2020.02.29

「僕はジョーダン、コービー、それにシャックもガードしてきた」とショーン・マリオン

サンズ時代、自身のプレースタイル、タフだったマッチアップ相手などについて語ったマリオン[写真]=Getty Images
バスケ情報専門サイト

「今のゲームにおいて、僕の功績は大きな部分を占めていると思ってる。きっとバスケットを本当に理解している人たちは、そう見てくれていると思ってる」

 NBAキャリア16シーズンで、ショーン・マリオンは4度のオールスター、2度のオールNBAチームに選出された実績を持ち、2011年にはダラス・マーベリックスでNBAチャンピオンにも輝いた。

 通算5チームに所属し、計1,163試合(うち先発は1,062試合)に出場したマリオンは、平均34.5分15.2得点8.7リバウンド1.9アシスト1.5スティール1.1ブロックをマーク。201センチ99キロのフォワードは、その特異な身体能力から“マトリックス”というニックネームで愛された選手でもある。

 ナチュラルポジションはスモールフォワードながら、フェニックス・サンズ在籍時にはマイク・ダントーニHC(ヘッドコーチ/現ヒューストン・ロケッツHC)の下でスティーブ・ナッシュ、アマレ・スタッダマイヤー(共に元サンズほか)と共に“ビッグ3”を形成。

 マリオンはパワーフォワードにスライドされ、自慢の身体能力を駆使してコート上を駆け回り、攻防両面でサンズの成功を支えてきた献身的な選手でもある。中でも2005-06シーズンはいずれもキャリアハイとなる平均21.8得点11.8リバウンド1.7ブロックに1.8アシスト2.0スティールと、驚異的な成績を残した。

マリオンは豪快なダンクで何度も観衆を沸かせた[写真]=Getty Images

 2月29日(現地時間28日、日付は以下同)に『HOOPSHYPE』へ掲載されたインタビューの中で、マリオンは“7秒以内にショットを放つ”画期的なオフェンスを展開したサンズについて「今のゲームにおいて、プレースタイルになっているものだと思う。ゲームの進化ってやつさ。今の選手たちは当時よりもっとスキルがあり、才能もあるけどね。今ではフロアでいろんなことをこなせる選手たちがいるんだ」と自信を持って口にしていた。

 サンズ時代の最高傑作と言えば、やはり2004-05シーズンだろう。ナッシュが加入した初めてのシーズンであり、アマレ、マリオンと共にジョー・ジョンソン(現未所属)とクエンティン・リチャードソン(元ロサンゼルス・クリッパーズほか)がスターターを形成するというスモールラインナップで、リーグトップの62勝20敗をマーク。

 ナッシュの変幻自在のプレーメイクと正確無比なシュート力を中心に、アマレとマリオンが相手のビッグマンを機動力で圧倒し、ジョンソンとリチャードソンが3ポイントを連発しつつ、ウイングとしてはフィジカルな身体を駆使してリバウンドに跳び込む。見ていて爽快なチームだったと言っていい。

「もし当時のサンズが現在のリーグにいたら、どうなっていたか?」という問いに対して「僕らを倒すことは難しいだろうね。特にビッグマンがペリメーターでプレーしている場合はね」と語ったマリオンだが、昨年バスケットボール殿堂入りの候補者に挙がるも、今年2月に発表された最終候補には残ることができず、殿堂入りは来年以降となった。

「過小評価されてると思うか?」と聞かれたマリオンは「そう聞いたことはある。それが現実ってやつさ。でも僕はこのゲームに多くを捧げてきた。(バスケットの成長を)助けたと思ってる。今のゲームにおいて、僕の功績は大きな部分を占めていると思ってる。きっとバスケットを本当に理解している人たちは、そう見てくれていると思ってる」とコメント。

持ち前の身体能力と研ぎ澄まされた勘を攻防両面で発揮したマリオン[写真]=Getty Images

「僕は今のリーグでプレーする選手たちと比較されるのを見たくないんだ。僕がコートでやってきたことを他の選手がやっているのを見たことがないからね」

 独特なシュートフォームから繰り出すジャンパーは決して高確率ではなかったものの、3ポイントもこなすことができたマリオンは、オフェンスとディフェンスの両面に秀でた2ウェイプレーヤーとして活躍してきた。自身が現役時代にプレーしていた当時を思い出させる選手として「カワイ・レナード、あとはポール・ジョージ(共にクリッパーズ)かな。攻防両面で粘り強さを持ってプレーしてるから」と発言したものの、きっぱりとこう続けていた。

「でもいくつか似ているところがあるくらい、ほんのちょっとさ。僕は今のリーグでプレーする選手たちと比較されるのを見たくないんだ。僕がプレーしたやり方、コートでやってきたことを他の選手がやっているのを見たことがないからね」。

マリオン(右)は好敵手としてマッシュバーン(中央)を挙げた[写真]=Getty Images

 そんなマリオンが、現役時代にガードしてきた選手の中で最もタフだった選手について聞かれると、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)といった歴代有数のスーパースターたちと共に、意外な選手の名前が出てきた。

「僕はこれまでのキャリアでジョーダン、コービー、それにレブロンもガードしてきた。個人的なお気に入りは、ジャマール・マッシュバーン(元マブスほか)だね。彼は本当に多彩で、大好きだったんだ。大柄なスモールフォワードで、フロアの中でいろんなことをこなすことができ、スキルにあふれていたんだ」。

 もっとも、マリオンはビッグマンと対峙することも多く、今年の殿堂入り最終候補に選ばれたティム・ダンカン(元サンアントニオ・スパーズ)、ケビン・ガーネット(元ミネソタ・ティンバーウルブズほか)、さらにはリーグ史上屈指の巨漢センターとのマッチアップもあったという。

「僕はね。皆をガードしてきたんだ。ティム・ダンカン、ケビン・ガーネットといったビッグマンもそう。あとはシャック(シャキール・オニール/元レイカーズほか)を2、3回ガードしなきゃいけなかったんだ!(笑) その中で、僕はチャレンジをいつも受け入れてきた。彼らをガードする時は毎回マインドセットしなきゃならなかったね」。

 昨年のジャパンゲームズでもレジェンドとして来日したマリオン。“マトリックス”の異名で知られた万能戦士は、早ければ来年にも殿堂入りすることができるだろう。

マリオン(右)は体重にして50キロ近くの差があるシャック(左)ともマッチアップしてきた[写真]=Getty Images