Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
年が明け、オリンピックイヤーの2020年が到来した。夏季大会の自国開催は1964年以来56年ぶり、冬季大会を含めても22年ぶりと、日本という国全体にとって非常に貴重な機会であることは言うまでもないが、3x3が今大会から正式種目となったことで、バスケ界にとってはとりわけ重要な大会となる。開催国枠が与えられ、すでに出場が決定している男子日本代表はその準備に余念がなく、1月6日から3日間の日程で第4次強化合宿を東京都内で実施。月1回のペースで合宿を重ね、7月に控えるオリンピック本番に突き進もうとしている。
今回の合宿には、昨年11月の第3次強化合宿とまったく同じ10人が代表候補として集結。初日の6日に行われたメディア向けの公開練習は、シュートが決まった後のさまざまなシチュエーションを想定した1対1、スクリーンプレーやパッシングからのシュートバリエーションを確認する3メンシューティングなど、前回の公開練習と比べて3x3の競技特性をより意識した内容に多くの時間を割いた。トーステン・ロイブルヘッドコーチはもとより、長谷川誠アソシエイトコーチも逐一選手の動きを止めて練習メニューの意図や注意点を説明するなど、3x3ならではの戦い方を選手に叩き込む狙いが感じられた。別メニューでの調整となった保岡龍斗 (秋田ノーザンハピネッツ/SEKAIE.EXE)を除く9人はその戦い方を吸収しようと、ことある毎にコーチ陣も交えてコミュニケーションを取る姿が目立った。
およそ2時間半にわたる公開練習の後にメディアの取材に応じたロイブルHCは、この日の練習についてムードの高まりを感じた旨を述べている。
「オリンピックイヤーを迎えて、『やるぞ』という雰囲気が出てきたと思います。この土日にBリーグの試合があった選手がほとんどですが、その疲れがある中でもこのレベルの練習ができたことは良かった。オリンピックへのカウントダウンが始まり、本番に誰が出ても戦えるように準備している段階です」
その準備という点でいうと、気になるのはやはりオリンピック本番に臨むメンバー構成。前述の通り今回は第3次強化合宿と同じ顔ぶれとなっているが、今後の選手選考についてはこんな発言もあった。
「この10人がコアとなるが、3x3はその他にも国内リーグを戦っている選手がたくさんいる。明日と明後日は国内ランキングトップ10にいる選手を4人呼んで、彼らにも目をかけて選考していきたい。オリンピックで勝つためにはどんなコンビネーションが良いのかということを徹底して探っていきたいと思います。日本はセルビアやラトビアといった他の強豪国のようにサイズとオールラウンドな能力を併せ持った選手をそろえることはしないし、できない。シュートが入る、スラッシュ力が高いなど、突出した能力を持つ選手を求めている。どの選手の組み合わせが良いのかを試行錯誤しているところです」
注目すべきは「国内ランキングトップ10の4人」という部分。具体名の言及はなかったが、当然ながら前回の第3次強化合宿以降に招集されていない選手がそこに名を連ねることになる。その4人で1つのチームを組み、現時点での代表候補10人とゲーム形式で対戦することになるとのこと。つまり、今回の強化合宿では代表候補とまったく同じ土俵に上がるわけではないのだが、ロイブルHCは今後その4人の中から代表候補に追加招集する可能性も示唆した。
「日本にはBリーグの選手もいれば大学の選手もいて、3x3のプロとして活動している選手もいる。彼らの活躍もしっかり見なければならない。何より3x3は経験が重要で、その経験のある選手がランキングトップ10に入っている。日本のバスケットのファミリー全員に公平な機会を与えた上で選ぶということを理解してもらいたいと思います」
オリンピックに出場する選手については、予備も含めた6人のうち4人までを国内ランキング10位以内から選ばなければならないという規定がある。現時点での代表候補10人はそのポテンシャルを買われての招集だが、ランキング10位以内に入っていない選手も多く、心もとないのも確か。その点も踏まえた上での判断ということになるだろうが、ポテンシャルだけでなく経験値も重視する方針は、選手選考の選択肢を広げるという点で日本が持つ可能性を膨らませることにもなるはずだ。
ロイブルHCは「希望は高く持つべきなので、『メダルを目指す』ということを公言しています。多くの人はそれを不可能だと言うかもしれないが、自分はミッションポッシブルだと思っている。どんな選手を組み合わせるか、いかにチーム力を上げていくかで、8チームのうちの3位以内は目指せると決意を固めています」と、改めてメダル獲得への意欲を示した。落合知也(越谷アルファーズ/TOKYO DIME.EXE)も「最低限の目標」と語る表彰台を目指し、その競争はこれからさらに激化することになる。
文=吉川哲彦