2022.09.29
開幕前の恒例インタビューJBA審判グループに聞く!このインタビューは新ルールやJBA審判グループの取り組みについて紹介し、リスペクト文化醸成のためにスタートした企画の第3回。今回は新シーズンに向けて「新シーズンのFIBAルールについて知っておくべきポイント」について解説していただきます!
※各項⽬の映像・URL・文章は新シーズンへのルールの理解を深めていただく⽬的で使⽤しています。本インタビューで紹介している事象、選⼿、審判を批判や評価する⽬的のものではありません。
――今シーズンも新シーズンを迎えるにあたり知っておくべきいくつかのFIBAルールのポイントについて解説をお願いしたいと思います。
上田 2022年10月1日以降開催のFIBA大会ではいくつかのルール変更があります。国内でも日本バスケットボール協会(JBA)理事会での承認に基づき2023年4月1日からの採用になりますが、2022−23シーズンのB.LEAGUE(B1、B2)、B3リーグ、Wリーグ、天皇杯・皇后杯の2次ラウンド以降ではこれらの変更が先行採用されます。
これは今シーズンからの採用ではありませんが、これまで試合前のウォーミングアップは、自チームベンチと逆のコートでアップを行っていましたが、自チームベンチ前でのウォーミングアップとなり、前半に攻めるリングは自チームベンチ側のリングを攻めるように変更されます。
ユーロバスケットなどでお気付きの方もいらっしゃると思いますが、すでに一部のFIBAゲームでは採用されており、当初は新型コロナの感染予防のためできる限り相手チームとの接触機会を減らそうという運用が、ルール化されました。ただし国内トップリーグでの採用は2023-24シーズンからになりました。
――今シーズンからシーズンパスを復活させたチームも多くあります。ウォーミングアップから楽しんだり、カメラで写真を楽しまれているファン・ブースターにとっては、どこで観戦するかが勝負ですので、重要なポイントですね!
上田 2022−23シーズンから採用の新ルールをいくつかご紹介します。これまで第4クォーター、もしくは延長残り時間2分の状況で、スローインのボールがオフェンスの手から離れる前にディフェンスのファウルを宣した場合は、アンスポーツマンライクファウル(アンスポ)のクライテリア5の対象となっていましたが、新ルールでは、新設のスローインファウルというパーソナルファウルに変わります。これまではアンスポの罰則として相手チームにフリースロー2ショット+ポゼッション(攻撃権)でしたが、今回の変更によりスローインファウルの罰則として相手チームにフリースロー1ショット+ポゼッションとなります。
2021ー22シーズンまでの罰則
アンスポーツマンライクファウル ➡ 2ショット+ポゼッション
2022−23シーズンからの罰則
スローインファウル ➡ 1ショット+ポゼッション
なお、もしこの状況でチームファウルがこのファウルで5つ以上になった場合は、チームファウルのペナルティシチュエーションの処置であるフリースロー2ショットではなく、「スローインファウル」の処置を優先することになります。
発生頻度は多くはありませんが、背景として、ゲームの一番面白いシチュエーションでこのファウルが起きた場合、これまではアンスポーツマンライクファウルとなり、これが個人2つ目のアンスポーツマンライクファウルや、すでにテクニカルファウルが宣せられていた場合には累積としてそのプレーヤーは失格退場でした。失格退場によってファンの皆さんの興味がそがれることや、ファウルがゲームに与える影響の大きさをFIBAとして検証した結果、罰則がいままでよりも軽減されることになりました。クライテリア5が無くなり、これまで5種類だったアンスポーツマンライクファウルの対象行為が4種類になります。
ちなみに、「スローインファウル」には専用のレフェリーのシグナルが無く通常のファウルのシグナルを行います。罰則がフリースロー1ショットのテクニカルファウルと似ているため、ゲームの残り2分のスローイン時にファウルが起きた場合にはレフェリーのシグナルにも注目して頂きたいです。
――ゲームが一番盛り上がり、勝負の分かれ目の場面でのルールですので、まさに知っておくべきポイントですね!
上田 新ルールではありませんが、FIBAとして重点ポイントにあげているのが、いわゆるトランジションなどのシーンで、ディフェンスがファウルによってオフェンスの進行を止めるプレーの削減です。こちらはすでに取り組んでいた点ですので、ファンの皆さんにも少しずつ理解が浸透しているのではないかと思いますが、審判員としてはルール通りアンスポーツマンライクファウルを宣することでさらに重点的に取り組んでいきます。
(参考動画:アンスポーツマンライクファウル・クライテリア3)
サンプル動画 | 公益財団法人日本バスケットボール協会 (japanbasketball.jp)
――夏の間に行われていたFIBAゲームを見ても、重点ポイントにあげられているのが分かるシーンが多かったですよね。
高森 新ルールではありませんが、これまでもファウルであった相手プレーヤーのシリンダーを侵すイリーガルな接触に「シリンダーファウル」という新しいシグナルが加わりました。ファウルを取り上げた後にレフェリーが延ばした両手を垂直に上下させたらシリンダーファウルのシグナルですので、レフェリーが何をファウルとして取り上げたのか興味を持って見ていただければと思います。
――そのようなルール周知やレフェリーの取り組みについても新しい動きがありましたね。
高森 「レフェリーと話そう!ミート・レフェリー」と題し、SoftBankカップと三井不動産カップで実際に試合を担当したFIBAレフェリーとのオンライン交流会を実施しました。ルールに関するクイズや、参加者からの質問に直接回答するイベントを行いました。
「レフェリーと話そう!ミート・レフェリー」三井不動産カップ担当審判員とのオンライン交流会を実施 (実施報告) | 公益財団法人日本バスケットボール協会 (japanbasketball.jp)
今後も審判活動やルールについて、より多くの方に知っていただく機会を計画していきますので、ぜひ多くの方に参加いただければと思います。
――国内トップレベルのレフェリーから実際の試合について聞けるのは貴重な機会ですね?
高森 JBAでは、2030年JBA設立100周年に向けて日本のバスケットボール界が1つのチームとなって目指していく指針としてJAPAN BASKETBALL STANDARD「JBS2021」を策定しています。そのなかで「5.戦略領域」として、2024年に審判ライセンス保有者7万人(※現在約5万人)という目標を示しています。※年度の締め切りの時期に応じて変化
JAPAN BASKETBALL STANDARD 2021(JBS2021) (japanbasketball.jp)
トップリーグだけでなく様々なカテゴリーで、これまでのトーナメントだけでなく、リーグ戦文化を創り出す取り組みを行っていて、試合数が増加しています。これだけの試合数を運営していくには、審判をやりたい人を増やしていく事が必要です。バスケットボールを楽しむには、審判の存在が欠かせないことも知っていただき、eラーニングで気軽に取得可能なE級ライセンスもありますので、バスケを楽しむ一つの方法として審判ライセンスを取得したり、審判やルールにも興味を持っていただければ幸いです。
ライセンス講習(eラーニング)の受講について | 公益財団法人日本バスケットボール協会 (japanbasketball.jp)
――バスケは選手だけいても成立しない。レフェリー、テーブルオフィシャルなど運営に携わる方々の存在も忘れてはいけない事を教えてもらいました!
今回解説いただいた点などをまとめた、主な変更点サマリーはコチラ
2022 FIBAルール 主な変更点サマリー20220810 (japanbasketball.jp)
後編はいよいよ新しくFIBAが導入する「ヘッドコーチチャレンジ(HCC)」の解説と「世界で活躍する日本人レフェリー」についてご紹介!
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