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3月16日(現地時間15日)、アメリカでは“マーチ・マッドネス”と称される「NCAA(全米大学体育協会)トーナメント」が幕を開けた。
前半と後半の各20分、計40分で行われる一発勝負のトーナメントは、現役NBA選手たちも母校や知人がいる大学の試合に夢中になるなど、全米中が盛り上がる。
日本時間15日深夜、八村塁が所属するゴンザガ大がノースカロライナ大グリーンズボロ(UNCG)とのトーナメント初戦を迎えた。前半はゴンザガ大が32-23で折り返すも、後半に入ってUNCGの追い上げに遭う。試合終盤に64-64で同点と追いつかれたが、残り約20秒でザック・ノーベルJr.の値千金の3ポイントシュートが飛び出し、最後は68-64でゴンザガ大が勝利し、1回戦突破となった。八村は4得点5リバウンドだった。
現地時間16日(同15日)、名門ノースカロライナ大出身のビンス・カーター(サクラメント・キングス)が、現地メディア『The Undefeated』へ自身のNCAAトーナメントの思い出を語っていたのでその一部を紹介したい。
■NCAA1年目(95-96シーズン)
個人成績:平均7.5得点3.8リバウンド1.3アシスト
開口一番に「NCAAトーナメントには、懐かしい思い出がたくさんあるよ」と語ったカーター。まずはルーキーシーズンをこのように振り返った。
「フレッシュマン(1年)の年は、(テキサス工科大の)ダービン・ハム(元ミルウォーキー・バックスほか)と対戦したんだ。彼は強烈なダンクをたたき込んで、リムを破壊したことを覚えてる。その時俺はコートにいて、それを見たんだ。代わりのリムを運んでくるまでに時間が空いてね。あのダンクを機に、彼らは流れをつかんだ。そして俺たちは負けたんだ」
トーナメント2回戦でカーターが所属していたノースカロライナ大ター・ヒールズ(以降UNC)はテキサス工科大に73-92で敗れ、トーナメント敗退となった。この試合、UNCはジェフ・マッキニス(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)が19得点、アントワン・ジェイミソン(元ワシントン・ウィザーズほか)が16得点、カーターは12得点を挙げるも、約20点差の大敗を喫した。
■NCAA2年目(96-97シーズン)
個人成績:平均13.0得点4.5リバウンド2.4アシスト
「ソフォモア(2年)の年、俺たちはとても良いチームだった。もっと上を目指すことを誓っていたんだ。トーナメントでプレーした経験もあったからね。ファイナル4(準決勝)まで進んで、マイク・ビビー(元キングスほか)、マイルズ・サイモン(元オーランド・マジック)、マイケル・ディッカーソン(元バンクーバー・グリズリーズほか)がいたアリゾナ大と戦った。前半は俺たちが良いゲームをしている感触があったんだけど、後半から流れをつかまれて負けたんだ。そして彼ら(アリゾナ大)はチャンピオンシップを勝ち取ったんだ」
ファイナル4でその年の優勝チーム、アリゾナ大と対決したUNC。前半は31-34と3点ビハインドだったものの、「俺たち(UNC)がコントロールしていた」(カーター)と振り返っているように、UNCペースで試合は進んでいた。しかし後半に入ると徐々に点差は開いていき、最後は58-66で敗れてしまった。
この試合、カーターはチームハイとなる21得点、6リバウンド4スティールを挙げ、ジェイミソンが18得点11リバウンドと続くも、アリゾナ大はサイモンがゲームハイの24得点に加え5リバウンド5アシスト、ビビーは20得点7リバウンド4アシスト3スティールと活躍。決勝ではケンタッキー大を延長の末に撃破し、初優勝を果たした。
■NCAA3年目(97-98シーズン)
個人成績:平均15.6得点5.1リバウンド1.9アシスト
「俺のジュニア(3年)の年は、(前年と)きわめて近いチームだったが、いくつか変化もあった。(ファイナル4では)ユタ大と対決し、そこにはアンドレ・ミラー(元デンバー・ナゲッツほか)がいたんだ。俺は彼を見つけた時は、必ずといっていいほどこう言ってる。『俺たち相手にトリプルダブルをマークしたよな』ってね。ゲームは前半、俺たちがコントロールできていたけど、後半に失速して負けたんだ。それで俺のカレッジにおけるキャリアは終わったのさ」。
当時3年目のミラーは、UNC相手に16得点14リバウンド7アシストというトリプルダブル級の活躍を見せ、最終スコア65-59でユタ大を勝利へと導いた(決勝はケンタッキー大に敗退)。カーターはカレッジ最後の試合でゲームハイの21得点、5リバウンド3ブロックをマークしたが、2年連続でファイナル4の壁を突破することはできなかった。
カーターはNCAAトーナメントについて「他では決して体験できないもの」と表現していた。全米が注目する中、一発勝負のトーナメントを戦うことは大きなプレッシャーであり、かけがえのないものだったに違いない。カーターはトーナメントについてこのように続けた。
「勝つか(負けて)家に帰るか。シーズンの中でベストな時期だね。第1シードに入れば、(対戦する)16シードのチームに負けられないプレッシャーがつきまとう。だからベストなプレーをしなきゃならない。俺は2、3年目にとてもいいプレーを見せることができた。特にファイナル4では、2年続けて調子が良かったんだ」。
おそらく、多くのNBA選手がトーナメントについて同じようなことを思っているのだろう。なかにはトーナメントで大活躍して一気に知名度を上げ、NBA入りする選手もいれば、シーズン中に活躍しながら、トーナメントで活躍できずに評価を落とした選手もいる。
カレッジのキャリアを終えてちょうど20年。カーターは現役選手としては最高齢の41歳となったが、今季もベテランとして攻防両面でソリッドなプレーを見せている。ここまで長いキャリアを送ることができているのは、自身の体調管理、スキルを向上してきたこともあるが、ノースカロライナ大時代に名将ディーン・スミスHCから基礎をたたき込まれたことも要因の1つとして挙げられる。それだけに、カレッジでプレーしてきた経験は、カーターに多くのものをもたらしたはずだ。
はたして、今年のNCAAトーナメントではどんなドラマが待っているのか。NBAのシーズン終盤戦と共に、NCAAの覇権争いにも注目していきたい。
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