2018.10.31
2000年代中盤から後半にかけて、ウエスタン・カンファレンスのプレーオフではロサンゼルス・レイカーズとフェニックス・サンズが3度も激突した。
06年と07年はファーストラウンド、10年にはカンファレンス・ファイナルで対決した両チームによるシリーズは、最初の2回をサンズが制し、3度目となった10年にはレイカーズがサンズを4勝2敗で下し、NBAファイナルへと勝ち進んだ。
当時レイカーズでエースを務めていたのは、もちろんコービー・ブライアント(元レイカーズ)。コービー中心のチームとなった00年代中盤、レイカーズはスティーブ・ナッシュやアマレ・スタッダマイヤー、ショーン・マリオン(いずれも元サンズほか)擁するサンズ相手に2年連続で敗れていた。
06年と07年といえば、コービーが2年連続で得点王に輝き、おそらくリーグ最強のスコアリングマシンとしてリーグを席巻していた時期だった。しかしながら、当時はまだ優勝を狙えるほどの戦力が整っていなかったレイカーズに対し、サンズはリーグ有数の好成績を挙げる優勝候補の一角だったこともあり、06年は4勝3敗、07年は4勝1敗でサンズに軍配。
だが、2連覇を懸けて臨んだ10年のレイカーズは、リーグを代表する豪華戦力を有していた。コービーの周りにはオールスターのパウ・ガソル(現サンアントニオ・スパーズ)を筆頭に、アンドリュー・バイナム(元レイカーズほか)やロン・アーテスト(現メッタ・ワールドピース/元インディアナ・ペイサーズほか)、デレック・フィッシャー(元レイカーズほか)、04-05シーズンから所属していたラマー・オドム(元レイカーズほか)といった役者がそろっていた。
両チームが自慢のオフェンス力を存分に発揮し、100点オーバーを連発した10年のシリーズ。流れを変えたのは2勝2敗で迎えた第5戦だったと言っていいだろう。試合時間残り3.5秒にジェイソン・リチャードソン(元ゴールデンステート・ウォリアーズほか)の3ポインターでサンズが101-101のタイスコアに持ち込むも、残り約3秒にコービーが放った3ポインターのこぼれ球をアーテストがもぎ取り、残り0.8秒に貴重な追加点を挙げてレイカーズが劇的勝利。翌第6戦ではコービーがゲームハイの37得点を奪う大活躍でサンズに引導を渡した。
そして06年と07年のサンズには、コービーに対して並々ならぬ闘志を燃やしてプレーするラジャ・ベル(元サンズほか)という男がいた。サンズ加入後、3ポイントシュートに磨きをかけたベルは、エースストッパーとしても台頭し、“3&D”タイプの選手としてチームに不可欠な男へと成長。コービーを止めるべく、毎回激しいマッチアップを繰り広げていたのである。
今回は9月2日(現地時間1日)に現地メディア『HoopsHype』へ、ベルが当時について語っていたので紹介しよう。
「俺たちは何度もエルボーを繰り出し合ったし、悪口を言い合ったりしていた。当時について、コービーがどう感じていたは分からないけど、俺は彼のことが心底嫌いだった。本当に好きじゃなかったんだ」。
試合中に何度も小競り合いになるほど、コービーとベルは激しいマッチアップを繰り広げていた。ベルの言葉からも、その激しさが伝わってくると言っていいだろう。
ところが、コービーに対する嫌悪感は、しだいになくなっていったとベルは言う。
「でもその中で、俺にとってクールだったのは、マッチアップしていくにつれて、互いにちょっとしたリスペクトが生まれ始めていたこと。俺らは互いに友好な関係を構築していったんだ。親友のような関係になることはなかったけれど、サンクスギビングデイで彼とその家族を誘って、一緒に過ごしたんだ。あれは本当にすばらしいことだったね。今でも俺にとってお気に入りのシーンさ。それを機に、俺も彼のことをリスペクトするまでのレベルに達したのさ。歴代でもベストなプレーヤーの1人に入る男とそういう関係になったんだから、俺にとっては本当にすごいことだったんだ」。
キャリア12シーズンをプレーしたベルは、通算706試合(うち先発は479試合)に出場し、平均28.1分9.9得点2.8リバウンド1.7アシストを残し、現役を引退。キャリア通算3ポイント成功率40.6パーセントを残すと共に、07年にはオールディフェンシブファーストチーム、翌08年には同セカンドチームに選ばれるなど、リーグ有数のディフェンダーとして活躍してきた。
オールスター選出や優勝経験こそないものの、00年代を代表する名脇役の1人として、見事なキャリアを送ったと言っていいだろう。
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