2022.05.02

ザイオンが9月以来のメディア登場…契約延長やマッカラムとの関係性に言及

ケガの影響でNBAキャリア3年目を全休したペリカンズのザイオン・ウィリアムソン [写真]=Getty Images

 フェニックス・サンズを相手に善戦したものの、NBAプレーオフのファーストラウンド敗退が決まったニューオーリンズ・ペリカンズ。ケガの影響で出番のなかったザイオン・ウィリアムソンがいれば、もしかすると結果は変わっていたかもしれない。

“怪物”のNBAキャリア3年目は、出場試合数「0」という不本意な結果に終わった。チームとの不仲説、体重管理など、その期待値の高さから矢面に立つのがほとんどだったことは否めない。しかし、チームがシーズンを終えたこともあり、遂に本人が2021年9月以来、約8カ月ぶりにメディアの前に姿を現し、『ESPN』に対して現状を吐露した。

 今季は、決して球団のためにプレーしたくなかったわけではない。未完の大器は、2021-22シーズンを「荒れた1年だった」と振り返っており、仲間が奮闘する姿をただただ見つめる時間には、大変な心労を抱いていたという。その一方で、ポートランドでのリハビリを終え、本拠地に戻ってからはとてもポジティブな時間を過ごしていたようで、早くも来季に大きな期待を馳せている。

「仲間に囲まれて、スムージー・キング・センターでプレーオフを見ることができた。ロッカールームも特別な空間だったね。キャリア最初の2年間もいいロッカールームだったよ。でも、今シーズンはプレーオフに進出したおかげで、もっと一体感があったと思う。サイドラインから見ているのは、本当に辛かった。その場にいることしかできず、ただ可能性だけを見ているだけだったからね。僕らには素晴らしい選手がたくさんいる。彼らと一緒にコートに立つのが楽しみで仕方ないよ」

 ペリカンズの背番号1は、新加入ながらチームをけん引したCJ・マッカラムについても言及。マッカラムは入団から10日前後が経過した際、「まだザイオンとは話していない。真相を解明しないとね」と語っており、その関係性にも注目が集まっていた。

「マッカラム先輩ね(笑)。あの発言は、彼からのちょっとした“仕返し”だった。CJは素晴らしい人間だ。ともに過ごした時間はまだ短いけれど、すでに彼から多くのことを学んでいる。素晴らしいチームメートとしか言えないよ。早く彼と一緒にコートに立ちたいね。正直に言うよ。あの頃はリハビリに専念していたんだ。そのことを謝罪するために、直後にCJにメールを送って、そのことを謝ったよ。あの頃、僕は精神的な充実とはほど遠かった。でも、彼は冷静に対応してくれたんだ」

 マッカラムとザイオンの関係性は良好と見ていい。マッコラムは4月、『ESPN』に「僕らはチームディナーで隣に座り、何時間も互いの考えを共有したよ」と、有意義な時間を過ごしたことを明かしている。

2月のトレードでペリカンズへ加入したCJ・マッカラム [写真]=Getty Images

 ただ、最も気になるのは、来季で満了となる契約についてだろう。ザイオンは今夏、5年1億8100万ドル(約236億円)というルーキー契約延長のマックス契約にサインする資格を有している。このことについて記者から問われると、言葉を濁すことはなく、次のように返答した。

「もちろんだよ。ササッとサインすることができなかったんだ」

 デューク大学出身のパワーフォワードは、このインタビュー中に度々、ペリカンズで迎える来季を待望するような発言を残した。しかし、そのためには今季叶わなかったバスケットボールをプレーするコンディションを整えなければならない。

 ペリカンズのバスケットボール運営部門副代表を務めるデイビッド・グリフィン氏は、ザイオンの健康状態を確認し、彼がコートに戻れるようサポートすることを最重要ミッションと位置付けている。そして、それが実現した上で、契約延長が現実的になると将来を見据えた。

「彼に(健康面での)OKが出てようやく、制限なく、次のシーズンに向けてやりたい準備を進めることができる。(練習ができるのであれば)2部制でも、3部制でも素晴らしいことだ。そこに到達した日には、彼のワークロードが監視されないことを願っている。我々はその希望が確信に変わる直前段階まできている。だから、この状況でも現実的でいなければならない。来季、成功を収めるためにね。(契約延長は)挑戦になるが、時がくれば、答えはわかる。我々が注力しているのは、彼が健康であり、バスケットボールをプレーするにふさわしい状態に戻ることだ。そこからスタートする。そして、その段階にくれば、すべての会話はもっと容易に進むだろう」

 一時期は将来が危ぶまれたザイオンとペリカンズの関係性だが、一連の会話を振り返ると、問題は解決したように思える。

 来季に向けて、大きなポテンシャルを示したペリカンズ。“最後のピース”がそろうであろう彼らの2022-23シーズンが待ち遠しいのは、筆者だけではないはずだ。

 文=Meiji

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