Bリーグ公認応援番組
『B MY HERO!』
『勝利の流れを呼び込めるように』という理由からコートネームはリュウ(流)。
勝利こそつかめなかったが、コートネームどおり、チームに良い流れをもたらすプレーを見せたのがアイシンウィングスの吉田亜沙美だ。
12月14日、皇后杯ファイナルラウンドの準々決勝が行われ、吉田の所属するアイシンは富士通レッドウェーブと対戦した。
試合は、出だしこそ互角の展開だったが、第1クォーター中盤からインサイドで確実に攻めてくる富士通に先行を許してしまう。終盤に山口奈々花が3ポイントシュートを沈めたものの、第1クォーターは7ー13と6点ビハインドで終えることとなった。
迎えた第2クォーター、出だしから出場した吉田がアイシンに漂った重い空気を断ち切るかのように、軽快なパスさばきからアップテンポなリズムを作り上げていく。開始約2分には自らが3ポイントシュートを沈めると、その1分後にも再び3ポイントシュートを決めてみせ流れを引き寄せる。その後は飯島早紀、野口さくら、山口らが続き23ー26と3点差に詰めて前半を終えた。
後半も何度となく富士通に引き離されそうになるところを野口などの奮起で食らいついていったアイシン。第4クォーター残り1分半を切ったときには吉田のフリースローで2点差にしたのだが…。逆に富士通の江良萌香に値千金の3ポイントシュートを許してしまい、万事休す。最後は49-54で敗れた。
試合後は悔しさからか目が潤んでいたが、「今日はみんな本当によく頑張ったと思うし、みんなとバスケットできて本当に楽しかったです」と、うれしそうな表情も見せた。一方で「勝ち切りたかったというのが一つ大きくあって、いいゲームをしたからオッケーではなく、勝ち切る力をこれから付けていきたいです。富士通とここまで競ったゲームができたというのは、自信や次につなげていくゲームだったと思うけれど、やっぱりあと一歩、もう少しの差が大きな差かなとも感じています」と、チームについては冷静に現状を語った。
皇后杯前に行われたWリーグの試合では「少しいろんなところが痛くなってきて休んでいました」という吉田。それもあって、ゲーム体力については「もっと付けないといけないと思います。体力があるからこそ冷静な判断や最後に(シュートを)を決め切る力につながってくると思うので」という。
チームも吉田もまだまだこれからといったところだが、吉田は久しぶりの国立代々木競技場第二体育館でのプレーには「やっぱりいいですね」と、目を輝かせる。
「ここで長く立ってプレーしたいなという思いが今日すごく強くなったので、また頑張りたいと思います」
準々決勝では『さすが』ともいえるプレーを見せたベテランは、今度はチームで勝利をつかむために、また日々の練習から全力でバスケットと向き合っていく。
取材・文=田島早苗