2019.10.30
今夏ヒューストン・ロケッツからトレードでオクラホマシティ・サンダーへと移籍したクリス・ポールは、現役屈指の実績を誇る名司令塔だ。
183センチ79キロのポイントガードは、昨季までの14シーズンで通算950試合に出場。キャリア平均35.1分18.5得点4.5リバウンド9.7アシスト2.2スティールという堂々たる成績を残しており、通算A/TO(アシスト/ターンオーバー比率)は4.04と、申し分ない安定感を誇る。
自身のイニシャルと背番号を掛け合わせた“CP3”というニックネームで親しまれているポールは、2006年の新人王を皮切りに、オールスターに9度選出(うち13年はMVPを獲得)、オールNBAチームには8度、オールディフェンシブチームには9度選ばれたほか、4度のアシスト王、6度のスティール王という輝かしい実績を持つ。
34歳のポールは、通算アシスト数(9,181本)でNBA歴代7位、通算スティール数(2,122本)ではNBA歴代9位と、いずれも歴代で10本の指に入っており、もちろん現役トップの数字である。
今季ポールがサンダーでプレーするかどうかは現時点で分からないのだが、ここでは大学時代のポールに関するエピソードを紹介したい。
9月10日(現地時間9日)に『The Athletic』へ掲載された記事の中で、ポールがウェイク・フォレスト大学在学時にアシスタントコーチ(AC)を務めていたジェフ・バトルはこう語っていた。
「彼は実にスマートな男だった。彼は当時、私と数えきれないほど多くの映像を見てきたんだ。毎試合後、何時にプレーしていようと、それが夜になろうと関係なかった。夜遅ければ翌朝彼は私が来るのを待っていたくらいさ」。
2003-04シーズン、04-05シーズンの2年間、同大でプレーしたポールは、先発ポイントガードとしていずれのシーズンもチームトップとなる平均出場時間を記録。2シーズンで平均33.5分15.0得点3.9リバウンド6.3アシスト2.5スティールという見事な成績を残していた。
バトルはACとしてポールと過ごした当時について、こう振り返っている。
「彼はいつだって自身の良くなかったプレーを見たがっていたんだ。もっとうまくなるためにね。彼はすばらしいプレーを幾度も見せていたけど、決して良いプレーを見ようとはしなかった。彼は自身にとって良くなかったプレーを見ることで準備し、前に進んでいったんだ」。
ポールが今でもこの習慣を続けているかは分からない。だがキャリア平均でフィールドゴール成功率46.9パーセント、3ポイント成功率37.0パーセント、フリースロー成功率86.8パーセントといういずれも高水準の数字を残し、平均わずか2.4本というターンオーバーの数字が示しているように、NBAという世界最高のプロバスケットボールリーグでもミスから学んで自らのプレーを向上させていったことがわかる。
抜群のリーダーシップでチームをけん引するポールは、今季どのチームでプレーすることになろうとも、攻防両面において司令塔として効果的なプレーを続けていくに違いない。
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