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『B MY HERO!』
昨年、新型コロナウイルスの影響で無念にも中止となったインターハイが2年ぶりに帰ってきた。
「令和3年度全国高等学校総合体育大会バスケットボール競技大会」の舞台は新潟県(男子は長岡市開催)。県予選1位突破の帝京長岡高校とともに地元の期待を背負うのは、2度目のインターハイ制覇を狙う開志国際高校だ。長岡市市民体育館の1試合目に登場した同校は、九州学院高校(熊本県)を104−76で下し明日の2回戦へ進出した。
立ち上がりから走るバスケットを展開し最初の10分間で29−4。エースの介川アンソニー翔(2年)に至っては、合計36得点12リバウンドを挙げて堂々の全国デビューを果たした。28点差というスコアだけを見れば、快勝したようにも見える。しかしこの試合、開志国際は第2クォーターからミスが重なり、ターンオーバーの数は九州学院の「14」に対し「29」を数えてしまった。
この出来には、「出だしはいい感じだったけど、ちょっと気を抜いたかな……」と富樫英樹コーチ。中でも「プレスダウンでのミスが多すぎました」と、開志国際は相手がオールコートで仕掛けてきたディフェンスに捕まり、ボール運びに苦戦した。
この試合の先発ポイントガードを担ったのは、1年生で唯一エントリーメンバーに入った澤田竜馬。167センチと小柄だが、1対1で相手を抜き去るスピードに加え、「使ってみたら意外と度胸がある」と富樫コーチも一定の評価を与えるプレーヤーだ。
「試合の入りが大事だと思ったので、気合を入れて臨みました」と、澤田は第1クォーターこそ得意の3ポイントシュートも決めて落ち着いたプレーを披露。しかし、前述したように九州学院がディフェンスの強度を上げて反撃を試みると、ハンドリングミスやダブルチームに捕まり、フロントコートまでボールを運ぶことができない場面が幾度かあった。
「周りとコミュニケーションが取れていなくてディフェンスに引っかかってしまいました。やっぱり初めて(のインターハイ)だったので緊張する部分がありましたけど、勝ち上がれば上がるほどディフェンスが厳しくなると思うので修正したいです」
指揮官が澤田を先発に据えているのには、「1年生を控えにすると逆に荷が重いかなと思ったので、3年生をバックアップにしている」という理由が1つある。澤田も「先発の責任を感じつつも、思い切ってプレーするようにしています」と意識はしているが、今日の試合ではイメージ通りにいかなかった。
「今日勝ったことで、ちょっとだけ緊張がほぐれたような気がします」
高校生活初の全国大会を経験した直後、澤田はそう言って照れくさそうに笑った。大事な初戦では、4つのターンオーバーを犯した。明日は吹っ切れて、本来のプレーを見せてくれるだろうか。
文・写真=小沼克年