2019.04.06

ルーキーの長野誠史がチームに勢いをもたらしB1残留という目的を果たす重要なピースに

ルーキーイヤーも残りわずか。貴重な戦力に成長した長野誠史 [写真]=B.LEAGUE
スポーツジャーナリスト

 今シーズンの大阪エヴェッサは「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2018-19」進出を狙って戦い続けているが、なかなかその目標は難しい状況下にある。さらには現実的な部分としてB1残留という言葉も見えてきており、負けられない戦いも続いている。その中で3月31日に敵地で行われた滋賀レイクスターズ戦は絶対に負けられない関西ダービーとなった中で、相手のストロングポイントをしっかりとディフェンスで抑えて我慢強く粘り切って勝利を収めて、そのB1残留に向けて大きな1勝を得た。

 試合後、穂坂健祐ヘッドコーチは安堵の表情を見せながら「ようやく自分たちが練習してきたことが試合で再現できて、それはすごく嬉しいことですし、選手の成長を凄く感じる試合でした。得点も分散できていて、滋賀さんの個人プレーに対して自分たちはチームプレーで戦えたので、それで勝てたのは非常に大きな一勝でしたし、本当に昨日の敗戦から学んだことがたくさんある中でしっかり修正してしっかり勝てたと思います」とゲームを振り返った。

 その試合で司令塔を任されたのが、ルーキーとして今シーズン大阪に加入した長野誠史。19分弱の出場ながら11得点に加えて6アシストと大活躍を見せて勝利に貢献、MVP級の活躍を見せたのであった。特に後半に入って序盤の重要な時間帯で持ち味のスピードから相手ディフェンスを切り裂くドライブでチームにリズムをもたらした。彼のエナジー溢れるプレーによって、モメンタムを維持して滋賀を逆転できたのである。

 10月末の千葉ジェッツ戦では、今後ロスターの1人として起用方法も考えると話していた穂坂HC。しかし長野はその後、なかなか充分な出場機会には恵まれなかった。実は夏に加入した当初はゲームに使えるか疑問符がついた中、さらには練習中もチームメートのディフェンスにボールすら運べなかったというエピソードを会見で披露したうえで彼の成長をこう語ってくれたのである。

「彼自身苦しい思いをしながらもワークアウトなど日々の努力を重ねて今こうやってコートに立っていて、これがルーキーなのかというようなプレーをしてくれています。彼の将来というのも考えると、コートに出してあげないといけないというコーチとしての責任もあります。その中で10月のあの頃まで振り返って、今までほぼプレータイムをもらえなかったルーキーが千葉の富樫(勇樹)選手や川崎(ブレイブサンダース)の篠山(竜青)選手など日本を代表する選手たちとマッチアップするというのは普通ないですよね。それは彼の日々の努力の結果でチャンスを得ている結果だと思いますし、本当に毎日成長を見ていられるのは嬉しい形ですね」。

コツコツ努力して信頼を勝ち取った長野 [写真]=鳴神富一

 努力を怠らずコツコツと懸命にプレーしてきたからこそ、つかみ取った信頼。彼は大学時代、練習が1番厳しいと言われる東海大学九州でプレーしていた。しかし、プロの世界の練習環境は今までと違って自身をよりタフにしてくれていると言う。「フィジカル面でしっかりトレーニングできていて成長できているなというのは実感していますし、プレーでも落ち着いて出来ているなというのも感じています。練習の環境が全く違っていて、大学にない環境が今は備わっているのでそれのお陰でもあると思います」。

 このゲームはビッグゲームだとHCからしっかりと言われていた中で残した結果と勝利。やるべきことをしっかりと遂行して、それが結果として残って良かったと笑顔を見せてくれた。しかし、この1勝でB1残留は決まってはいない。その目的に向けて重要なことをうかがうと、力強くこう答えてくれた。「もう1度全員でハードに戦っていくということが大事かなと思います。その中で選手というのは調子の良い悪いというタイミングが試合で必ずあるので、しっかりと全員でカバーをしあってハードワークしていきたいと思います」。

「なかなか結果出ていない中でスポンサーやファンを含めてたくさんの方々に応援してくださっていて、その方々のサポートを絶対に裏切れない。メンタルの強さを持って、エナジーをテーマに残り戦っていく」と残りゲームに向けて穂坂HCは最後に語ってくれた。このゲームでエナジーを全面的に出して、やるべきことを遂行した長野。彼のプレーがチームをB1残留という至上命題を達成させる重要なファクトになるであろう。

文=鳴神富一

長野 誠史の関連記事

大阪エヴェッサの関連記事

B1の関連記事