2020.09.19
2016年のドラフト1巡目全体3位でボストン・セルティックスから指名されたジェイレン・ブラウンは、筋骨隆々の肉体を武器に複数のポジションをガード可能なディフェンダーとして台頭。オフェンス面でも徐々に頭角を現し、4年目の今季はキャリアハイとなる平均20.4得点に6.4リバウンド2.2アシスト1.1スティールというオールスター級の成績を残している。
23歳のブラウンは、昨夏中国で行われたFIBAワールドカップでアメリカ代表の一員としてもプレーし、昨秋にはセルティックスと超高額の延長契約を結んだことで、将来が期待される若手選手の1人と言っていい。
そんなブラウンにとって、苦々しい思い出があるようだ。5月16日(現地時間15日、日付は以下同)に地元メディア『The Boston Herald』へ掲載された記事の中で、当時17歳だった時(2014年)にU18のアメリカ代表チームに選ばれ、ビリー・ドノバンHC(ヘッドコーチ/当時フロリダ大学HC)の下でプレーした時のエピソードについてこう振り返っていた。
「俺はあのチームでプレーしていた。あのチームでベストプレーヤーの1人、いやおそらく俺があの中でベストプレーヤーだったんだ。でもなんらかの理由で、彼は俺にプレーさせようとしなかった。なんでそうなったのか、理解しようとはしたよ。だって俺は、練習の中で皆を蹴散らしたんだから。チームは金メダルを手にしたんだけど、俺はベンチから見るんじゃなくて、もっとコートに出てプレーしたかった。で、コーチに聞いたら、彼は俺が『ハードにプレーしなかったからだ』と言ったんだ。そして『君はハードにプレーしないから、リーグ入りするまでに君だけ3年はかかるだろう』と言われてね」。
当時のロースターにはブラウンのほか、ジェイレン・ブランソン(現ダラス・マーベリックス)、アロンゾ・トリアー(現ニューヨーク・ニックス)、マイルズ・ターナー(現インディアナ・ペイサーズ)といった選手たちがいたものの、ブラウンは練習で彼らを圧倒していた。それだけに、ブラウンが怒りを露わにしてもおかしくはない。
「すぐさま感情的になったね。17歳だったんだから。そこで『どういうことですか? 僕はここではベストプレーヤーじゃないですか。彼らを圧倒していますよ?』って感じで聞いたんだ。その時の俺はすごく怒ってたし、泣いていたんだ。でもその一件が俺のやる気を駆り立てたんだと思う。今俺はNBAにいて、あと何年かしてどうなるか、『見てろよ』って感じさ」とブラウン。
あれから約6年。心身ともに充実しているブラウンの自信を支えているのは、様々なパターンで取り組むハードワークだという。
「自信を持つことが全て。バスケットボールに情熱を注ぐだけではないんだ。本当の自信というのは、ワークアウトやプラスアルファの努力から得られる。そういったことが自信を与えて、ワークアウトに励ませるんだ。家の周りを走り回る犬のように、コービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)が持つような自信、『俺はお前らよりも練習してるんだ』というものが大事なんだ」。
ドノバンHCはブラウンがNBA入りする1シーズン前にオクラホマシティ・サンダーの指揮官へ就任。ブラウンは今季を含めてキャリアの中で6度サンダーと対戦しているのだが、平均わずか10.0得点に4.2リバウンド1.5アシストとあまり活躍できていない。
かつての苦い経験を思い出してしまい、シュートタッチに狂いが生じているのかは分からないものの、自身のキャリアに大きな影響を与えたドノバンHCへ、恩返しという意味で大暴れするシーンを見てみたいものだ。
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