2023.11.08

京都ハンナリーズ 「新生ハンナリーズが京都の街で『共に、登る。』」(前編)

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2022年7月、京都ハンナリーズが新たなスタートを切りました。クラブ創立以来初のオーナーチェンジがあり、松島鴻太氏が京都ハンナリーズ運営会社であるスポーツコミュニケーションKYOTO株式会社の代表取締役社長に就任しました。京都ハンナリーズはどのように生まれ変わったのか。松島代表取締役社長、ホームタウン推進部の田中裕一氏に話をうかがいました。※本インタビューはB.LEAGUE HOPE(https://www.bleague.jp/b-hope/about/)に掲載された記事を転載したものです。

【インタビュー対象者】
・スポーツコミュニケーションKYOTO株式会社:代表取締役社長 松島 鴻太氏
・スポーツコミュニケーションKYOTO株式会社:ホームタウン推進部 田中 裕一氏

(左)田中氏、(右)松島氏©︎KYOTO HANNARYZ

――松島さんはどのような思いで新体制をスタートさせましたか?
松島 まずはなぜ京都ハンナリーズが京都の街に存在しているのか。『京都ハンナリーズに1秒でもかかわる全ての人に夢と感動を!』というクラブ理念を掲げていますが、スポーツの本質である夢と感動を皆さまに与え、我々がハブとなって価値提供していくこと。それこそが存在意義だと明確にして、スタートさせました。

私自身が大切にしたのは、目標と夢を持つこと。仕事に取り組むだけで自己満足するのではなく、1人でも多くの方、1つでも多くの企業を巻き込んでいくことを大事にしようと思い、『共に、登る。』というスローガンを掲げました。皆さまと一緒に取り組むことが街の発展や成長に寄与できるだろう、という仮説を立てたのが始まりです。

――クラブのどのような部分にポテンシャルを感じていましたか?
松島 京都ハンナリーズは京都という世界的な観光都市に存在するクラブです。世界的な知名度だけではなく、人口や企業数でも圧倒的に恵まれている地域に存在するにも関わらず、深い歴史と独特の文化がありプロスポーツが根差しにくい地域だと言われます。このギャップを埋めるのはポテンシャルしかないと思いました。

私の発想として、ベクトルを自分たちに向けた時、ハンナリーズはまだ努力しきれていなかったのかなと。そう思うと、自分たちがやればやるだけ結果を出せるだろうと感じました。

――昨年からホームタウン推進部を新たに立ち上げました。ここ1年間の取り組みについて聞かせてください。
松島 ホームタウンとの関わりは重要度が高い一方、優先度が低い認識だと思います。収益にすぐ直結するものではないですし、数字として表れにくい部分ですから。これまでのハンナリーズはここに投資しきれていなかったと思います。

1年前、まだ何もわからない立場で、やることが山ほどある状況でしたが、直感で「ここに投資すべきだ」と思い、2名体制で始めることを決断しました。今は立ち上げて本当に良かったと思っています。遠回りのようですけど、田中が先頭に立って努力してくれて、様々なことを積み上げてくれました。結果として集客やパートナー数の増加にもつながっています。

最初はこちらから「何かやれることはないですか?」と声を掛けていましたが、最近は自治体や団体から逆に声を掛けていただけるようになりました。本当に必要とされていることを感じますし、京都の街にあるクラブだと認められつつあるのかなと。ホームタウン活動に終わりはないので、今後も積み上げ続けなければいけませんが、現時点ではすごく手応えを感じています。

田中 松島社長が就任する前は、少人数でクラブを運営していました。行政などから「これをやってほしい」と打診されたものを実施することが中心で、どちらかと言えば受け身の姿勢でした。ホームタウン推進部が立ち上がったことで、自分たちから様々な場所に出向き、積極的に「自分たちはこんなことやあんなことができます。何かお手伝いできることはありませんか?」と声掛けできるようになりました。

――ホームタウン活動として『NEKONOTE PROJECT』を開始しました。
田中 少しおかしな名前ですけど、「京都ハンナリーズのホームタウン活動」という名称で活動するのではなく、『NEKONOTE PROJECT』というブランドを作ることによって、バスケットボール以外の文脈でも地域貢献ができる、と京都の皆さまにお伝えしたかったんです。

名称を決める上で、京都ハンナリーズにはマスコットの「はんニャリン」という強いコンテンツがあるので、猫を活かした名前にすること。あと、我々の活動は自分たちだけで完結することがあまりないため、私たちに任せてほしいというより、「私たちは猫の手ぐらいの力しかないですが、猫の手を借りるくらいの気軽な気持ちで声を掛けてください」という思いから、『NEKONOTE PROJECT』という名前になりました。地域の皆さまにとって、身近なホームタウン活動を目指して取り組んでいます。

