2022.07.30
昨年のドラフト2巡目41位でゴールデンステイト・ウォリアーズから指名されたエリック・パスカルは、198センチ115キロと屈強な肉体を誇るパワーフォワード。
サマーリーグでは3試合に出場して平均24.4分11.3得点3.3リバウンド2.3アシストをマーク。昨年7月9日(現地時間8日、日付は以下同)にウォリアーズと複数年契約を結び、プレシーズンゲームでも5試合で平均23.1分9.4得点3.6リバウンド1.2アシストとまずまずの成績を残し、開幕ロースターに残った。
といっても、本来ドラフト2巡目指名の選手が開幕ロースターに名を連ねることはあまりなく、ましてや昨季まで5年連続でNBAファイナルへ進出し、3度の優勝を飾ったウォリアーズでプレータイムを手にする機会はほとんどないに等しいものだった。
ところが今季のウォリアーズは、ケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)を筆頭に多くのベテランが退団。さらにはクレイ・トンプソンが昨季のNBAファイナルで左膝前十字靭帯を断裂していたため全休、ステフィン・カリーも今季序盤に左手の骨折により長期離脱。新加入のウィリー・コーリー・スタイン(現ダラス・マーベリックス)もケガで出遅れたことで、2巡目指名ルーキーに出番が回ってきたのである。
するとパスカルは開幕4戦目に20得点2ブロック、6戦目に25得点4リバウンドを奪うと、7戦目となった11月5日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦で大暴れ。いずれもチームトップとなる34得点13リバウンドをたたき出し、ウォリアーズへ今季2勝目をもたらした。
その後も2ケタ得点を安定してもたらし、見事ローテーション入りを果たしたパスカルは、60試合(うち先発は26試合)に出場して平均27.6分14.0得点4.6リバウンド2.1アシストにフィールドゴール成功率49.7パーセントと、ルーキーとしては上々の成績を残している。
先日公開された『Bleacher Report』のハワード・ベック記者との「The Full 48」ポッドキャストに出演したパスカルは、大学からNBAへと環境を変えながらも、スムーズに移行できた要因として大学で5年過ごしたことを挙げている。
「僕は準備できていたように思うね。なぜって、僕は大学に5年間いたし、あらゆる立ち位置を経験してきたんだ。1年間ベンチに座っていたし、ロールプレーヤーにもなった。メインローテーションにも入ったし、そのチームのスターとしての役割もこなしてきた。だから(NBAでも)対応できたんじゃないかな」。
パスカルはフォーダム大学へ入学し、1年次に平均31.2分15.9得点5.5リバウンドを残すも、ビラノバ大学へと編入。1年次はジェイ・ライトHC(ヘッドコーチ)の下でベンチに座っていたものの、2年次には平均21.7分7.2得点3.8リバウンドを記録し、3年次には平均29.8分10.6得点5.3リバウンドまで成績を伸ばすと、4年次となった昨季は平均36.1分16.5得点6.1リバウンドをマーク。
特に3年次にはジェイレン・ブランソン(現マブス)やミケル・ブリッジズ(現フェニックス・サンズ)、ドンテ・ディヴィンチェンゾ(現ミルウォーキー・バックス)らと共にNCAAトーナメントを制しており、パスカルは5年間の大学生活で貴重な経験を積んできた。
「僕はルーキー。だから27分も出場してボールにたくさん触れるだなんて期待してなかった。ただコートに出てハードにプレーすること、正しいプレーを心がけようとしてきた。でも僕は自分の役割が拡大していくにつれて、十分に準備できていたんだなと感じた。(大学で)いろんなことをやってきたからね。僕は23歳で、フィジカル面では十二分に対応できるから、その点でチームを手助けできるんだと感じていたんだ」。
パスカルがそう話したように、NBAで試合をこなしたことで、オールスターブレイク後は平均32.0分17.5得点に4.2リバウンド4.2アシストとさらに数字を伸ばし、フィールドゴール成功率も56.0パーセントという好成績。10試合のうち8試合がベンチスタートながら、見事な活躍を見せていたと言っていいだろう。
来季の先発予想はスモールフォワードにアンドリュー・ウィギンズ、パワーフォワードにドレイモンド・グリーン、センターにマーキーズ・クリスとなっており、パスカルはシックスマンとしてベンチスタートになるだろうが、“経験豊富”なパスカルならば、今後も新たな役割に対してアジャストしていくことができるのではないだろうか。
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