2022.12.19

クリス・ポールが地元の州立大学を卒業…卒業生1人につき30万円サポートの提供も申し出

ポールはマスコミュニケーションの学士号を取得した[写真]=Getty Images

 昨シーズンに引き続き、今シーズンも優勝候補の一角と目されるフェニックス・サンズ。現在ウェスタン・カンファレンス4位だが、随所で見せる完成度の高いバスケットボールには強かさがあり、コンディションとムードが順調に上向けば、前年のリベンジが果たせる可能性は大いにあるだろう。

 デビン・ブッカーとミカル・ブリッジズの強力なオフェンス陣でタクトを振るうのは、今年37歳を迎えたクリス・ポールだ。卓越したバスケットボールIQとコートビジョン、そして試合を支配する狡猾さで右に出る者は存在しない。キャリア終盤のポールとしても、今年はチャンピオンリング獲得のラストチャンスになるかもしれない。

 そのポールは、一足先にオフコートにおける人生の目標をクリアしたようだ。12月16日(現地時間15日)にロサンゼルス・クリッパーズを破ってからわずか数時間後、地元ノースカロライナのウィンストン・セーラム州立大学(WSSU)を卒業。マスコミュニケーションの学士号を取得したようだ。

 同選手は念願の学士号取得にあたり、卒業式のスピーチで以下のように喜びを語っている。

「皆さんとともにここにいることで最高の1日となりました。アスリートである限り、僕たちは毎日さまざまなことに取り組んでいます。僕の場合、試合でプレーすることもそうですが、時にはノーマルでありたいと思うものです。皆と同じように、何の変哲もないことをしたい時もあります」

「ただ、それは素晴らしいことです。誰もが独自の経験、自分だけの旅路を歩んでいます。僕は卒業生であることの意味を、心の底から経験したかったのです」

 1892年に設立されたWSSUは「学ぶために入学し、社会に貢献するために卒業する」を教育のモットーに掲げ、活気に満ちあふれた学術コミュニティで形成される。また、歴史的黒人大学としての評価も高く、リベラルな教育プログラムを提供している。
 
 ポールは、人生の先輩として同期の卒業生にサポートを申し出たようだ。卒業生が黒人やラテン系の人々を助けるために設立されたグリーンウッド銀行に口座を開設して100ドル(約1万4000円)を入金すれば、ポールがその100ドルを負担するという。

 さらに、黒人のキャリアサポートサービス「ELEVATE」のアクセス権として、月額200ドル(約2万7000円)の費用を1年間支援することも約束し、未来ある仲間1人につき2500ドル(約34万円)を提供するとのことだ。

 12度のオールスターは、コートでのずる賢さとは裏腹にNBPA(選手労働組合)で選手会長を務めたキャリアもあり、人格者な一面も持ち合わせている。今回のサポートは、黒人として社会での地位を築くために少しでも力になりたいという思いの表れだろう。

 卒業式で白い歯を見せ、何度も笑みを浮かべたポール。次の祝典はもちろん、NBAチャンピオンの舞台になるだろう。

 文=Meiji