
2025.03.19
第1戦は19得点9リバウンド、第2戦は18得点10リバウンド11アシストのトリプルダブル。アイシンウィングス(プレミアリーグ7位)の渡嘉敷来夢は3月15、16日に行われた三菱電機コアラーズ(フューチャーリーグ2位)との「Wリーグ ディビジョン入替戦 2024-25」でさすがの働きを見せた。
「勝つために点を取る。シンプルにそんな感じでした。最初に(三菱電機が)どうやって守ってくるかなと思ったのですが、昨日(第1戦)はほぼ1対1だったので、1対1ならこっちのもんだと思ってそこを攻めました」と、渡嘉敷はこのように入替戦を振り返った。
昨シーズンまでは1リーグ制だったため、Wリーグの入替戦は実に13シーズンぶり。毎シーズン入替戦が行われていた時代を知る現役選手は、今となってはほとんどいない。そのため、過去に入替戦をコーチとして4度戦った梅嵜英毅ヘッドコーチは、「入替戦の重要性を懇々と説いてきた」という。ただ、昨シーズンまで所属していたENEOSサンフラワーズで幾度となく優勝を経験し、緊迫した試合も数えきれないほど戦ってきた渡嘉敷は「梅嵜さんは入替戦には独特な空気があるといったことを話されていましたが、自分自身はそこまで感じなかったというか。多分いろいろなこと経験し過ぎて、そういう空気を読めなかったんだと思います(笑)。でもそれが良かったのかなとも思います」と、言う。
アイシンが入替戦を戦うことが決定したのはレギュラーシーズンの最終週。そこから入替戦までの期間は1週間だったが、「先週の試合が終わった後にみんなに言ったことは、うまくいこうがいかないだろうが、嫌なことがあってもなくても、ポジティブにこの1週間を過ごすしかないんだよということ。あとはやるだけだからと。選手一人ひとりがそういう中で準備をして、昨日、今日と大事な試合に臨めたと思います」と、渡嘉敷はそのときのことを語る。
そうした気持ちの面でも引っ張ったリーダーは、インサイドとアウトサイドとでうまく点を取ることを意識していたシーズンだったと振り返る。加えて「今シーズンは(試合の)状況を見ることが増えた」とも言い、自身の得点だけでなく味方を生かすパスなどでも攻撃の軸となった。そんなスタイルが入替戦第2戦のアシスト11につながったともいえるだろう。レギュラーシーズンでは終わってみれば得点王を獲得。これには「ほんと知らなくて。家に帰ったら平末(明日香)から得点王だというメッセージが来て知りました。今シーズンは何にも気にしてなかったからびっくりです。みんなにもありがとうという気持ちです」と、チームメートへの感謝を口にした。
これでアイシンに移籍した1年目のシーズンが終了。「めっちゃ楽しかったですね。新しいバスケットに出会えたし新しい自分も見つけられた。バスケットに対してもいろいろな考え方ができたシーズンでした。環境とかいろいろあるとは思うけれど、結局は自分の考え方一つでどうにでもなるというのをすごく学びました。移籍してこういう経験をしてよかったなと思ったシーズンです」と、総括する。
昨年12月の皇后杯ではチーム史上初となる準優勝。だが、リーグ戦では思うように白星を増やせず入替戦を戦うなど、これほど浮き沈みが激しいシーズンを経験したこともないだろう。しかし渡嘉敷は、「すごいですよね、本当に。それを経験できたのも自分と岡本(彩也花)しかいないですから。これも考え方一つで、リツさん(デンソー・髙田真希)だってこれは経験してない(笑)。自分たちすごいと思っているので、自分の経験値としては上がったのかなと思います」と、あくまでもポジティブだ。
もちろん、「上を狙っていたので悔しいですし、これじゃ勝てないんだなというのを感じました」という思いは強い。だからこそ「個人もそうですけど、チームの取り組む姿勢だったり、気持ちの持ち方だったりでもっと引っ張っていけるようにならないと。それは次への挑戦でもあるし、自分自身の課題でもあると思ってます」と、先を見据えた。
「どんな状況でも点を取りにいく姿勢はもっと強く持ってもいいかなと思います。バスケットをしている以上、渡嘉敷来夢という見られ方はするので、もっと成長はしないといけないと感じます」と、渡嘉敷。
プレミアリーグ残留を決め、終始笑顔で記者の質問に答えていた渡嘉敷。最後にはこのような頼もしい言葉で締めてくれた。
「いつも言ってるんですけど、今の自分には満足していないですし、得点王を取れたけど、最後の最後のラッキー賞のようなものだと感じているので、もっと余裕を持って。今は(高さのある)留学生の選手が増えて、守って攻めてと大変ですが、これが日本代表につながるとも思っています。シーズンをケガがなく終わることができて一番思うことは、次は日本代表への復帰。そこに向けて標準合わせていきたいし、そういうオフを過ごしていきたいです」
第2戦では終盤に三菱電機に追い上げられるも渡嘉敷は「大丈夫だという自信はありました」とコメントした [写真]=Wリーグ
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