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2月1日、都内で『SAJ(スポーツアナリティクスジャパン)2020』が開催された。このイベントを開催した一般社団法人日本スポーツアナリスト協会(JSAA)は、競技の枠組みを超えた“スポーツアナリスト”の連携強化及び促進する団体として、“スポーツアナリスト”の有する職能を理解し、育むことで、アスリート支援環境を発展させ、スポーツの社会的価値向上に寄与することを目的としている。
SAJ2020のテーマは、“HACK THE DECADE”。
ゴールデンスポーツイヤーズと呼ばれる2019年から2021年、その中核をなす2020年は日本スポーツ界にとって大きな岐路となる。さらにここからの10年で私たちの暮らす社会環境もまた劇的に変化すると言われている。日本の人口は、2030年には1/3が65歳以上の高齢化社会になると言われ、644万人の人手不足になるという統計がある。これからの10年ではAIやロボットなどのテクノロジーの導入や外国人労働者へのビザ発給など、働く環境も大きな影響を受けることだろう。
ゴールデンスポーツイヤーズはこうした社会変革の呼び水となり、起点となる可能性を秘めている。スポーツが持つバリューを最大限に活用して、10年後、2030年の未来を能動的に築いていくためにも2020年の今が大切なのだ。SAJ2020では“HACK THE DECADE”に関して様々なアプローチからのセッションが行われた。
セッションの冒頭では、ゴールデンスポーツイヤーズの10年後に訪れる「2030年問題」、3名のパネラーがそれぞれの活動の場で経験して感じたことを話し合った「欧米と日本の違い」について興味深い話が聞かれた。
特に注目を集めたのが車いすバスケットボールの試合中に得られたデータをすぐさま画面上に反映させるシステムだ。下の画像にあるように、コート上でプレーする選手の試合中のシューティングレートが数値で示されるだけでなく、カラーチャートでもシューティングレードなどのスタッツがひとめでわかるようになっている。リアルタイムの分析をファンや観客に提供できるこのシステムは、仮にテレビ中継しているのなら実況アナウンサーや解説者はそれに基づいた話題も客観的に語ることができ、視聴者も瞬時に試合の状況を把握することが可能だ。
スポーツアナリストが蓄積しているデータはスポーツ振興に活用できることは明白だ。それは特別な人たちが保持するだけでなく、一般のスポーツファンにもエンターテインメントの一つとしてスポーツを観戦する新たな楽しみであり、欠かせないツールとなっていくだろう。さらにスポーツ振興のためにデータ、つまりスポーツアナリティクスの活用が行われていけば、エンターテインメントの重要なツールとなる。エンターテインメントはとかくお金が必要だが、この“データ”がその原資となるわけだ。
スポーツアナリティクスとエンターテインメントーーそれがこれからの10年でどのように進化していくのか、非常に楽しみだ。
取材協力=アビームコンサルティング
取材・文=入江美紀雄