2018.01.17

【NBA】自身の永久欠番セレモニーとアイザイアへのトリビュートが重なったポール・ピアースの苦悩

昨季限りで現役を引退したピアース。計19シーズンをプレーしたレジェンドである[写真]=Getty Images
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 昨季限りで現役を引退したポール・ピアース(元ボストン・セルティックスほか)にとって、2月12日(現地時間11日)は自身のバスケットボールキャリアにおいて、最も重要な日の1つである。

 ピアースは1998年にドラフト指名されてからというもの、セルティックスで15シーズンをプレー。2008年にはチャンピオンシップとファイナルMVPを獲得し、オールスターにも10度選出され、クラッチタイムで何度もセルティックスを勝利へと導いた名選手。

 NBA史上最多となる17度の優勝回数を誇る名門セルティックスにおいて、ピアースは3ポイントシュート試投数(4,928本)と成功数(1,823本)、フリースロー試投数(7,979本)と成功数(6,434本)、さらにスティール(1,583本)でチーム史上トップを誇る。さらに、得点(2万4,021点)は同2位、出場試合数(1,102試合)と出場時間(4万360分)で同3位という記録からもわかるとおり、セルティックス史上5本の指に入るといっても過言ではない実績を誇っている。

 そんなピアースがセルティックス時代に着用していた「34番」が、永久欠番になると発表されたのは昨年8月中旬。2月12日(同11日)のクリーブランド・キャバリアーズ戦でセレモニーが行われることが明らかとなったのだが、思わぬイベントが同日に行われることとなったのである。

 それは昨年8月下旬にキャブスへとトレードされたアイザイア・トーマスの“古巣帰還”に伴うビデオトリビュートだ。アイザイアは昨季までの2シーズン半、セルティックスの一員としてプレー。179試合に出場し、平均24.7得点6.0アシストを挙げ、オールスターには2度選出された。昨季に負った股関節のリハビリによって、今年1月に復帰したものの、1月4日(同3日)にセルティックスのホーム(T.D.ガーデン)で行われた試合に欠場したことで、ピアースの永久欠番セレモニーと同日に、ビデオトリビュートが行われることとなった。

 1月16日(同15日)に現地メディア『ESPN』の取材に対して「(トーマスは)尊敬されるべき選手。ボストンに来て、プレーしていようとなかろうと、トリビュートされるべき選手だと思う」とピアースは語った。そしてこのように自身の見解を述べた。「誰かのジャージーが永久欠番になるという日に、他の選手のためのビデオトリビュートもしようとするのは、どうなんだろうね。俺にはわからない」。

 さらにピアースは、セルティックスのダニー・エインジGMに対して「彼(アイザイア)をクリーブランドへ放出したことは有罪じゃないか」と話したという。

 この件に関して、アイザイアはツイッターで「ボストンにおける3年間を祝福してくれることに感謝したい。でも、この日はピアースのセレモニーがあるんだから、“34番(ピアース)”のキャリアにフォーカスしたほうがいいんじゃないかな」と投稿している。

 ピアースの元チームメートで、今季はニューオリンズ・ペリカンズでプレーするトニー・アレンは「俺はピアースを支持するよ。(トーマスは)ピアース以上の働きはしていないだろ。違うのか? ポール・ピアースは重要な働きをした。何でこの2人を同じ日に祝福するんだ?」とやや辛口のコメント。同じく元チームメートで、ペリカンズのラジョン・ロンドもアイザイアについて「彼は何か(ボストンで)やってのけたのかい?」と切り返した。

 アレンとロンドは、ピアースと共に2度のファイナル(2008年と10年)を経験しており、08年には優勝もしている。それだけにアイザイアがセルティックスで残した功績について「まだまだ」とでも言いたげな様子。

2008年のNBAファイナルで優勝し、ファイナルMVPも獲得したピアース[写真]=Getty Images

 「俺がどんな選手なのか、みんなわかってるはずだ。KG(ケビン・ガーネット/元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)ならまだしも、『アイザイアって誰?』という人もいるかもしれない。彼とシェアするのはどうかと思うよ」とピアース。

 “たら・れば”でまとめるのはベストな方法ではないだろうが、もし仮に1月の試合でアイザイアが出場できていれば……。ピアースが苦悩することはなかったはず。

 はたして、2月12日(同11日)のT.D.ガーデンは、一体どうなるのか。ピアースとアイザイア、そしてエインジGMがどのようにして会場へ姿を現すのかに注目したい。

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