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県予選で優勝を飾りウインターカップ出場を決めた東海大学付属福岡高校(福岡)。同校にはブロック推薦枠としてシード権が与えられ、本戦では左下の第4シードに入った。しかし、待ち構えていた初戦の相手は、昨年のファイナリストで通算30回の出場回数を誇る岐阜女子高校(岐阜)だった。
東海大福岡は今回が2年連続2回目の出場。宮崎優介コーチの言葉を借りれば、「これまでは全国大会に出るのが精一杯だった」。シード校でありながらもチャレンジャーとして臨んだ初陣は、後半に引き離されて最終スコア64-83で敗戦。東海大福岡のウインターカップは、1試合で終えることとなった。
「岐阜女子さんと当たるということで、留学生のところは対応できるかなと思っていたんですけど、それ以外の部分でも全国トップレベルのチームとやると未熟なところが出てしまいました」(宮崎コーチ)
東海大福岡は今年、初めて留学生をチームに迎え入れた。1年生のファール・アミナタだ。彼女はまだチームスタイルのスピードにはついていけないが、198センチという圧倒的高さを誇る。自粛期間中に行った日本語の猛勉強により、試合中も仲間とコミュニケーションをとれるようになったという。
県予選ではその高さを存分に生かして相手の脅威となったアミナタだが、全国の舞台では違った。この試合ではイベ・エスター・チカンソ(3年)に34得点14リバウンドを献上。もちろん、彼女1人の責任ではないが、試合後のミックスゾーンに現れたアミナタは、なかなか流れる涙を止めることはできなかった。
試合後、アミナタの隣でそうエールを送ったのは木寺智美(3年)。木寺はこの試合、第1クォーターからエースとして得点を引っ張り、試合を通して23得点をマークした。「相手が優勝候補だったので、チャレンジャーとして思い切ってプレーをしようと挑みました」と、試合までには吹っ切れたようだが、いきなりの強豪校との対戦には「組み合わせを先生から知らされた時は、驚きが隠せなくてあまり気持ちの整理があまりつかなかった」と素直に話した。
「これが最後だったので……、思いっ切りやれたので悔いはないです」
木寺は今のところ、高校卒業後はバスケットを続けるつもりはないという。
「インターハイという1つの目標がなくなって、ウインターカップが自分たちの最後の大会でした。でも、この大会が行われたことに感謝していますし、自分たちのバスケを全国で見せられたことは良かったです。今の中学生や小学生が、1人でも多くウチの高校に来たいと思ってくれたらうれしいです」
宮崎コーチは「すごくいい財産になったと思います」とコメントを残した。それは、バスケットだけではなく、これからの人生そのものにも当てはまる。
文=小沼克年