2021.11.01

未だ不透明な八村塁の復帰時期…関係者も不安視「何が起こっているのか分からない」

八村の復帰時期は未だに決まっていない[写真]=Getty Images

 NBA開幕からレギュラーシーズンの約10パーセント程が消化されつつある。ワシントン・ウィザーズは、オフに選手層を大幅に拡大したことが功を奏し、現在5勝1敗と絶好調の滑り出し。新加入選手もすんなりとチームに馴染んだ印象で、ブラッドリー・ビール不在での白星など意味のある勝利も多く、今シーズンを通じて一味違ったウィザーズが楽しめそうな予感だ。

 ビールはオフェンスに物足りなさを感じているにもかかわらず、「すべてが噛み合い始め、みんなが健康だったら、恐ろしいことになる」と、手応えを感じている。彼が言うとおり、ウィザーズはまだ未完成。その欠けているパズルのピースにはもちろん、八村塁の存在も含まれている。

 八村は現在、メンタルケアを優先した個人的理由で、チームから離れて調整を行っている。去る10月上旬、新ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.は「個人的な理由なので戻ってこられる時に戻ってくればそれで良い。彼はチームと常に連絡を取っている」と同選手を気遣い、復帰を急ぐ必要がないことを強調した。

 しかし、ウィザーズの内情に精通するクイントン・マヨは、八村の現状が想像以上に芳しくないものと感じているかもしれない。同氏によれば、複数の情報筋が八村は未だ、チームメートと同時に練習施設にいないと証言。また、マヨはそのうちの1人から、以下のような返答をされたという。

「我々は彼を全く見ていません。もしかすると、夜に個人でワークアウトをしているのかもしれません。詳細はわかりません。彼に何が起きているのか、見当もつかない」

「奇妙なことに、塁の名前はここではタブーのようなもので、誰も彼のことを言及したりしません。塁のことについては、あなたの方が我々よりもよく知っているのではないでしょうか」

 2019年のNBAドラフトで9位指名を受けた八村はキャリア平均13.7得点、5.8リバウンドをマークし、ここ2シーズン、チームの主力として活躍してきた。また、東京オリンピックでは3試合平均で22.3得点、6.6リバウンドでエースとしての実力を証明。NBA3年目は飛躍の年として、チームからも大きな期待が寄せられていた。

 そんな矢先での八村不在だからこそ、周囲は彼の復帰を心待ちにしているのだろう。先に“タブー”というワードがあったが、誰も八村に言及しないのは、八村が自分と向き合っているのなら、それを周囲が邪魔してはいけないというウィザーズ一同の優しさと気遣いと見て取れる。また、八村がインスタグラムのフォロワーを全員外した理由も、SNSに触れる理由を自ら断ち切ったからと推測するべきだろう。

 相次ぐ八村復帰の問い合わせについて、アンセルドHCが「彼の復帰にタイムテーブルは存在しない。我々は彼をゆっくりと連れ戻すつもりだ。来月なのか、来週なのかはコメントできない。どうなるのか、見守っていくつもりだ」とレスポンスしているとおり、今はまだ、復帰を語るには時期尚早だ。

 裏を返せば、次にウィザーズの背番号8がコートに立つときは、彼が納得した状況でそこにいるということ。ウィザーズ一同同様、我々NBAファンも八村を信じ、彼が強くなって帰ってくる日を静かに待ちたい。

 文=Meiji

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