2022.09.30

オーストラリア戦で宮崎早織が感じた次のステップへ上がるための「いつもと違う15分」

宮崎は手応えと課題を得た大会だったと振り返った [写真]=Getty Images
フリーライター

「初めてのワールドカップをこんな感じで終わるとは思ってなかったのですごく悔しい思いはあるのですが、その中でも自分の成長を感じられた大会だったと思います。正直、あそこまで果敢にリングに攻められるとは思っていなかったので、個人的には何も考えずに挑戦できたと思っています」

 ポイントガードの宮﨑早織(ENEOSサンフラワーズ)は、オーストラリアで開催中の「FIBA女子ワールドカップ2022」について、1勝4敗(予選敗退)で終わった悔しさを感じつつ、個人として得た手応えもあったと語った。

 自身初出場となったワールドカップでは、1、2戦目はバックアップでの出場だったものの、一度コートに立てば、持ち味である速い攻めでオフェンスをけん引。2戦目のセルビア戦では11得点6アシストをマークし、3戦目からはスターターを務めた。また、これまでと変わらず、前から当たる激しいディフェンスも披露。日に日にその存在感は大きくなっていった。

 そして迎えた開催国・オーストラリアとの最終戦。日本はこの時点ですでに予選敗退が決まっていたが、出だしに宮崎がENEOSでもチームメートの渡嘉敷へ好アシストを決める。幸先良いスタートを演出し、2勝目を挙げたいチームに勢いをもたらすと、ディフェンスでもWNBAプレーヤーでもある相手ガードのサマンサ・ウィットコム(178センチ)に執ような動きで対抗した。

 しかし、2点を追う後半、第3クォーターの開始1分も経たないところで宮崎はミスを犯してしまう。勝負を決めたいオーストラリアの選手がギアを上げたようにも思えたこの時間帯。ウィットコムに激しく当たられると、宮崎の動きは精細を欠いていく。一度ベンチに下がって再び出場した第4クォーターでも本来のキレが戻るとまではいかず。この試合は5アシストを記録したが無得点に終わり、チームも54−71で敗れた。

「相手にやられたというよりは、初めてこれだけの期間、世界の選手と戦った蓄積がバッと出て。体が全然動かなくなってしまったんです。そこはいつものWリーグとは違う15分、20分だったかなと思います」

 宮崎は、パフォーマンスが落ちた後半をこう振り返った。

 さらに、「自分が先に疲れちゃって、相手にクラッシュされたときも、今までだったらかわすことができたところをかわすことができなかった。体が本当に動かなかったですね」とも語った。

 宮崎は、スピードはもちろん、無尽蔵なスタミナでも、主戦場となるWリーグではトップクラス。脚力を武器に攻防において相手を掻き回すことで相手を翻弄してきた。だが、その彼女でさえ、6日間で5試合というハードなスケジュールに加え、トップクラスの選手たちとのせめぎ合いは、大きく体力を削られるのだろう。

 とはいえ、これも経験しなければ分からなかったこと。今後も日本代表のコアメンバーとして戦い、そしてチームの勝利に貢献するには、こういった経験を積み重ね、乗り越えていくことが必要となる。

「いい経験になってくれたらいいなとは思います。今後も、タフな戦いは続くと思うし、世界はこういったところで足元をすくわれるんだとも感じました」

 予選敗退という結果には「まだまだ私の力ではチームを乗らせることや勝利に導くことはできなかった……」と悔し涙を流した宮﨑だが、一方で「プレーをしていてすごく楽しかったし、自信がついた」大会だったともいう。

 日本代表でも中堅の域に入ってきた宮崎にはさまざまな壁がこれからも立ちはだかだろう。それでも日本が誇るスピードスターは「これからもポジティブに捉えて、頑張っていきたいと思います」と、力強く語った。

取材・文=田島早苗

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