2021.09.01
夏の日差しが差し込む7月下旬、幕張にある通所介護施設「幕張ケアセンターそよ風」には活気ある若き声が弾けていた。その声の主はバスケットボール界の未来を担う10代のアカデミー生たちの声だった。
2020-21シーズン、悲願のBリーグ制覇を果たした千葉ジェッツ。新シーズンに向けての準備が着々と進む中、この夏、チャンピオンチームがアカデミー生と介護施設の皆さんとともに新たな取り組みをスタートさせていた。
実は今年より千葉ジェッツふなばしと介護事業を全国で展開する株式会社ユニマット リタイアメント・コミュニティが手を組み、お互いの経営資源を活かした課題解決と発展という、日本では数少ない新たな取り組みを発表。幕張ケアセンターそよ風で、アカデミー生に対する栄養及び送迎支援を行っている。
そして今回は、コロナ禍の中で「会えなくても心は1つ」というテーマのもと、千葉ジェッツとのオフィシャルサプライヤー契約を記念する第1弾として共同で花の植付を行った。本来両社が望んでいた選手と施設を利用する皆さんと交流がコロナで難しいため、「会えなくても心は1つ」をテーマに、この企画に至ったという。
当日は真夏の雲一つない澄み渡る空のもと、夏休みに入った小学5年生から中学3年生までの千葉ジェッツのアカデミー生15人が参加。アカデミー生らは小中学校での植栽経験を思い出しながら、積極的にプランターへの土入れから苗の植付までを行った。
植付を行うアカデミー生の中には、1つひとつの苗に「これが富樫選手でこれがジョシュ選手」と名前をつけて愛着を持たせ、大切に楽しく、思いを込めて植えてくれる選手もいた。また、植付・環境についての豆知識などを施設職員が説明した際、目を輝かせ熱心に聞いている姿は、千葉ジェッツアカデミーの理念のひとつである「常に学び、そして追及する心を持つ」という教育が浸透していることを感じる一面でもあった。
今回、植栽を行った幕張ケアセンターそよ風は全国で約340施設で介護事業を軸に運営するユニマット リタイアメント・コミュニティの施設の1つであり、千葉ジェッツのおひざ元の1つでもある千葉市の幕張の施設に植えた。本来は施設での栄養支援をアカデミー生が受ける際に利用者と交流し、親交を深め、スポーツの力で介護の現場にパワーを送り、フランチャイズエリアの利用者にもジェッツの素晴らしさ、バスケットの魅力を知ってもらうプロジェクト。
新型コロナウィルス感染拡大予防の観点から今は直接、施設での利用者との交流は難しい。そんな中、ジェッツのチームカラーのである赤色のゼラニウムを、アカデミー生が水をやり、今度は施設の皆さんが水をやり…という具合に育て合うことで1つの目標に向かってい絆を深める形で一歩を踏み出した。今後は利用者と施設職員、そしてアカデミー生とが「会えなくても心は1つ」の実現をしていくとともに、アカデミー生たちの環境問題などの興味関心を育み、環境教育に繋げていくという。
また千葉ジェッツの選手が闘う姿を間近で見て、利用者が明日もリハビリに来て“私も頑張ろう”と思ってくれるかもしれない。アカデミー生が食事をしている姿を見て、利用者が“食べること”へのモチベーションが向上するかもしれない。スポーツとアスリートが持つエナジーが介護の世界に変化をもたらし、新たなステージに導き、そして多くの高齢者に“生きる力”を与えてくれるかもしれない。その先駆者がBリーグチャンピオン千葉ジェッツふなばし。社会的意義のある素晴らしいプロジェクトが進んでいる。
取材・文=田中 大貴(スポーツアンカー)
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