2022.11.15
Bリーグ開幕とともに本格的にスタートした『B.LEAGUE #LIVE 2022(Bライブ)』はリーグ公認のファンタジー(空想)スポーツゲーム。実在のB1・B2の選手が残すスタッツがそのまま反映されるので、Bリーグを現実と空想の両方で楽しめるということで注目をさらに集めている。このBライブをさらに面白くするにはリーグの状況を確認することも大切。バスケットボールキングでは毎月リーグの状況を勝敗にスタッツの要素を加えてお伝えしていく。Bライブ攻略の参考になれば幸甚だ。
文=吉川哲彦
2016-17シーズンのスタート以降、Bリーグは東地区に強豪クラブがそろい、戦力面の偏りを指摘されることが多かった。しかし、昨シーズンは琉球ゴールデンキングスと島根スサノオマジックの2クラブがチャンピオンシップセミファイナルに駒を進め、琉球は西地区勢として初めてとなるファイナル進出を果たした。戦力が均衡し、どのクラブが勝ち上がるかを予想することが難しくなれば、ファン・ブースターにとってはより目の離せないリーグになっていく。そういう意味では、状況が良い方向に進んでいるのは確かだ。
その他の3クラブは地区2位から順に名古屋ダイヤモンドドルフィンズ、琉球、島根と並ぶ。昨シーズンCSに進んだことを考えれば、名古屋Dのこの位置も全く不思議ではない。こちらは広島と対照的に、1試合平均得点の他に同フィールドゴール成功数と成功率、同アシスト数、同ブロック数、3ポイントシュート成功率と実に5部門で1位。個人でもコティ・クラークが得点でランキング6位、アシストと3ポイントシュート成功率で齋藤拓実が2位、ブロックでモリス・ンドゥールが2位と上位に顔を出す。クラークと齋藤に関しては昨シーズンまでの活躍で証明済みだが、特に齋藤の1試合平均7.9アシストという数字は、昨シーズンのアシスト王の数字を上回り、今シーズンもその進化が全く止まっていないことは明らかだ。そして、日本の高校出身者としては田臥勇太(宇都宮ブレックス)に次いで2人目のNBA選手であるンドゥールには、今後注目していかなければならない。
ンドゥールに触れた流れで、今シーズン初めてBリーグでプレーしている外国籍選手について見ていきたい。現時点で良いスタッツを残している選手としては、前述したブラックシアーの他にスタントン・キッド(秋田ノーザンハピネッツ)やヤンテ・メイテン(三遠ネオフェニックス)、ヴィック・ロー(千葉J)、ジャスティン・コブス(アルバルク東京)といった名前が挙がる。外国籍選手に第一に求められるのは得点力であり、上記の4人はいずれも得点ランキングで20位以内に入っている選手。ここまでその期待に十分に応えているのがこの4人ということになる。
この中で特に光るのはメイテンだ。1試合平均18.3得点はキッドを下回るが、同リバウンドは10.0本でリーグ9位につけ、今シーズンからBリーグでプレーする新外国籍選手の中では唯一の2ケタ。また、同1.7ブロックはリーグ3位で、攻守両面でチームへの貢献度が高い選手であることがわかる。三遠はここ数シーズン不振にあえぎ、今シーズンは選手・スタッフともに大幅に入れ替える大改造を施したが、10月を終えた段階では6勝3敗で中地区首位に立ち、今のところはその成果が表れている。メイテンがその立役者であることは間違いなく、三遠がこの勢いをどこまで持続できるかという点もメイテンにかかっている。
ただ、翌日の同カード第2戦は28点差で完敗し、そこから4連敗とB1の洗礼を浴びる格好となっている。過去の昇格クラブにはB2で圧倒的な成績を収めてきたクラブも多いが、B1の高く厚い壁にはね返されたケースも少なくなく、選手の入れ替えを最小限にとどめてB1に乗りこんできたFE名古屋がどこまで通用するかという点は、今シーズンのB1の見どころの一つ。ここまではフィールドゴール成功率が41.6パーセントと低く、1試合平均17.0アシストはリーグ最下位とオフェンス面で苦しんでいる印象が強いが、同12.0オフェンスリバウンドは8位、同3.1ブロックは6位と良いスタッツもあり、ここからの戦いぶりに注目したい。
