2020.12.20
8月19日、NBA2年目のシーズンを終えた渡邊雄太がオンラインでの取材に応じた。
まず最初に2019-20シーズンの振り返りを求められた渡邊は、「すごく成長を感じられた1年でもありました」とコメント。Gリーグのメンフィス・ハッスルとNBAのメンフィス・グリズリーズ、両方での各種スタッツが向上したことを挙げ、「自分も高いレベルでやっていけるんだということを再確認できました」と手ごたえを口にした。
その一方で、「それ以上に悔しい思いが残ったシーズンでした」とも話し、「Gリーグではほとんど文句のない活躍ができたと思うんですけど、NBAではまだまだ自分の足りないところを痛感しました」と十分なプレータイムを確保できなかったグリズリーズでのプレーを反省。さらに目標としていたシーズン中の本契約を勝ち取れなかったことにも触れ、「目標は達成できず、コロナなども含めて本当にすごく大変で、悔しい思いをした1年だったと思います」と2年目のシーズンを総括した。
その中で、具体的にはどのような点で成長を感じたのかという質問に対して渡邊は「フィールドゴールの成功率」と回答。Gリーグでは1年目の43.4パーセントから54.2パーセント、同じくNBAでは29.4パーセントから44.1パーセントと確率が向上しており、本人も「成長が数字的にもはっきり見える部分かなと思います」と話している。また、その向上の要因については「ガードが切り込んでいくのに対して、空いているスペースに飛び込んでいく“合わせ”をうまくできるようになりました。簡単なシュートを簡単に打てるようになったのが、一番大きいと思います」と分析した。
一方で課題として挙げたのは3ポイントの確率だ。Gリーグでは36.4パーセント、NBAでは37.5パーセントを記録しているが、本人は「もっと高確率で決めたかった」と反省の色を示している。目標は40パーセントを超えることだと話し、そのためにも「もっとゲームをイメージして練習しなければいけない。ムービングのシュートを打つにしてももっとスピードを上げるだとか、ディフェンスについてもらうだとか。もっと工夫しながらやらないと」と向上に取り組む姿勢を示した。
3ポイントの向上は、NBAで生き残っていくために目指す選手像とも重なる。渡邊はもともとミドルレンジのシュートを得意としているが、現在目指しているのは3ポイントとディフェンス能力に秀でた「3&D」プレーヤーとして評価を高めることだという。得意とするミドルレンジのシュートが「数字的にあまり期待値がよくないということで、そもそもそういうシュートを打つこと自体があまりいいと思われていない」と現代バスケのトレンドとの一致しないことを認識しており、「それではこの世界で生きていくのは無理だと思うので、3&Dを極められたらなと思っています」と今後の展望を語った。
今シーズンは八村塁がワシントン・ウィザーズと契約し、渡邊に続くNBA史上3人目の日本人選手となった。12月の初対戦時にはマッチアップする時間帯もあり、試合後には互いのユニフォームを交換するなど、日本バスケット界にとって歴史的なシーンを生み出した。このことについて渡邊は「僕と塁が同じコートに立って試合をすることで、それを見ている若い世代、これからを担う選手たちから『自分もあのコートに立ちたい』『NBA選手になりたい』という選手が増えてくると思うので、今後の日本のバスケットにとっては大きな試合だったのではないかなと思っています」と感想を語った。
NBA初の日本人対決!
pic.twitter.com/eCcZ7N92UI— ワシントン ウィザーズ (@washwizardsjp) December 15, 2019
八村との対戦を振り返る中で、渡邊がポツリとこぼしたのは「僕は出場時間は短かったですけど」という一言。確かにGリーグでは自ら「ほとんど文句のない活躍ができた」と振り返るプレーを見せながらも、NBAでは18試合の出場で1試合平均出場時間は5.8分と伸び悩み、八村との試合でも約7分間の出場にとどまっていた。
NBAの舞台でプレータイムを確保していくためには、「練習の中でいかにアピールできるか」が大事だと渡邊は話すが、シーズンが始まると練習時間は短くなり、その練習もローテーションメンバー中心のものとなるので、「そこだけでアピールし尽くすというのは正直難しい部分がある」というのが実情のようだ。それでも「それを言い訳にしているとずっと試合に出られないので、短い練習時間や試合での出場時間で、何か一つでもインパクトを残していく、そういった積み重ね(が大事)なんじゃないかなと思っています」と、自身の考えを話した。
グリズリーズとの2way契約2年目を終えた渡邊。今後もNBAでの本契約という目標は変わらないが、それに向けてさらなる向上が必要だと本人も痛感している。
「自分はプレースタイル的に、短い時間で何か派手なプレーを決めるとか、そういうタイプの選手ではないので。例えば勝負が決まった時間帯に出されても、いかにディフェンスをやったりだとか、そういうことをしていくのが大事だと思います。その部分をもっと突き詰めていかなければいけないと感じたので、このオフシーズンで全体的に進化していかないと、NBAの本契約というのは現状ではまだ難しいのかなと思っています」
はたして2020-21シーズンは渡邊にとってどのようなシーズンになるのか。実直な姿勢を貫き、真摯にバスケットと向き合う“日本の至宝”の活躍に、今後も期待したい。
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