2018.05.13

ウエスト決勝プレビュー ロケッツ×ウォリアーズ/プレーオフ特別企画25

ロケッツのハーデン(左)とウォリアーズのカリー(右)[写真]=Getty Images
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4月15日(現地時間14日)から、計16チームによる今シーズンの王座を懸けた激闘、「NBAプレーオフ2018」が幕を開けた。バスケットボールキングでは、プレーオフ出場チームやシリーズ勝敗予想に加え、これまでのプレーオフにおける名シーンや印象的なシリーズ、ゲームなども順次お届けしていく。

<プレーオフ特別企画25>
ウエスタン・カンファレンス・ファイナル プレビュー
ヒューストン・ロケッツ×ゴールデンステート・ウォリアーズ

■2017-18シーズン成績
ロケッツ>65勝17敗(ウエスタン・カンファレンス1位)
ウォリアーズ>58勝24敗(ウエスタン・カンファレンス2位)

■2017-18シーズン直接対決戦績
ロケッツの2勝1敗

■ロケッツ

ディフェンスの精度を高めて王者に挑戦

 ユタ・ジャズとのカンファレンス・セミファイナルを4勝1敗で制し、2015年以来初のカンファレンス・ファイナル進出を決めたロケッツ。勝利した試合ではジャズを平均94.3得点に抑え込むディフェンスを見せ、オフェンスだけではないというチーム力を誇示。

 ディフェンス面でカギを握るのは、成長著しいビッグマンのクリント・カペラと、ベテランのトレバー・アリーザ。ロケッツはプレーオフにおいて、制限エリア(リング下付近)において、相手チームにフィールドゴール成功率39.0パーセントしか許していない。これは直近3試合すべてで4ブロック以上をマークしているカペラの存在が大きい。アリーザはプレーオフにおける出場時間内の得失点差において、リーグベストとなる+120点を記録。コート上にアリーザがいる時(+18点)といない時(-8.4点)では、26.4点もの差が生じている。ディフェンシブ・レーティングではミネソタ・ティンバーウルブズとの1回戦(105.1点)から、ジャズとのウエスト準決勝では99.1点まで上昇しており、ロケッツはチーム全体で強固なディフェンスを見せている。

チームをまとめ上げる③ポールの存在は数字以上に大きいものがある[写真]=Getty Images

 一方のオフェンスでは、レギュラーシーズン中に見せた3ポイント攻勢を発揮してはいないものの、ジェームズ・ハーデンクリス・ポールの両輪の周囲をカペラやPJ・タッカーエリック・ゴードンが支え、ここまでのプレーオフ全10試合すべてで100得点以上を奪取してきた。

 ウォリアーズとのレギュラーシーズンにおける戦績で、ロケッツは2勝1敗と勝ち越しており、ホームコート・アドバンテージを持っている点など、このシリーズを戦うにあたって、ポジティブな要素は十分あると言えるだろう。過去3年、ウエストを制してきたウォリアーズを倒すべく、ロケッツはチーム強化を図ってきただけに、何としてでもウォリアーズからウエストの王座を奪いたいところだ。

■ウォリアーズ

“死のラインナップ”は脅威そのもの

 ニューオリンズ・ペリカンズとのカンファレンス・セミファイナル第2戦でステフィン・カリーが戦列復帰。第3戦で黒星を喫したものの、第4戦からは“死のラインナップ”と呼ばれるウォリアーズ最強の布陣をスターターに起用し、そこから2連勝でシリーズに決着をつけた。

 カリー、クレイ・トンプソンアンドレ・イグダーラケビン・デュラントドレイモンド・グリーンで構成される“死のラインナップ”は、「ゲームのペースを上げるだけでなく、ディフェンスでも万能性を保つことができる。オフェンス面で最も大きいのは、全員がプレーメイカーになれる点だろうね」とカリーは言う。

戦列復帰後、4試合で平均24.5得点、3ポイント成功率44.1%と上々の数字を残すカリー[写真]=Getty Images

 ロケッツにはカペラというビッグマンがいるものの、ペリカンズとのシリーズでグリーンがアンソニー・デイビスをガードしていたことから、このラインナップを勝負どころで使ってくる可能性は十分ある。というのも、このプレーオフにおいてこの5人がコートに出ていた時間帯に、ウォリアーズは100ポゼッションあたり41得点も相手を上回る圧倒ぶりを見せていることがその要因だ。

