2017.11.30
ゴンザガ大学に所属する八村塁の2年目のシーズンが11月11日(現地時間10日)に開幕した。
昨季は開幕ギリギリまでレッドシャツ(勉学に集中する練習生)でシーズンを過ごすのか、それともユニフォームを着るのかわからない状態だった。最終的にマーク・フューヘッドコーチが八村に判断を委ね、「出場時間がなくても試合を経験したい」という本人の希望でロースター入りした。
しかし、今季は全く立場が違う。夏にエジプトで行われたU19ワールドカップでの活躍も評価され、シーズンが始まる前から来年のNBAドラフト候補として存在するのだ。
テキサス・サザン大学と対戦したこの日の試合。八村はゴンザガ大が11-10とリードした前半残り14分54秒にコートに入った。同14分11秒に自らがディフェンスしていた相手選手の3ポイントミスをザック・ノーベルJr.がリバウンドで奪うと、あっという間にゴール下へ走りこみ、パスを受けてレイアップを決めた。同13分32秒にはキリアン・ティリーからのパスを受けて両手でダンクを叩きこんだ。
実は八村とティリーは1年生の時にルームメートだった。フランス人のティリーと八村はともに“外国人”で英語が流暢に喋ることができなかったため、最初は会話もなく静かにゲームをしていた仲だったという。しかし、二人は今季開始から約6分半で息の合うところを披露した。
そして、同12分55秒には速攻の際にファウルを受けてフリースロー2本中最初の1本を成功。八村は出場からわずか2分の間に5連続得点。八村が出る前には6-10とビハインドだったゴンザガ大は、八村の5連続得点のところで13連続得点で、19-10と逆転してリードを広げ一気に主導権を握った。
昨季ゴンザガ大はレギュラーシーズン最後の1試合まで無敗を続け、NCAAトーナメントで決勝まで勝ち進んだ。しかし同放送のアナウンサーは言った。「このグループも引き続きチームを勝ちをもたらすでしょう」
昨シーズンのロースターのうち、1年生だったザック・コリンズが6月のNBAドラフトでサクラメント・キングスから1巡目全体の10位指名を受け(その後ポートランド・トレイルブレイザーズとなった)、3年生のナイジェル・ウィリアムズ・ゴスは、2巡目全体の55位でユタ・ジャズから指名されたあと、セルビアのプロチームでプレーすることを決めた。センターのプレメク・カーノウスキーはスペインのプロチームでプレーするなど、中心選手4人が抜けた。
しかしこの日も3ポイント6本成功を含む20得点したジョシュ・パーキンス、“リバウンドマシーン”のジョナサン・ウィリアムズ、思いきりのいいサイラス・メルソンら、昨季も活躍した選手に加え、八村やティリーらが大きな役割を担うようになった。まだ1試合を終えたところだが、今季も期待できる多くの要素を秘めている。
試合の流れをゴンザガに向けた八村は、前半残り9分59秒、今度はティリーのジャンプシュートをアシスト。ファウルを犯したあと一度ベンチに下がり、同6分29秒に再びコートに戻ったが、またもファウルとターンオーバーを犯してしまいコートを退いた。だが、放送では「若い選手にある失敗」と、これから学んでいくミスであるとされていた。
ゴンザガ大は、52-31と前半を大量リードで終了。
八村は58-39の後半残り15分1秒に出場すると、その1秒後にレイアップを決めた。そして前半と同じく八村のラリーが始まる。同14分19秒にもレイアップを決めると、直後にはトップの辺りでパスを受けると、ボールを突いて左手でレイアップに持っていき3連続でシュートを決めた。
すると今度はリバウンドだ。残り11分を切った時、取りそこなったものの相手選手よりずっと高いところに手があった。さらには、リバウンドを奪おうとする数人の後ろから長い手を出してボールを奪い、アナウンサーも思わず「今のルイによるリバウンドはどうだい!」と叫んでいた。
最終的にゴンザガ大はテキサス・サザン大に97-69と大勝を収め、ゴンザガ大は14シーズン連続開幕戦勝利。八村は18分間の出場でフィールドゴール8本中5本成功、フリースローは2本中1本成功の計11得点に加え、2リバウンド1アシスト。昨季が28試合に出場して計128分の出場(1試合平均4.6分)、73得点(同2.6得点)38リバウンド(同1.36リバウンド)で、今季はあっという間に昨季のトータルに追いつき追い越すことになる。昨季はシーズン最多得点が10得点で、この日はそれも上回った。4ファウルを得たものの、役割と出場時間が大きく変わったこともあり、思いきったプレーができた開幕戦だった。
4月のNCAAトーナメントの決勝で敗れた時、次からは自らがチームの中心となっていくことを受けて、八村は「どれだけ自分たちのバスケができるかというのが本当一番大事だとこの大会で思いました」と話していた。
2年生となり、注目度も上がって今後プレーしにくいこともでてくるだろう。しかし八村は「自分たちのバスケット」を常に頭に入れて戦っていく。
文=山脇明子
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