2019.08.01

「もう一度一から作り直して冬は絶対に勝ちたい」――高橋未来、涙の奥にある強い意志

ミニバス時代から対戦してきた藤田和とのマッチアップ [写真]=佐々木啓次
フリーライター

「いつもは試合の出だしが良くなかいのですが、インターハイでは、2回戦、3回戦とも出だしが良く、その調子でやりたかったのですが、相手に何回も同じことをされてしまって…」

 7月31日に行われた「令和元年度 全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」の女子準々決勝、岐阜女子高校(岐阜県)と対戦した京都精華学園高校(京都府)の高橋未来は、試合の出だしを悔いた。

 優勝候補の一角と目されている岐阜女子に対し、「チャレンジャーやけど引くことはない。全員が絶対に勝てるという気持ちだった」(高橋)と臨んだ試合。京都精華学園の選手たちがそう意気込むのは、3月末に出場した「全関西バスケットボール大会」で、岐阜女子と6点差の争いを演じたことにある。もちろん、その時期はどこもチームが完成していない状態ではあるが、「今までだったら点差が離れて相手にならなかった」(高橋)ことを考えれば、戦えない相手ではないことをしっかりと認識したのだ。

 そして迎えたインターハイでの対戦。しかし、先に挙げたとおり、出だしで岐阜女子にインサイドを中心に連取されると、第1クォーターは12点のビハインド。高橋が同じくエースでポイントガードの藤田和にしっかりとマークをされたこともあり、得点が伸びなかった。

 それでも、20点ビハインドで迎えた後半、京都精華学園はゾーンディフェンスで岐阜女子の得点ペースを落とすことに成功すると、攻めては関瑞葵や荻田美らが加点。「自分が点を取れなくても周りの人を信じてリバウンドとルーズに回ろう」と、リバウンドやディフェンスからチャンスを作っていた高橋も第4クォーターではミドルシュートなどで得点に絡んだ。そして残り3分半には4点差に詰めたのだが……。大崩れしなかった岐阜女子に最後は逃げ切られて敗戦。「後半はみんな生き生きとやっていたけれど、前半は私がボールを持ちすぎたこともあって、ボールが回らなくなってしまいました」と、高橋の口からは反省の言葉が漏れた。

自身はチーム最多26得点をマーク [写真]=佐々木啓次

 ベスト8からさらにその先に進むために。見えてきた課題はたくさんある。「試合の中で流れの良い時はいいけれど、流れが悪い時に集中力が切れるので、もっと1試合を通して集中できるように」と高橋。さらに個人としては「決めないとアカンところで3Pシュートを決め切ったり、しんどいところで自分がディフェンスをして引っ張ったり、見えないところの努力をしないといけないと思います」と語った。

 26得点10リバウンドの数字を残したが、目標にしていた優勝に届かず悔し涙を流した高橋。その涙はしばらく止まらなかったが、「もう一回、一から作り直してウインターカップでは絶対に勝ちたいです」と、発した表情は次なる決戦をしっかりと見据えていた。

文=田島早苗