 今季のウォリアーズは、ロケッツとの戦績が1勝2敗ではあるものの、プレーオフ突入後、特にカリー復帰後は過去3年と同等と言えるディフェンス力を誇っており、ロケッツのシューター陣に対しても容赦なくガードするに違いない。ポイントとなるのは、ハーデンに対するトンプソンのディフェンスと、イグダーラの存在か。プレーオフに入ってから、ディフェンシブ・レーティングでリーグトップの100.2を誇るウォリアーズだが、イグダーラ出場時はその数字が95.4にまで向上しており、鉄壁と呼べるディフェンスへとギアが上がる。勝負どころも熟知したウォリアーズのコーチ陣と選手たちは、シリーズの主導権を握るべく、ロケッツに対して初戦から全力で挑むことだろう。

■シリーズ予想 ウォリアーズ 4-3 ロケッツ

チームケミストリーで上回るウォリアーズ優勢か

 ロケッツとウォリアーズのシリーズは、今季のNBAにおける“頂上決戦”と言っていいだろう。ダレル・モーリーGMを筆頭に「すべてはウォリアーズを倒すため」と意気込むロケッツは、選手層を厚くし、ディフェンス力も強化してきた。

 「俺たちはまた優勝したいだけ。ロケッツとの対戦ということに意識したりはしない」とグリーンは語るも、ウォリアーズとしてはチーム史上初となる連覇に向けて、避けては通れない相手だけに、初戦から積極果敢に攻め立てるはずだ。

 今季3度の直接対決において、ロケッツとウォリアーズは共に46本もの3ポイントシュートを沈めており、100得点を軽々と超えるオフェンス力を発揮。プレーオフでもオフェンス力は健在で、両チームとも一度リズムに乗ってしまえば大量得点を奪える爆発力を持ち合わせている。

 そんな中、ロケッツが7ゲームシリーズでウォリアーズを下すためには、ハーデンの爆発力だけでなく、ポールやゴードン、アリーザといった援護射撃が不可欠。プレーオフにおいて、被3ポイントシュート成功率でリーグトップ(32.0パーセント)を誇るウォリアーズのディフェンス陣を突破するためには、ショットの正確性もそうだが、ボールムーブメントもカギを握るだろう。

プレーオフに入って3ポイントの威力がダウンしているロケッツ。ウォリアーズのディフェンスから安定して決めることができるか?[写真]=Getty Images

 ウォリアーズとしては、強固なディフェンス力を堅持しつつ、カリー、デュラント、トンプソンを中心に、正確無比なショットを沈めてロケッツのディフェンス陣を粉砕したいところ。

 「俺たちができる限りのものをゲームに注ぐことができれば、たとえウォリアーズであろうと俺たちを打ち負かすことはきわめてタフになる」とハーデンは自信満々に話せば、デュラントは「彼らは俺たちがすることを知っているし、俺たちも彼らがすることを知ってる。(シリーズが始まって)どうなっていくかだろうね」と語っており、相手チームに対するアジャストがシリーズの勝敗を分けるポイントになるだろう。

 プレーオフにおける経験については、やはり過去3年で2度の優勝を誇るウォリアーズが1枚上手。シーズン中からベストメンバーで戦ってきたロケッツの団結力も申し分ないものの、ウォリアーズはカリー復帰によりフルラインナップとなったことで、チーム全体でモチベーションが上がっており、勢いの面でもロケッツを上回るかもしれない。

 ロケッツにはゴードンをはじめ、ジェラルド・グリーンやジョー・ジョンソンといった、ゲームウィナーを沈めることができる選手がベンチに控えている点は頼もしいのだが、ハーデンとポールによる体制はまだ1年目。過去3年以上もの間、プレッシャー・バスケットボールを制してきたカリー、トンプソン、グリーンに、昨季から加わったデュラントも擁するウォリアーズのチームケミストリーはロケッツよりも強固と言わざるをえない。

 そのため、最終戦の末にウォリアーズがシリーズを制すと予想する。

対ロケッツにおいても、ミスマッチを作り出すデュラント。この男の調子がシリーズの行方を左右しそうだ[写真]=Getty Images

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