2019.11.21
2018年3月11日、2011年3月11日の東日本大震災から7年が経過したこの日。宮城県出身である伊藤駿は、サンロッカーズ渋谷のキャプテンとして、B1リーグ第22節第2戦のアルバルク東京戦に臨んだ。
前日の第1戦で6試合ぶりとなるスターティングファイブに名を連ねた伊藤は、この日も先発出場を果たす。「別に気負うこともなく、自分のらしさを出すことだけを考えました」と口にしたが、第1クォーターは1アシストを挙げるにとどまった。チームも計9得点中8得点がロバート・サクレとオフェンスのリズムが悪い。
第2クォーターは広瀬健太、ジョシュ・ハレルソンらが積極的にシュートを放って追いあげると、自身も終盤にジャンプショットを沈めて初得点をマーク。残り1分22秒にはルーズボールにダイブするなど、ハッスルした姿を見せ味方を鼓舞した。しかし、試合は終始A東京にリードを許す苦しい展開。試合終了残り4分22秒、伊藤がスティールからの速攻でバスケットカウントを奪い、57-59としたのが最後。結局、試合は67-75で敗れた。
「タフな試合が続いている中でファイトできたことは評価できるが、プレーオフ争いを考えると勝たなければいけない試合だった」と試合後に伊藤が振り返ったように、SR渋谷は6連敗となり東地区5位に落とした。サクレが計30得点と獅子奮迅の活躍を見せたが、「サクレに頼ってしまった。適材適所でドライブなら礼生(ベンドラメ)、3ポイントならハレルソンと、もっとバリエーションを豊富に使っていかないとダメだなという反省はあります」とチームを担う司令塔は、自身の役目が果たせなかったことを悔やんだ。
また、3月11日ということもあり震災を受けた故郷に対する想いを問われると、複雑な心境を吐露した。
「地元に帰ったりすると、まだまだ復興できていない部分がある。何かしたいという想いはありますけど、(実際に)どうしたらいいのかなというのが自分の中であり、もどかしい気持ちです。地元の人たちもしっかり前を向いているので、そこに対して僕らも何かできたらなと」
過去に伊藤は、日本バスケットボール選手会のチャリティーイベントで被災地を訪れたことがある。「実際楽しいですし、選手たちの方が元気をもらえる」と自身の体験を口にし、「バスケットをとおして、少しでも元気を与えられるようにクリニック、チャリティーマッチなどを引き続きやっていく必要がある」と今後の活動へ向け、前向きな意思を示した。
もっとも、現在はBリーグ後半戦に差し掛かり、チームもチャンピオンシップ争いへ熾烈を極めている時期。現地での支援活動が最善かもしれないが、次節のホームゲーム、シーホース三河戦で白星を届けることも復興の励みになるはずだ。SR渋谷の主将は「まずは1戦目に注力してみんなで戦っていきたい」と最後に意気込み、会場を後にした。
文=小沼克年
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