2021.02.01

チームの不調に悩むブラッドリー・ビール…ウィザーズからトレードの可能性は?

トレードの噂が後を絶たないウィザーズのビール[写真]=Getty Images

 昨シーズンから指摘されているディフェンス面でなかなか改善が見られず、白星に恵まれないワシントン・ウィザーズ。1試合平均114.7得点というリーグトップクラスの攻撃力を誇るも、最近までは安全衛生プロトコルによる主力選手の欠場もあって、泥沼から抜け出せずにいる日々が続いていた。

 そんな不調に喘ぐチームにおいて、エースのブラッドリー・ビールは孤軍奮闘を続けている。かつての相棒ジョン・ウォールがヒューストン・ロケッツに移籍し、代役として加入したラッセル・ウェストブルックは本来のコンディションを取り戻せず、ビールはワシントン唯一の頼みの綱として、1試合平均得点においてリーグトップの34.9得点を記録している。

 しかし、その素晴らしいパフォーマンスとは裏腹に、先日は「自身が40得点以上を記録した試合で10連敗」という不名誉な記録が樹立されてしまい、直近のロケッツ戦ではベンチで頭を抱え苦しむ様子が映され、ファンからはメンタル面での心配が相次いだ。

 このような状況を受けて、ビールには再び、トレードの噂が浮上している。『Heat Nation』によると、オフェンス難に陥っているマイアミ・ヒートは、ジェームズ・ハーデンを逃したため、ビール獲得を熱望しているという。また、『ESPN』の名物記者エイドリアン・ウォジナロウスキーは、ゴールデンステイト・ウォリアーズやデンバー・ナゲッツのほか、ロサンゼルス・レイカーズとクリッパーズもビールを交えた取引の可能性を伺っていると伝えている。

苛立ちを認めるビール…エージェントはトレードの可能性を否定

ファンからメンタル面を心配されるビール[写真]=Getty Images


 昨今の状況を考慮して、ビールのトレード論は加熱する一方だ。では、このような状況下に置かれたビール本人は一体、どのように感じているのだろうか。『ESPN』では、1月28日(現地時間27日)に開催されたニューオーリンズ・ペリカンズ戦後に、ビールのコメントを伝えた。

 ビールははじめに、記者からの「苛立ちはあるか」という質問に対して「当たり前だろ?」と返答し、参っていることを否定せず。そして、次のように続けている。

「タフだよ。僕はずっとこの状況にいるのは御免だし、ナイーブにもなりたくたい。僕たちは勝ちたいし、僕も勝ちたい。それがここにいる理由だ。僕は勝ちたいし、ここ(ウィザーズ)ならそれができると思っている。それにしてもタフだし、去年もそうだった。ジョン(・ウォール)をはじめ、多くの人間がチームを去った。酷い1年だったよ、コロナの打撃もあったしね」

「今年も同じようなものだね。バブルの外でのミニバブルみたいな感じだ。ファンもいないし、何もない。練習する時間さえない。未だにタフな状況だよ」

「僕はただ負けるのが嫌だ。黒星が大嫌いなんだ。僕は今後も苛立った顔立ちを見せるだろうね。僕はこれからも苛立った表情を見せてしまうかもしれない。なるべくコントロールしようと努力はしているんだけど、僕はとにかく負けるのが嫌いなんだ」

元相棒ウォールとの別れにも言及[写真]=Getty Images

 背番号3を背負うフランチャイズプレーヤーは、現状を芳しく思っておらず、フラストレーションを滲ませている。だが、肝心のトレードについて、ウォジナロウスキー記者は以下のようにコメントしている。

「私はブラッドのエージェントと話しをしましたが、彼は先程、ブラッドのウィザーズへの集中が今シーズンを好転させると言っていました。彼が契約延長にサインしたときから、彼はそこ(ウィザーズ)で成長できると信じていたようです」

「通常、球団というのは他の誰よりも先に情報を入手しているものです。私たちが報道する以前に、彼らは窓口が開いているかを知ることができます。しかし、(ビールのトレードを探る)彼らの誰しもが、その可能性を感じていません」

 トレードの噂があがる度に、ウィザーズへの忠誠を誓ってきたビール。その想いは、不振が続く現在も変わっていないようだ。

 2月1日(現地時間1月31日)に開催されたブルックリン・ネッツ戦では、優勝候補相手に大逆転劇を演じ、見事勝利をもぎ取ってみせた。ビールも37得点と奮起し、新たなパートナーのウェストブルックもゲームハイの41得点で復調の兆しを覗かせている。

 この白星を起爆剤に、ウィザーズは波に乗ることができるのか。コート上でビールの笑顔が続くことを祈りたい。

ネッツとの激戦を制し、喜びを爆発させるウィザーズメンバー[写真]=Getty Images

文=Meiji

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