2019.11.24

車いすバスケU23、『超ビッグマン』擁するオーストラリアに快勝!

シニア代表でも活躍する鳥海連志(写真中央)と赤石竜我がチームを引っ張る [写真]=斎藤寿子
新潟県出身。大学卒業後、業界紙、編集プロダクションを経て、2006年よりスポーツ専門ウェブサイトで記事を執筆。車いすバスケットボールの取材は11年より国内外で精力的に活動を開始。パラリンピックは12年ロンドンから3大会連続、世界選手権は14年仁川、18年ハンブルク、アジアパラ競技大会も14年仁川、18年ジャカルタの各大会をカバーした。

 国際車いすバスケットボール大会「北九州チャンピオンズカップ」大会2日目の23日、京谷和幸ヘッドコーチ率いる男子U23日本代表は、オーストラリアと対戦した。”超ビッグマン”を擁する相手を、強固なディフェンスでインサイドから締め出し、高さを封じた日本。第1クォーターから試合の主導権を握って57-24で圧勝し、前日のカナダ戦に続いての連勝となった。

21年世代で握った試合の主導権

第2クォーター、今大会初得点を挙げた宮本涼平 [写真]=斎藤寿子


 若手に国際大会の経験を積ませることが目的の一つとなっている今大会、オーストラリアは12人中10人が10代、チーム最年少は14歳と参加国の中で最も若いチーム編成で臨んでいる。2021年の男子U23世界選手権を見据え、今年活動をスタートさせたばかりの若いチームだが、”超ビッグマン”のハイポインター陣をそろえ、驚異的な高さを誇る。

 しかし、チェアスキルで上回る日本は、オーストラリアの高さを封じるディフェンスに徹した。この日本の好守備に苦戦を強いられたオーストラリアは、仕方なくアウトサイドからシュートを試みるも、なかなかボールはネットに吸い込まれず、得点することができなかった。

 一方、日本は相手に合わせることなく、自分たちがすべき”トライ”をし続けた。

 第1クォーター、スタメンに抜擢されたのは、チーム最年少18歳の古崎倫太朗と知野光希、19歳の赤石竜我、20歳の鳥海連志と髙柗義伸の5人。2021年のU23世界選手権の対象選手のみでの戦いが課された。

「ディフェンスは非常に良かった」と指揮官が語るように、すでにシニア代表でも活躍する鳥海と赤石を中心に、オーストラリアに付け入る隙を与えず、10分間で相手に許したのはわずか2点。オフェンスでもスピードと巧みなチェアスキルで、”超ビッグマン”たちをかわし、積極的に攻めた日本は、17-2と大量リードを奪った。

“闘う姿勢”を見せた18歳の知野

知野光希はオーストラリアの高さに挑んだ [写真]=斎藤寿子


 続く第2クォーター、指揮官が起用したのは、シニア代表不在の5人だった。ここでは古崎がチームを牽引するかたちで得点を重ねていき、さらに国際大会2度目、持ち点1.0のローポインター宮本涼平にも今大会初得点が生まれるなど、チームは勢いに乗った。

 また、得点こそなかったもののディフェンスでチームに貢献していたのは知野だった。もともとの強い気持ちに加えて、レベルアップしているチェアスキルで粘り強くコンタクトする知野のディフェンスに、相手も圧倒され、ボールが手につかずにバックパスを犯してしまうシーンも見られた。指揮官も「守備に関しては一番闘っていた」とチーム最年少のプレーを称えた。

 後半もさまざまな”トライ”が込められたラインナップが投入されたなか、第3クォーターでは17歳の”超ビッグマン”トーマス・マクヒューに得点を奪われ、2ケタ得点を許した。それでも第4クォーターでは再びディフェンスでリズムを取り戻した日本。終盤には立て続けに24秒バイオレーションを奪うなど、攻撃の芽を摘んだ。

 日本は攻守にわたって圧倒的な強さを見せつけ、57-24で快勝した。しかし、指揮官からは「切り替えの速さや細かいチェアスキルはまだまだ。点差が離れる中で、プレーに甘さもあった」と厳しい言葉も。将来有望な選手たちへの期待が大きい分、求めることも高いレベルにあるということの証だ。

 大会最終日となる23日には予選リーグ最終戦でドイツと対戦する。無傷の全勝優勝で2大会ぶりの王座奪還を果たす。

文・写真=斎藤寿子

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