――印象に残っている出来事はありますか?
田中 登校時の小学校訪問です。チケット売上に直結する行動ではなく、校門で挨拶活動をしているだけですが、子どもたちが走ってきて、朝早くから「はんニャリン」と戯れているんですよね。子どもたちの歓声が響き、先生たちも楽しそうに一緒に写真を撮っている、こういった風景が街の活性化につながると感じました。会場では得られない感動でした。

松島 我々は様々な企業を訪問し、取り組んでいる活動のプレゼンテーションをしています。一昨年に約50回だった地域貢献活動は、昨年は約260回やってきました。数が多いからいいわけではありませんが、地域に必要とされるべく、京都の街の未来のためにバスケットボールを通じて活動しているんだと。クラブを応援いただける新規のパートナー企業が昨年1年間で115社も増え、そういったところでも我々が取り組んでいる成果や価値を表すことができたと思っています。

©︎KYOTO HANNARYZ

――試合経験が少ない子どもたちを対象にしたハンナリーズチャレンジカップも『NEKONOTE PROJECT』の1つです。
田中 これまでも選手やコーチが参加するクリニックを開催していましたが、ある時に「やっぱり試合をするのが一番楽しいだろうな」と感じました。U12の大会は多くあったので、京都府バスケットボール協会に相談したところ「U10で開催するのはどうでしょうか?」とアドバイスをいただきました。

4年生以下の子どもたちは公式戦が限られていたため、ハンナリーズチャレンジカップを開催することで、シュートを決められたとか、いいパスを出せたとか、様々な経験を積めて、より長くバスケットボールを楽しんでもらえる機会になると考えました。私たちの思いつきというより、京都のバスケットボール界が求めていたものでもあると思います。

第3回ハンナリーズチャレンジカップには半澤凌太選手が参加©︎KYOTO HANNARYZ

――先日発表されたコラボレーションビールは、地域課題解決に向けた取り組みだとうかがいました。
松島 京都府北部にある天橋立では、海岸に溜まるカキの殻が環境問題になっています。株式会社ローカルフラッグ様はその殻を水の硬度調整に使い、地元与謝野町のホップを掛け合わせて“飲んだら海(天橋立)がきれいになる”をコンセプトにビールを醸造されています。 その素晴らしい理念に共感し、SDGs活動の一環としてコラボレーションビールの販売を今シーズンの開幕戦から始めることができました。

株式会社ハートフレンド様が展開するスーパーマーケットの『フレスコ』と『コレモ』の関西全117店舗で先行販売されたり、会場での販売に際してNISSHA株式会社様が手がける事業のリユースカップを提供したり、ビールを飲むためのコースターを作りたいとHILLTOP株式会社様が仰ってくださったり。コラボビール1つで様々な関係が生まれ、地域の活性化につながるのはスポーツクラブとして価値のある取り組みだと感じています。京都の中心エリアだけではなく、過疎化が進む北部エリアの課題解決に向けて今後も取り組んでいきたいです。

澁田怜音 選手・小西聖也 選手・半澤凌太 選手がビール作りを体験©︎KYOTO HANNARYZ

――スポーツがもたらす地域活性化についてはどのように感じていますか?
松島 スポーツの力は唯一無二だと思っています。私自身は中学生の時、ラグビーに出会ったことで自分の人生が変わっていきました。スポーツは人生を好転させるきっかけを与えられると思います。

また、先日のFIBAバスケットボールワールドカップ2023をはじめ、WBCや、サッカーやラグビーのワールドカップなどを見て、感動した人も多いはずです。スポーツは人に感動を伝えられ、希望や活力を与えられるもの。そういったコンテンツはなかなか存在しないと思っています。スポーツが持つ力は特別ですし、それをこの京都の街から展開できるということで、僕らが先頭を切って、未来を切り拓いていく存在になりたいですね。熱狂の中心に我々がいて、街がより活性化して豊かになっていく。そういった世界観を実現していきたいです。

――新B1に該当する「B.LEAGUE PREMIER」が2026年から始まります。
松島 参入に向けてすごく自信があります。準備してきたことが実を結んでいるような感覚をつかんでいます。入場者数に関してはフロントが一丸となって、目標にコミットできている手応えがあります。

地元京都出身の岡田侑大選手を筆頭にチームへの期待も感じます。我々の盛り上がりが街に波及していくことで、アリーナ建設の気運醸成にもつながってきます。まずは自分たちが努力して、1人でも多くの方を巻き込み、応援してくださる皆さまと「共に、登る。」ことで2026年の参入を決められると思います。ただ、Bプレミア参入はあくまで手段。クラブの価値が向上すれば、『NEKONOTE PROJECT』の価値もさらに高まり、街の皆さまに対してできることが増え、京都の街のより一層の発展と成長につながると確信しています。

©︎B.LEAGUE

本インタビューは後編(11月下旬公開予定)に続きます。

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