2023.05.13

女子日本代表合宿参加中の野口さくら…激しいメンバー争いにも「楽しいです」と笑顔

厳しい選手選考の中、「楽しいです」と笑顔を見せる野口 [写真]=兼子愼一郎
フリーライター

「バスケットができる環境があること、たくさんの方がサポートしてくださったり、一緒にいる仲間がいるからこそバスケットができているんだということをこの合宿ですごく感じています。一日一日の練習を大切に、楽しく悔いがないように頑張ろうという思いで合宿に参加しています」

 女子日本代表の第1次強化合宿に参加中の野口さくら(アイシンウィングス)は、5月11日に行われた公開練習後、このように語った。

 野口は安城学園高校(愛知県)の2年生のときにウインターカップ準優勝を経験するなど、高校時代からオールラウンダーとして全国で名を馳せてきた選手。181センチという高さに加えて何でもこなす器用さを持ち、日本代表も昨年度から続いての候補入りとなった。

 だが、4月に終えた第24回Wリーグでは、シーズン途中に所属していたシャンソン化粧品シャンソンVマジックを退団。実戦からはしばらく離れることとなった。そのため、代表合宿でも参加前は不安が大きかったようだか、スタッフから「合宿をしていく中で(実戦に)慣れていけばいい」と声をかけてもらったことで不安は減ったという。

 とはいえ、強化合宿はチームの強化を図るとともに、6月26日から始まる「FIBA女子アジアカップ」(オーストラリア・シドニー開催)へ向けたメンバー争いのサバイバルでもある。野口もそれは承知のうえで、「残り時間は少ないけれど、できる範囲で自分自身のできることをやってかないといけないと思います」と言う。

 退団後も練習は行っていたものの、実際、日本代表の練習では、ぶつかり合いに関して「100パーセントできているかと言われたらできていないところもあります」と語る。強度の高い練習や試合から離れていたことのブランクは少なからず感じているようだが、一方で、肩周りなどは少しがっしりしたような印象も受けた。これは自主練習中のトレーニングの賜物ともいえ、野口本人は「ウエイトトレーニングはいろんな人に見てもらいながら結構やってきました」と力を込める。

強度の高い練習や試合から離れていたブランクを少しずつ埋めている [写真]=兼子愼一郎


 ブランクを埋めながら、合宿ではメンバー入りに向けたアピールも必要だが、野口は昨年度と同様に自分自身が求められていることは変わらないという。

「(恩塚亨ヘッドコーチからは)エネルギーのあるディフェンス、前からプレッシャーをかけることや球際(のボール)を最後まで追いかけるとか、先頭を切って走るなど、若いからこそできることをやって欲しいと言われているので、そういったところをコートに立ったときに100パーセントで表現できるようにしたいです」

 同級生の東藤なな子(トヨタ紡織サンシャインラビッツ)をはじめ、チームメートからは「元気をもらっているので、自分自身も元気を与えていきたいと思っています」と笑顔を見せた野口。

「いろいろなことがあってバスケットに対して後ろ向きになってしまうこともありました。でも、(バスケットの競技者が)何十万人といる中で何十人しか来られないところに呼んでくださったからこそ、やるべき資格あるんだと感じているので、最後まで頑張ろうと思っています」

 5月8日から始まっていると声を弾ませた野口は、バスケットができる喜びと感謝の思いを胸に日々全力で練習に取り組んでいく。

取材・文=田島早苗

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