2025.10.25
9月23日、神戸ストークス主催のプレシーズンゲーム『KOBE RISING -2025-』。地元・神戸と千葉ジェッツが激突したこの試合で、102-72と圧勝を飾った。この試合のMVPに輝いたのが、瀬川琉久だ。
試合終盤のバスケットカウント、粘り強いディフェンス――随所で存在感を示した瀬川は、千葉Jで初めてのフルシーズンを迎える。昨季は途中加入ながら終盤に出場機会を増やし、今季の飛躍を期待するファンは多い。
試合後、瀬川はこう振り返った。
「プレシーズンゲームが始まって、自分の中でまだまだ改善できる部分があると感じていました。迷いが出ている部分もありましたが、この試合で吹っ切れたなと感じています。もっとレベルアップできるように、シーズン開幕までに整えたいです」
瀬川にとって、この日の試合は特別な意味を持っていた。生まれ故郷である神戸で、初めて「GLION ARENA KOBE」のコートに立ったのだ。
「大きさはもちろん、演出もすごくて、NBAに少しでも近づくようなアリーナが神戸にできたんだなと実感しました。神戸とは来シーズン、プレミアで戦うことになりますし、神戸のバスケ熱も高まっていると感じますね」

地元神戸で成長した姿を披露した ©CHIBAJETS FUNABASHI
昨シーズンを振り返ると、自身に求められる役割に変化があったという。
「勇樹さん(富樫)をなるべく休ませて、チームの流れを変えるのが自分の役割でした。ただ、勇樹さんがケガをしてからは”チームを勝たせるガード”として、自分なりに考えてプレーしていました。結果として優勝には届かなかったですし、悔しい気持ちも味わった1年でした。でも、高校生のときよりは”勝ちに導くガード”に少しでも近づけたかなと思います」
初めてのフルシーズンを迎えるとは思えないほど、冷静に自らを客観視している瀬川。その成長を支えたのは、明確な課題意識だ。
「自分に足りないところはスリーポイントです。より精度の高いスリーを沈めるために、何をするべきなのか。昨シーズンの段階から課題に感じていたので、スリーのレベルアップを軸に、どんどん成長していきたいです」
西村文男が2025-26シーズンを最後に現役引退を発表した。加入してわずかな瀬川にとって、その存在感は別格だった。
「自分より20歳上という年齢で現役を続けてこられて、プレーに関することもいろいろと質問させてもらいました。たくさんのことを学ばせてもらった以上、優勝して西村選手を送り出したい。その気持ちは強く持っています」
今季の目標を聞くと、瀬川の表情が引き締まった。
「チームとしては、すべてのタイトルを取ることが目標です。昨シーズンは無冠で終わったので、タイトル奪取にはこだわっていきたいと思います」
そして個人としては、2つの明確な目標がある。
「1つ目は、日本代表のメンバーに選ばれること。そのためにシーズン中は安定した結果を出して、文句なしに選出されるよう頑張っていきます。もう1つは、勇樹さんからスタート出場の機会を奪うことです」
絶対的な存在である富樫勇樹から、スターターの座を奪う――簡単ではない目標だと、瀬川自身も理解している。
「もちろん簡単な目標ではありません。ただ、自分がステップアップするためには、超えなければならない存在でもあります。より一層、チームを勝たせるガードになる1年にしたいです」
さらに、瀬川はこう続けた。
「目標を高く持って、その目標を達成した瀬川という選手は、実は神戸出身なんだよと。神戸からそんな選手が誕生したんだよと、背中を見せられるような選手を目指しています」
千葉Jを勝たせるガードになる。富樫勇樹を超える。日本代表に選ばれる――19歳が掲げた高い目標は、決して夢物語ではない。昨季終盤に見せた成長、神戸での堂々としたプレー、そして何より、冷静に自らを見つめる目が、その可能性を物語っている。
果たして今シーズン終了時、瀬川琉久はどれほどのプレータイムを積み重ね、どんな景色を見ているのか。初めてのフルシーズンが、いよいよ始まる。
文=西本友
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