2018.07.15
毎節、Bリーグのタフショットを厳選してピックアップする「BEST of TOUGH SHOT Weekly TOP5 presented by G-SHOCK」。白熱した展開が目白押しのチャンピオンシップ・セミファイナルの中から選ばれたタフショット・トップ5を大塚商会アルファーズの青野和人ヘッドコーチに解説してもらった。
解説=青野和人(大塚商会アルファーズ ヘッドコーチ)
【第5位】
アルバルク東京 ♯44トレント・プレイステッド
川崎ブレイブサンダースvsアルバルク東京Game2
A東京の♯2ディアンテ・ギャレット選手がトップから異次元のドリブルワークで1人目を抜き去りペイントの真ん中にいる川崎の♯22ニック・ファジーカス選手へ向かってドライブをする。♯2ギャレット選手はドライブからのパスも上手なので、川崎の♯9栗原貴宏選手はウイング(外側)にいる♯24田中大貴選手から離れられない。そのコンマ何秒の遅れからゴール下にいる♯44トレント・プレイステッド選手へのヘルプが遅れてしまい、アリウープを食らってしまう。このプレーの前に♯2ギャレット選手が何度もゴールにアタックしているので、川崎のディフェンスも彼のドリブルをオーバーに警戒してしまった。
【第4位】
シーホース三河 ♯14金丸晃輔
栃木ブレックスvsシーホース三河Game2
この試合は三河が中から外から圧倒的にゲームを支配していた。特に♯14金丸晃輔選手は前日に抑えられたものを一気に跳ね返し、第1クォーターからエンジン全開。どのチームも彼に対してはディフェンスの一番上手い選手を送り込んでくることからも、その警戒のされ方が分かるだろう。そのため、ほとんどのシュートがタフショットになるのだが、どのような状況でも高確率でシュートを決めることができるのが♯14金丸選手の特長だ。このハンドオフ(手渡しパス)からのシュートはボールをキャッチしてから打つので握り方や渡される位置などが変わるためすぐにシュートに持って行くのが難しい。それでも♯14金丸選手は走りながらハンドオフをもらい、2人のショットブロックを視界に入れながらスリーポイントのバスケットカウントをいとも簡単に決めた。この瞬間、三河は完全に栃木のアリーナをホームジャックしていた。
【第3位】
アルバルク東京 ♯23ジェフ・エアーズ
川崎ブレイブサンダースvsアルバルク東京Game2
残り時間23秒、♯2ディアンテ・ギャレット選手の渾身のスリーポイントが決まりA東京が2点差と詰め寄る。ショットクロックよりゲームクロックが短いため、川崎にボールを回されれば負けてしまう。A東京はファールゲームを仕掛けフリースローが苦手な選手を狙いたいところだが、川崎のセットオフェンスによってフリースロー成功率80パーセントの♯22ニック・ファジーカス選手にファールせざるを得なかった。2投決まれば2ポジションゲーム(最低2回シュート打たないと追いつかない点差)だったが、ファールゲームが成功し、1投目、2投目ともに落ち得点は2点差。A東京は絶好調の♯2ギャレット選手にボールを託す。♯2ギャレット選手は♯7篠山竜青選手との身長のミスマッチを生かし、背中で押し込みながら中に入って来た。簡単に同点にされてしまうことを恐れ、♯12ライアン・スパングラー選手がポストアップにトラップに来る。それを見た♯23ジェフ・エアーズ選手はスリーポイントへ動いた。この時、「俺が決めてやる」と無理やり打たなかった♯2ギャレット選手の冷静さと、ローテーションが上手な川崎の♯33長谷川技選手にA東京の♯15竹内譲次選手がフレアスクリーンを掛けて意識を引っ張り、♯23エアーズ選手に時間の余裕を与えている点は、このシーンのポイントと言えるだろう。
【第2位】
川崎ブレイブサンダース ♯12ライアン・スパングラー
川崎ブレイブサンダースvsアルバルク東京 Game2
川崎の♯12ライアン・スパングラー選手は、チームに必要な泥臭いプレーを率先して行うことができる貴重な選手。このシーンもそれを象徴していると言えるだろう。川崎♯33長谷川技選手のスリーポイントに対してオフェンスリバウンドにしっかり入るが、A東京に取られ速攻を狙われる。♯15竹内譲次選手にボールが渡り、ブレイクの完成という瞬間。一番遠くにいたはずの♯12スパングラー選手がブロックショットに戻る。その盛り上がりの中、オフェンスにも走り込みタップショット。まさに縦横無尽である。ブレイク中に♯14辻直人選手がボールにミートすることでディフェンスは全員♯14辻選手を警戒。たいていの選手はブロックショットした時点で止まって見送ることが多い中、♯12スパングラー選手は止まらずに走り込んで来た。その2往復のダッシュに彼の日頃からの献身さが伺える。
【第1位】
栃木ブレックス ♯32ライアン・ロシター
栃木ブレックスvsシーホース三河Game3
栃木のサイドラインプレー。タイムアウト時に2人のアシスタントコーチが出し合った戦術のうちの1つが見事に的中。よく見ると相手の特徴が細かく分析されている。司令塔♯0田臥勇太選手にボールを持たせないように三河の♯3柏木真介選手がプレッシャーを掛ける。♯0田臥選手はコーナーへカットしながら♯4ジェフ・ギブス選手が外でもらう。三河の♯5アイザック・バッツ選手より機動力があるのでエントリーは容易だった。それと同時に、ゴール下の番人♯5バッツ選手を外に引っ張り、ペイント内を空ける。逆サイドのダウンスクリーンセットは♯25古川孝敏選手と♯32ライアン・ロシター選手。♯32ロシター選手は外に出てもらう動きを見せるが、機動力で引けを取らない♯21キャビン・エドワーズ選手が必死に食らいつく。そこで♯32ロシター選手はコースを変えながらボールをもらう。♯25古川選手というシューターがスクリーナーになっているため、マークを外すと♯25古川選手に打たれるという恐怖心から♯14金丸晃輔選手はヘルプに行けなかった。♯32ロシター選手は1ドリブルからのレイアップだが、後ろから♯21エドワーズ選手が追いついてきた。♯32ロシター選手は少しスペースを空けフックシュート&ボールを浮かすことで♯21エドワーズ選手のブロックを交わし見事にゴール。第4クォーターの似たシチュエーションで落としているシュートをタイムアウト時に縮こまらずに「自分に打たせてほしい」と言ったのは有名な話である。
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