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2月28日から3月2日の期間で開催された3x3女子日本代表の強化合宿。3月1日にはメディ向けの公開練習も行われた。
今回の合宿は「FIBA 3×3 アジアカップ 2025」(3月26日〜30日/シンガポール)に向けた選手選考を兼ねており、日頃から3x3に専念し、国内外の大会にてポイントを稼いでいるFIBAランキングのトップ選手を中心に16名が参加した。
16名の中でWリーグ経験者は3名。そのうちの1人が2022−23シーズンをもって日立ハイテククーガーズを退団した鶴見彩だ。
白鷗大学卒業後に日立ハイテクに入団した鶴見は、ポイントガードとして7シーズン、Wリーグでプレーした。そして2023年春に退団した後は、3x3の世界に魅力を感じて自ら参加。夏までは国体チーム(埼玉県)と立ち上がって間もない3x3チーム、MAURICE LACROIX(モーリス・ラクロア)との活動をどちらも行っていたが、国体を終えてからは正式にチームの一員として加入し、今に至る。
3x3の試合ではロスター登録は1チーム4名。「4人だとそれぞれに関わる時間がすごく濃くて、1人ひとりの得意、不得意をより見ることができます。その中で互いに補い合いながらプレーするというのは自分の性格的には合っているのかなと感じています」と、言う。それこそ学生時代からキャプテンを務めるなど責任感が人一倍強い鶴見は、「私が勝手にではあるんですけど、5人制のときは周りを見過ぎてしまって、矢印がみんなに向いているけど、自分のことがおろそかになるみたいな感覚がありました。今は自分にもちゃんと矢印があって、そのうえで周りにも矢印を向けるエネルギーが残っていると思います」ともコメント。
プレーでもゲームコントロールやパスを強みとしていた日立ハイテクの時代とは異なり、「この1年半で自分から点を取ることも練習しています」と、変化があった。実際、合宿でも積極的にリングにアタックするなど、隙あらば点を奪う姿が見受けられた。
新たなステージでバスケを楽しむ鶴見彩 [写真]=田島早苗
また公開練習時は、その都度チーム編成を変えて試合が行われていたが、そのときどきで変わるチームメートに対しても鶴見は積極的にコミュニケーションを取っていた。これも「この1年半で育った(覚えた)こと」だと本人は言う。
というのも、所属するMAURICE LACROIXの練習では「それぞれ思うことをアウトプットするということを日頃からやっているから」で、チームメートは20代前半や半ばの選手たちと32歳の鶴見とは10ほど違う選手もいるが、「みんなフラット。私が上の立場とはまったく思っていなくて、私も『アヤさん、大丈夫だよ』と声を掛けられることもあるし、年齢などが関係ないのは3x3ならではなのかなと感じますね」と、笑顔を見せる。
今回の合宿に際し、伊集南コーチは「いいエネルギーやいいキャラクターを持っていて、リーダーシップを執れる人を求めたい」といったことを選手にも共通認識として伝えていた。リーダーシップに関しては鶴見にとって大きなアピールになるだろうと感じるが、鶴見は「それを聞いたときは『じゃあ、頑張ろう』というよりは『いつも通りの自分でいればいいんだ』と思いました」と、言う。あくまでもMAURICE LACROIXで取り組んでいることを出すだけと自然体なのだ。
「日立ハイテクでの土台があって、いろいろなことを積み重ねての今だと思うので、これまでとは違うバスケット楽しみ方をできていると思います」とコメントした鶴見。その表情は実に楽しそうだ。
「今、若い子たちと一緒にやっていることがすごく楽しいです。彼女たちと始めて1年半。仲間や自分の成長を感じられることにうれしさがあります。またこれまで取り組んできたことをどこかで見てくれてた人がいて、この合宿に呼んでいただいたと思うので、チームメートや今の環境を与え続けてくれたチームに関わる人たちにもすごく感謝です」
今は会社員として働き、仕事を終えた夜に練習に参加しているという。空き日には体のケアを行うなど「今までより忙しい」そうだ。
「それこそみんな仕事を終えてから集まるので20時から22時という時間で練習をすることもあります。私が(Wリーグで)現役だったときには22時に寝ていることもあったので、最初はこんなに遅くまでバスケットをしている人がいるんだと衝撃でした。でも、バスケットが大好きな人はたくさんいるなと再認識することもできました」
こう声を弾ませた鶴見は、本格参戦となった3x3の世界で充実した日々を過ごしながら、仲間とともにさらなる高みを目指している。
文・写真=田島早苗