスのポイントガードとしてWリーグでプレー。チームの初優勝とともにプレーオフMVPを獲得した。そして昨シーズンはドイツリーグでプレーし、ここでもチームの優勝に加えてファイナルMVPに輝いている。

 昨年の東京オリンピックでは、最終選考で代表入りを逃したものの、今大会で初めてワールドカップに参戦。各国を代表する選手たちと対峙したが、「世界のトップレベルの選手たちとの対戦なんですけど…、うーん、自分のプレーをする前にできなかったというか…。そこまで自分を表現することができなかったことが悔しいですね」と、言う。

 また、「私としてはチームのためにディフェンスから流れを作ろうと思っていたのですが、ディフェンスの後にほとんどミスをしていたので…。もちろん、自分の中でも『得点』は武器だと思っていたのですが、そこまでにもっていけなかった。迷いすぎていたというのがあり、何もできなかったことが悔しいし、チームに申し訳ないです」とも発した。

 今大会の安間は5試合を戦い1試合平均11・4分の出場で3.6得点2.6アシスト。もともとは得点力の高い攻撃型ガードだが、本来の持ち味を出し切ることはできなかった。本人も言うように、試合では時折、プレーに『迷い』のようなものが感じられ、そこからミスへとつながることも。しかし、思うようにプレーができない中でも、「攻めるという気持ちは忘れずにいた」という。

 それでも、いざ攻めるとなると「コントロールできないぐらいのスピードになってしまい、ファンブルやうまくパスができなかったりして…」と、安間。さらに反省の言葉が続いた。

「相手を見ながら攻めるというのが課題。(周りが)見えているときは本当にいつもどおり自分のプレーができると思うので。最初に『味方を生かそう』ということを思い過ぎてしまったので、『もっと早くから自分で攻めろ』とは、今の自分に言いたいですね」

 安間にとっては初めての国際大会。「他のチームメートもそうですが、特に宮崎早織選手(ENEOSサンフラワーズ)と山本麻衣選手(トヨタ自動車アンテロープス)は、『もっとシュートを打っていきなよ、絶対いけるから』ということを言い続けてくれて、2人には支えてもらいました」と、大会中はチームメートたちの存在も大きかったよう。

 特にポイントガードの2人は同じポジションのライバルでもあるのだが、「それぞれに特長があります。私はスタートにこだわっているわけではなく、出たときに自分の仕事を絶対にしようと思っています」と、語る。

「今回はつなぎの部分でしっかり締めてほしいと言われて出させてもらうことが多かったのですが、そこでうまくいかずにチームに貢献できなかったので、いつ出されても良いように常に準備しないといけないと思いました。まだまだ足りなかったです」

 今シーズンはイタリアのリーグで戦うことが決まっている安間。ほろ苦いこの経験をこの先の飛躍へとつなげたい。

取材・文=田島早苗

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