
2025.05.14
熾烈なプレーオフの戦いでは、ファンの後押しは大きな意味をなす。プレーオフは全7試合のうち先に4勝をした方が次のステージに駒を進める仕組みで、レギュラーシーズンをより高い順位でフィニッシュしたチームにホームコートアドバンテージが与えられる。
しかし、現代ではホームコートアドバンテージの優位性が色褪せつつあるようだ。
プレーオフは現在、カンファレンスセミファイナルに突入し、熱量を増している。しかし、本ラウンドは波乱の幕開けとなった。
勝率78パーセントでウェスタン・カンファレンスを首位で駆け抜けたクリーブランド・キャバリアーズは、インディアナ・ペイサーズを迎えた『ロケット・モーゲージ・フィールドハウス』で2連敗を喫した。また、ボストン・セルティックスとニューヨーク・ニックスのシリーズも4試合を消化した段階で、3試合はロード側に軍配があがっている。
また、同様の現象はウェスタン・カンファレンスでも起こっている。レギュラーシーズンをトップ成績で終えたオクラホマシティ・サンダーも、一昨年のチャンピオンであるデンバー・ナゲッツと対峙して初戦を落とした。さらに、ミネソタ・ティンバーウルブズもゴールデンステイト・ウォリアーズ相手にホームで苦杯を喫し、セミファイナルはまさかのアウェイ全勝から始まるNBA史上初の珍事となった。
現代において、ホームコートアドバンテージは昔ほどの意味を持っていないのかもしれない。今年のプレーオフの成績は、30勝29敗でわずかにホームチームが勝ち越している。しかし、『The Athletics』の調べによると、これほどまでにホームチームの勝率が悪いのは、1981年以来だという。
プレーオフは最初の78回のプレーオフのうち、56回でホームチームが勝率6割を達成。しかし、2018年以降、ホームチームが勝率6割を超えたシーズンは一度もない。
それは運命を占うゲーム7でさえもだ。リーグ開幕から最初の73シーズン、ホームチームの第7戦の成績は勝率79.1パーセントと圧倒的な成績を収めていた。しかし、2021年以降、ホームチームの第7戦の成績は、5勝10敗と大きく負け越している。
2015年以降、4つのチャンピオンリングを獲得したウォリアーズの指揮官、スティーブ・カー監督は、ホームコートアドバンテージについて「昔ほど重要ではなくなっているかもしれない」と発言。そして、現代は別の要素が白星に直結すると考えている。
「3ポイントが大きな変動要因になった。昔はもっと2点主体の潰し合いで、相手が急に確変して流れを持っていくことは少なかった」
『The Athletics』もカーHCの考えに同調している。ホームコートアドバンテージが弱まり始めたのは、2016-17シーズン。これは、NBAが3ポイント革命に突入した頃である。そして、同メディアによれば、近年はアウェイチームが3ポイントを多く放つほど勝率が上がる傾向があるという。今年のポストシーズン、ホームチームより少なくとも1本多く3ポイントを放ったアウェイチームは、12勝9敗で勝ち越し。また、2022年以降は、アウェイチームが対戦相手より1本以上、アウトサイドショットを成功させた場合、勝率は60.9パーセントを記録している。
セルティックスは、『TDガーデン』で迎えたニックスとの第2戦、3ポイントが40本中わずか10本の成功に止まり、僅差で敗北。しかし、『マディソン・スクエア・ガーデン』に乗り込んだ第3戦は軌道修正し、40本中20本の成功率50パーセントをマークして、1勝をもぎ取った。
現代のゲームにおいて、アウトサイドの影響力の大きさは数字にも表れている。残りの試合、シューターのコンディションや、スペースメイキングに意識を向けてゲームを観戦してみてはいかがだろうか。
文=Meiji
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