もう一つの昇格クラブ、仙台89ERSはBリーグが幕を開けた2016-17シーズンにB1で戦っており、正確には復帰ということになる。ただ、当時を知る選手は一度移籍して戻ってきた片岡大晴のみ。他にもB1経験者はいるものの、昨シーズンB1の舞台でプレーした選手は3人だけということもあり、10月は3勝6敗と黒星が先行した。チームとして改善が必要なのは、FE名古屋と同様にオフェンス面。1試合平均69.1得点はリーグ23位となっているが、そもそもフィールドゴール試投数がリーグ21位、フリースロー試投数が同22位、オフェンスリバウンドが同19位といずれも少ないため、オフェンスの回数を確保できていない。逆にディフェンスリバウンドやスティールの数字は悪くなく、好ディフェンスをオフェンスにつなげられるかどうかが直近の課題ということになるだろう。
選手個人のスタッツに目を向けると、第4節第1戦でトリプルダブルを達成したペリン・ビュフォードがやはり目につく。10月の9試合は1試合平均19.8得点、11.1リバウンド、7.7アシスト、1.8スティール、1.2ブロックとフル回転。3ポイントシュート成功率も51.6パーセントという高確率で、ここに挙げた6つの数字はすべてリーグでトップ10にランクインしている。アウトサイドの選手でありながらリバウンドやブロックでも高いスタッツを残しているのは驚異というほかなく、今シーズンのB1で最もレベルの高いオールラウンダーだ。
最後に、B2についても注目すべきトピックを取り上げておきたい。開幕戦を3点差で落とした後に8連勝と波に乗っている愛媛オレンジバイキングスは、選手個人の成績にもその好調ぶりがよく表れている。今シーズンから愛媛でプレーしている古野拓巳は、ここまでの9試合はすべて5アシスト以上を記録し、そのうち3試合は2ケタに乗せた。1試合平均8.1アシストは、2位に1.3本差をつける堂々のリーグトップだ。リバウンドではユージーン・フェルプスがこちらも2位に2.3本差でトップを快走。他にも得点でライアン・クリーナーが4位、フェルプスが5位、フリースロー成功率で俊野佳彦が3位に入るなど、好成績が目立つ。個々の役割が明確になっていることが、愛媛の快進撃の要因だ。
そしてもう一つ、フリースロー成功率のランキングに要注目。1位にはジョーダン・ヘディング(長崎ヴェルカ)とテレンス・ウッドベリー(熊本ヴォルターズ)が100パーセントで並んでいるが、ヘディングの試投数(イコール成功数)が10本なのに対し、ウッドベリーは実に49本。これほどの本数を打っておきながら、ウッドベリーは開幕からまだ1本も失敗していないのである。B1では2019-20シーズンに金丸晃輔(三遠、当時はシーホース三河)が開幕から65本連続で成功させた記録があるが、ウッドベリーはそれに迫る勢いだ。なお、そのシーズンの金丸は1試合平均試投数が2.2本で、記録が途切れたのは2月だったが、今シーズンのウッドベリーは5.4本。このペースを維持したまま決め続ければ、第7節には金丸の記録を超えることになる。11月に入ってすぐに大記録が誕生するかどうか、B2からも目を離してはならない。
Bリーグ2022-23シーズンの開幕とともにスタートしたリーグ公認ファンタジースポーツゲーム『B.LEAGUE#LIVE2022』は、実在のB1・B2選手からドラフトしてチームを編成しプレーヤー同士で対戦するシミュレーションゲームだ。
プレーヤー同士の勝敗は、選手の実際のスタッツ=活躍に応じたポイントで争い、複数人だけでなく1人でも楽しめる豊富なコンテンツが用意されている。すでに多くのBリーグファンがプレーヤーを楽しんでおり、他のユーザーと交流するツールとしても活用されるなど、上々の反響を得ているということだ。
このゲームの最も面白いところは、日本代表クラスの選手や個人タイトル争いの常連だけでチームを編成できない点。勝敗を競う上ではスタッツが何よりも重要となるが、実際のプロスポーツの世界で過去の実績によって選手の年俸に差が生じるのと同様に、これまでに高いスタッツを残してきた選手とそうでない選手を同じ条件で獲得することはできない。サラリーキャップ(選手総年俸額に上限を設ける制度)のようなシステムがあるこのゲームでは、未知数ながら将来性のある若い選手や、移籍などで出場機会増加が見込まれる選手などを見極め、チームに加える必要があるのだ。
本記事で紹介した第3節までの各選手の活躍度を参考に今後の展開を予想し、GM気分が味わえるこのゲームをより楽しんでみてはどうだろうか。
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