2017.04.18
10月16日、川崎ブレイブサンダースはサンロッカーズ渋谷に68-56で勝利を収め連勝を6に伸ばした。B1中地区の上位対決を制した川崎は、首位の三遠ネオフェニックスと勝利数で並ぶ2位に浮上。開幕2連敗から完全に立ち直った。
この日はシーズン最少となる68得点と、勝ち星を挙げながらもSR渋谷のタイトなディフェンスに手を焼いた。その中で前日、フリースロー1本のわずか1点に抑えられていた辻直人は8得点3アシストを記録。特にリードされて迎えた第3クォーターは貴重な3ポイントと2本のアシストで試合の流れを一気に引き寄せるなど、難敵相手の試合で勝利に貢献した。
前節の新潟アルビレックスBB戦では2試合で計9得点、前日も1得点にとどまっており、日本代表の実力を発揮できずにいた。しかし、実はここ数試合、辻は“新しいプレー”にトライしており、それが得点数低下につながっていたようだ。
辻といえば3ポイントに代表されるシュート成功率の高さが持ち味だが、「内側にドリブルで切りこんで、力強いアタックをする」という新たなプレーを模索していた。だが実戦では思うようなプレーができず、本来の武器であるアウトサイドからの得点も鳴りを潜めることになってしまった。
「プロとして結果が求められる」と、この試合ではプレーの選択を修正。「シンプルなプレー」を心掛け、シュートとパスを的確に使い分けることが第3クォーターの活躍につながった。ただしチャレンジを完全に封印したわけではなく、時折ドリブルでインサイドに切りこむシーンも見られ、「(シュートは)入らなかったけどアタックは良かった」と一定の手応えを感じたようだ。
大学時代からナンバーワンシューターと高く評価され、2012年に川崎の前身である東芝に加入、JBL新人王を獲得した。奇しくも今節の試合会場となった青山学院大学の出身で、SR渋谷のキャプテン伊藤駿とは同級生。かつての戦友とのマッチアップは「特に意識しなかった」と話したが、会場入りの際には「懐かしい雰囲気がした」と回想した。
次節ホームの富山グラウジーズ戦に向けては「この1週間、新しいステップにつながるようにトレーニングして、さらに良いプレーができるように備えたい」と力強く話す。開幕前の日本代表での活動から休む間もなくすぐにシーズンイン。蓄積された疲労はいまだ抜けていない。しかし、辻が初出場を果たした第2節第1戦から川崎は6連勝。上り調子のチームにおいて背番号14は欠かせない存在だ。新境地を切り開くべくチャレンジを続ける辻は、今後もチーム浮沈のカギを握るだろう。
文=山口晋平
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