2021.05.21
今季はリーグトップとなる49勝11敗の成績で東地区優勝を決め、2016−17シーズン同様にセミファイナルまでホームで戦うことができる。レギュラーシーズンは1試合平均70.8失点と抜群の安定感を誇り、攻撃でもテーブス海、比江島慎、新加入のジョシュ・スコット、LJ・ピークが新たなスパイスを加えた。
ただ、大崩れはしないものの、CSに出場する8チームの中で1試合平均得点(81.3得点)は最も少なく、王座奪還へ向けては勝負どころでのオフェンスがカギとなりそうだ。その局面を任されるであろうライアン・ロシター、遠藤祐亮、比江島がビッグショットを決めて優勝へ導けるか。
宇都宮の対抗馬となり得る存在は、今年の天皇杯を制した川崎ブレイブサンダースと“3度目の正直”で悲願を狙う千葉ジェッツか。
宇都宮と川崎は、互いに勝ち進めばセミファイナルで激突する。惜しくもクォーターファイナルでのホーム開催権を逃した川崎だが、天皇杯決勝では宇都宮を退け、その後のレギュラーシーズンでもブレックスアリーナ宇都宮で連勝している。
天皇杯以降、対戦相手の脅威になり続けているニック・ファジーカス、パブロ・アギラール、ジョーダン・ヒースのビックラインナップはいまだどのチームも抑え込めておらず、さらにはマティアス・カルファニもケガから復帰。今季2冠へ向け視界は良好であり、時に相手を50点台に抑える守備力に加え、Bリーグファイナルの舞台を経験している日本人選手が多いことも大きなアドバンテージとなりそうだ。
川崎との東地区2位争いを制した千葉は、レギュラーシーズンを9連勝で締めくくった。今季は平均17.1得点11.7リバウンドをマークしたセバスチャン・サイズを筆頭に、個人技でも打開できるシャノン・ショーター、黒子役として勝利に貢献する佐藤卓磨の新戦力が台頭。
それでも、CSでのキーマンはやはり富樫勇樹だろう。序盤戦こそ苦しんだが、12月には40得点をマークするなど全57試合にスタメン出場。富樫を主将に据えてリーグチャンピオンを掴みにいく今季、まずは初戦の船橋アリーナで快勝し、一気に横浜アリーナまで駆け上がりたいところだ。
今季開幕前は“逆輸入ルーキー”の獲得で話題を読んだ大阪。天日謙作HCのもと「走るバスケ」を掲げるチームは、5年目にして初のCS進出を決めた。開幕から攻撃を引っ張ってきた橋本拓哉の離脱は痛手だが、平均19.3得点6.0アシストのディージェイ・ニュービルは健在。終盤戦には角野亮伍がキャリアハイの21得点を2度記録して調子を上げ、シーズン途中から療養していた天日HCが復帰してからは12勝3敗でレギュラーシーズンを終えた。川崎や千葉に対応できる高さは備わっているだけに、経験値で劣るガード陣の出来が重要になるだろう。
琉球は4シーズン連続で西地区優勝を達成。過去2シーズンのCSは、ともにセミファイナル敗退と決勝へはあと一歩届いていないが、今季もディフェンスに重きを置いて白星を重ね、平均75.2失点はB1で3番目に低い。新加入の船生誠也、ドウェイン・エバンスらも高さと守備力を兼ねそろえており、リバウンド王に輝いたジャック・クーリーも心強い存在だ。
チームはレギュラーシーズン終盤、競り合いを落とす試合が続いてしまったため、いかに気持ちを切り替えて臨めるかが1つのポイント。沖縄アリーナの後押しを力に、初のファイナル進出を目指す。
その琉球と初戦で対戦するのは、ワイルドカード上位の富山グラウジーズだ。2度目のCS進出を果たした今季は、京都ハンナリーズから浜口炎HCとともにジュリアン・マブンガ、三河から岡田侑大らが加わったことで、B1トップ(平均89.2得点)の攻撃力を発揮。初めて東地区に所属しながらも、全60試合中39勝を挙げて台風の目となった。
当然、CSでも攻撃力が生命線となるが、外国籍選手が2名という点に加え、橋本晃佑の離脱もありインサイドが手薄であることは否めない。センターのジョシュア・スミスがコートに立ち続けられるかどうかがトーナメント突破のカギとなるだろう。
まずは宇都宮と対戦するワイルドカード下位のSR渋谷。本格的に伊佐勉ヘッドコーチ体制となって以降、プレッシャーをかけ続けるオールコートディフェンスをスタイルに置き、昨年は5年ぶりに天皇杯を制覇した。
チームはBリーグ初年度以来のCSとなるが、レギュラーシーズン最後の3試合ではいずれも100点を超える失点を喫して敗戦。宇都宮とも1勝3敗と分が悪く、5月14日の初陣へ向け守備の修正が急務となる。また、宇都宮から2勝を奪うには得点源のライアン・ケリー、ベンドラメ礼生の活躍は必須。初戦で下馬評を覆すことができれば、2年連続のタイトル獲得も一層現実味を帯びてくる。
一方の三河は、ケガ人を抱えた状態でポストシーズンを迎える。8日に負傷したカイル・コリンズワースと根來新之助に加え、シェーン・ウィティングトンも欠場が続いており、得点源のダバンテ・ガードナーも万全ではない状態。
トーナメントを勝ち上がるには金丸晃輔、川村卓也の爆発力はもちろん、若手選手の奮起が必要だ。シェーファーアヴィ幸樹は攻守両面での働きが求められ、特にリバウンド争いで体を張ってチームを助けたい。
昨年同様、新型コロナウイルスの猛威により厳しいシーズンを送っている5年目のBリーグ。もちろん勝敗は大事だが、一番は残りの試合が無事に開催されること。それが、Bリーグを愛するすべてのファンの願いだ。
文=小沼克年
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