2020.06.04
2020年東京オリンピックで正式種目となった3x3。各国が強化を進める中、国内では栃木県宇都宮市が3x3の大会を積極的に誘致するなど、その認知度向上に大きな役割を果たしてきた。11月2日、3日には今年のクラブチームナンバーワンをかけた「FIBA 3x3 World Tour Utsunomiya Final2019」が宇都宮二荒山神社参道および宇都宮市バンバ市民広場で開催。世界のレベルを間近に見ることができる貴重な機会を提供することとなる。
その大会に先立つ11月1日、同会場でオリンピック出場国発表記念イベントが行われた。そこで注目されたのが、日本のオリンピック出場の可否。当初、日本は男女ともに開催国枠での出場が内定していたのだが、今回の出場国発表まで1カ月を切った10月3日、国際バスケットボール連盟(FIBA)は男女合わせて1つの開催国枠を与えると決定。今回の発表では男女それぞれ8つの出場枠のうち4つずつが決定し、日本は男女いずれかがその4つの枠に入ることになった。したがって、開催国枠を与えられなかった男女いずれかのチームは、来年3月と4月に行われる世界最終予選に臨まなければならなくなったのだ。
発表当日時点での国別ランキングが高いほうに開催国枠が認められることになるが、FIBAは10月3日の時点で公式サイトの国別ランキングのページをクローズ。男女どちらがその権利を手にするか、選手や関係者はもとより、ファンもその行方に気を揉むことになったというわけだ。
そして迎えた発表当日。FIBAのハマネ・ニヤン会長やアンドレアス・ザグリス事務局長のほか、元NBA選手で現在ロシアバスケットボール協会の会長を務めるアンドレイ・キリレンコ氏も姿を見せるなど、発表イベントは豪華な顔ぶれが見つめる中で開催された。日本が世界に誇るフリースタイラーBUG!?や地元のBリーグクラブ、宇都宮ブレックスのチアリーダーBREXYのパフォーマンスで会場が温まると、いよいよ出場国発表の瞬間が訪れた。
結果、先に発表された男子でセルビア、中国、ロシアに続いて日本の名が読み上げられ、開催国枠は男子が確保することとなった。ロシア、中国、モンゴル、ルーマニアの出場が決定した女子については、日本は来年3月の世界最終予選1st OQTで3位以内を目指し、それが叶わなければ同4月の2nd OQTで最後の1枠をかけて他国と争うことになる。
記念イベントには、日本代表候補として男子から落合知也、女子から馬瓜ステファニーが出席した。オリンピック会場にほど近い東京の台場で3x3のキャリアをスタートさせ、宇都宮にも在籍したことのある落合は、「女子と一緒に決められなかったことは複雑」としながらも、この地で日本男子の出場が決定したことは素直に喜んだ。
「この競技が生まれた時からプレーしていたので、東京オリンピックで開催国枠を取れたことはすごくうれしいです。自国開催でファンの方も多く来てくれると思いますし、声援は絶対に力になります。その声援をしっかりと背負って戦いたい」
現在落合は、すでにシーズンが開幕しているBリーグでもB2の越谷アルファーズに籍を置いている。「チームの理解もあって3x3の活動を優先させてもらっていて、100パーセントコミットできる環境」ではあるが、このイベントの翌日にはチームに合流するなど、その実力は越谷でも当然のように必要とされている。しかし、そんな心身ともにタフな状況にあっても、自らその道を選んだ落合の決意は変わらない。
「ここからオリンピックまで8カ月弱は3x3のオフシーズンに入るんですが、トレーニングで体をしっかり追い込みたい。正直に言ってBリーグとの並行は体がきついですが、オリンピックでメダルを獲るという目標に向けて、フィジカルをもう1段階上げて体のキレを出せるようにして臨みたいと思います」
一方、女子は開催国枠を男子に譲る形となってしまったが、1カ月前にはU-23ワールドカップ優勝を成し遂げたばかり。バスケットボールの長い歴史で日本が世界の頂点に立ったのはすべてのカテゴリーを通じて初めてのことであり、馬瓜はその一員として大きく貢献した選手でもある。その自信の表れか、このイベントでもポジティブな発言に終始した。
「開催国枠が取れなかったのは残念なんですけど、男子のがんばりも見ていたので男子が出場できることに関しては同じ日本チームとしてうれしいです。女子としては気持ちを切り替えて、世界最終予選で自分たちのバスケットをしっかりやって、オリンピックに出られるようにがんばっていきたいと思います」
また、馬瓜の姉、エブリンは5人制の日本代表として9月にアジアカップを制している。「オリンピックに出ることは昔から言ってきた2人の夢。競技は違うんですが、2人でがんばってきたことをオリンピックで出すことが一番の目標です」と、オリンピックでの姉妹共演も期待大。世界を知る落合と馬瓜は、夢舞台への高いモチベーションで日本を引っ張っていくに違いない。
文=吉川哲彦
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