2024.10.01
驚いた。
開幕の1カ月前に行われた愛知県のB1・4クラブによる愛知ナンバーワンを決める「AICHI CENTRAL CUP 2024」。三遠ネオフェニックスは主軸であるヤンテ・メイテンを欠く状況で、圧倒的な強さを見せつけて優勝した。
とりわけ強烈なインパクトを残したのは、今オフの補強の目玉であるデイビッド・ヌワバと吉井裕鷹だ。ヌワバは超人的な身体能力を武器に2試合合計で46得点20リバウンド5アシスト6スティール6ブロックをマーク。得点王、リバウンド王に加え、大会MVPにも輝く衝撃のデビューを飾った。吉井はパリオリンピックで自分よりもサイズのある海外選手と渡り合った強靭さを遺憾なく発揮。守備の要としてはもちろん、カットインや3ポイントシュートといった得点面でもチームに勢いをもたらした。
就任3シーズン目となる大野篤史ヘッドコーチは「デイビッド(ヌワバ)と吉井のディフェンスの強度は僕たちの武器だと考えています。彼らに感化されて、チームのディフェンスのアグレッシブさがもっともっと出てくればいいなと思っています」と2人に絶大な信頼感を置く。
新戦力がこれだけ早い段階でフィットしていることは本当に驚きだ。それを可能にしているのはポイントガードの佐々木隆成と大浦颯太、外国籍選手のヤンテ・メイテンとデイビッド・ダジンスキーなどチームの屋台骨を担う継続選手が大野HCの目指すバスケを理解し、計算の立つパフォーマンスを披露している土台があるからだろう。
それでも大野HCは「このままレギュラーシーズンに入っても勝てないと思います。もっとオフェンスもディフェンスも、ディティールを詰めていく必要があります」と満足しない。
シーズンをとおして『Relentless effort(絶え間ない努力)』を続け、良くなる要素を探し続けていく。このカルチャーこそが三遠の強さであり、今シーズンこそ「自分たちの行きたいところ」にたどり着くために不可欠なものでもある。
NBAのシカゴ・ブルズ、ヒューストン・ロケッツなど計6シーズンで通算237試合出場の経験を持つスイングマン。身体能力を活かしたドライブや高確率な3ポイントシュートでオフェンスをけん引するだけでなく、スティールやブロックショットとディフェンスでもハードワークを怠らない。
「自分はガードの中では体が大きいほうですが、そこにしっかりとマッチアップできる選手が日本にもいると感じました。マッチアップする中で、日本のガードの選手のレベルを引き上げることができるのではないかと感じています」
三遠だけでなく、Bリーグ全体のレベルを底上げする存在になってほしい。
文=山田智子
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