2017.12.04
5年2億500万ドル(約230億円)という史上最高額でオクラホマシティ・サンダーと延長契約をすることになったラッセル・ウェストブルック。
現在のNBAはサラリーキャップの高騰が起こっており、近年では毎年のように、史上最高額が更新され続けている。今回のウェストブルックの契約が締結される前は、ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリーが5年2億100万ドル(約220億円)という記録を保持していた。契約の記録でいえば、現在残っている契約と2023年までの延長契約分を足した計6年2億3300万ドル(約262億円)は、ダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス)の2億4200万ドル(約272億円)以外、全現役選手の生涯年俸より多い額と、現地メディア『ESPN』は報道している。2003-04シーズンからプレーするレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)も2億ドル(約225億円)ということを考えると、近年のサラリーキャップが以前より上がっていることがわかる。
2018-19シーズンのサラリーキャップは1億100万ドル(約114億円)、翌2019-20シーズンは1億800万ドル(約121億円)という額も、推定ではあるが報じられている。ウェストブルックは2018-19シーズンに、チーム全体のサラリーキャップの約35パーセントを占める約3540万ドル(約40億円)を得ることになり、それ以降は、年約3820万ドル(約43億円)、約4100万ドル(約46億円)、約4380万ドル(約49億円)、そして契約最終年は約4670万ドル(約53億円)と、2018-19シーズンの年俸の8パーセントが毎年加算されていくことになる。
2008年にドラフト1巡目4位でシアトル・スーパーソニックス(現サンダー)に入団し、190センチという決して大きくはないサイズを感じさせないパワフルなプレーぶりで、世界中のファンを魅了するウェストブルックも現在28歳。スター選手の移籍が相次ぎ、一つのチームに在籍し続ける選手が少なくなってきている傾向もある中で、彼のようなスーパースターの引き留めに成功したのは、チームの努力の証と言っていい。
さらに、今季のサンダーのオフシーズンの動きを考えると、現段階で既に、サム・プレスティゼネラルマネージャー(GM)は今季のエグゼクティブ・オブ・ザ・イヤー賞(最も優秀なGMに贈られる賞)候補の筆頭だろう。もちろん、ウェストブルック本人にとっても、オクラホマシティの人々にとっても、サンダー残留は喜ばしいことだ。
サンダーは、2008-09シーズンにオクラホマシティへ移転して以来、4度のカンファレンスファイナル、2011-12シーズンにはNBAファイナルの舞台に進出するなど、強豪という名にふさわしい成績を残してきている。しかし、サンダーとしての優勝経験は、いまだ0回のまま。偶然にも、リーグ屈指のデュオとして、サンダーで優勝を目指していたケビン・デュラント(現ウォリアーズ)の誕生日9月29日に、生涯サンダーとしての可能性を高めたウェストブルックが、史上最高額という期待に応え、オクラホマに栄冠をもたらすことができるかに注目が集まる。
文=中野知馬
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