2021.02.03

カナダ地元紙が渡邊雄太をピックアップ…奮闘を続ける渡邊の評価と本契約の可能性は?

カナダの地元紙2紙が渡邊を特集し、本契約への可能性を言及した[写真]=Getty Images
某ストリートメディアのシニア・エディターを経験後、独立。ひとつのカルチャーとしてバスケットボールを捉え、スポーツ以外の側面からもNBAを追いかける。

 2Way契約を結んで今シーズンからトロント・ラプターズに加入した渡邊雄太は、印象的な活躍を続けている。

 開幕当初は満足な出場時間を与えられない日々が続いたが、アグレッシブなディフェンスや要所の3ポイントシュートがヒットし始めると、次第にプレイタイムが増加。2月3日(現地時間2日)のオーランド・マジック戦から逆算して直近5試合では、1試合の平均プレータイムは16.2分。数字にならない献身さも目立つなか、スタッツも7.8得点、4.0リバウンド、フィールドゴール成功率55.7パーセントと上々の結果を残し、ニック・ナース監督からの信頼は日に日に厚さを増しているように思える。

 そんな渡邊の目覚ましい活躍には、地元紙も注目している。『NBA.com Canada』は1月28日付の記事で、「トロント・ラプターズのフォワード、渡邊雄太は努力以上に有益なものを提供しているか?」という見出しをつけて同選手をピックアップしている。

カナダの地元紙はディフェンス面での貢献を評価

渡邊は「ディフェンスでインパクトを与えている」と地元紙が評価[写真]=Getty Images


『NBA.com Canada』は初めに、渡邊が2Way契約を結べるラストイヤーであることを指摘。通常、2Way契約はGリーグ契約選手としてトップチームに45日間帯同できるという契約だが、2020-21シーズンは新型コロナウイルス拡大による特殊な環境を考慮して、最大50試合に出場可能となり、今シーズンはレギュラーシーズンの約70パーセントに帯同できる。同紙は、渡邊のハッスルする姿から「本契約獲得に向けた最後のチャンスであることを理解している」という印象を受け、その姿勢を讃えている。

 しかし、実績重視のアメリカにおいて、プロの世界はより厳しいジャッジが必要になる。『NBA.com Canada』は実際の数字をもとに、渡邊が有益な選手かどうかを考察。特に、度々話題にあがるディフェンス面での貢献に焦点を置き、本契約の可能性に言及している。

「渡邊がフロアにいるとき、ラプターズはより守備的に優れたチームになる。彼がコートにいないとき、100ポゼッションの失点が110.1点であるのに対し、渡邊がいる時間帯は103.1点に止まっている。ガベージタイムやベンチユニット相手に起用されることもあるが、彼はローテーションプレーヤーとして成功を収めている」

「(ラプターズがディフェンシブリバウンドに弱いことを前置きしたうえで)渡邊はチームで最も信頼できるディフェンシブリバウンダーの1人である。ディフェンシブリバウンドパーセンテージは、アーロン・ベインズを上回り、ロスターでトップの成績だ」

「いくつかの数字は、彼がチームにプラスの効果をもたらしていることを示している。そして、彼は功績を認められる以上に優れた選手でもある。サイズがありながらも機敏に動き、フロアにいるときはラプターズのスペーシングを手助けする素晴らしいシューティングがある」

「彼はローテーションで本契約を結ぶに値するだろうか? それは時間が教えてくれるだろう。だが、もし渡邊が2Wayから本契約にならなくても、それが努力不足でないことを強調しておきたい」

 さらに、『NBA.com Canada』のピックアップから数日後、もう一社の地元紙『Toronto Sun』も渡邊の活躍に着目。2月1日付の記事内では、その間でパフォーマンスを高めた同選手に対して惜しみない賛辞を送られた。

「渡邊は次第にトロントで存在感を示している。優れたサイズと知性を活かし、ベンチからディフェンス面で莫大なインパクトを与えている。渡邊は素晴らしいプレーを披露しており、チームは彼を2Way契約から本契約へコンバートすべきだ。彼らにはこれ以上賢く、有能なディフェンダーが存在しない。彼は重要である」

「また、もし彼のショットが当たっていれば、彼は必要に応じて20分間プレーできる。渡邊は過去2試合で23ポイントを記録しており、シューティングは6本中5本のスリーポイントを含め、9本中7本を成功させている。これは過去2シーズン、メンフィスで33試合に出場し、5本のスリーポイントしか沈めていない選手にしたら決して悪くはない結果だ。渡邊はシューターとしても成長が見られる」

 地元紙はもちろんのこと、SNSではファンからも信頼を獲得しはじめた渡邊。最近はラプターズの公式ツイッターにおいても、渡邊のハイライトを見かけるのは珍しくなくなった。

 毎試合、堅実に努力を続ける渡邊は、一歩ずつ確実に本契約獲得へと近づいているはずだ。

 文=Meiji

BASKETBALLKING VIDEO